13. 優子の決断
「もう我慢できない! あんな、いるんだかいないんだかわからない様な奴に毎日毎日ご飯作ってやって、そんな生活なんてもうまっぴらだ!」
いつものNO NAMEで恭作と飲んでいた優子は酔いが回ったのか珍しく興奮していて、
「UMAの奴は顔を見せないだけで無く、家事も一切やらず、それどころか家賃や駐車場の代金の支払いまで私に任せっきりで、生活費も微々たる食費と家賃くらいしか入れてないんだよ。別れて何処かこの近くのアパートかマンションで一人暮らしする!」
と家を出る決意を宣言した。多少の蓄えを頭金にして中古の安いマンションでも買うつもりらしい。確かに恭作との付き合いは引き金にはなったが、もともとそういう夫婦関係が続いていたので離婚を考えてたのが爆発したのだ。
「恭作さんは責任感じなくても良いし、貴方と付き合わなくてもいつかは家を出るつもりだったから。頭金もその為に前からしっかり貯金しているからギリギリなんとかなると思う」
「マンション探しは手伝うし、ローン額は最小限に抑えられる様に頭金は俺も出資するよ」
「じゃあ援助じゃ無くてちゃんとした借金にして」
という事でマンション探しをこのNO NAMEのあたりを中心に本格的に始めた。今まで言っていた冗談が現実化してきたのだ。旅行に行った時なども、キッチン付きの自炊タイプ部屋を選んで旅行先のスーパーで買い物して同棲感を味わって、ネギが飛び出している袋を持って帰路につくシーンにお互い幸せを感じたりしていたが、その幸せが現実化する事にワクワクした。もちろん恐怖感や不安感もあったが、2人の愛はそれを簡単に打ち消せる程深かった。
このNO NAMEのある街が会社に通える範囲内で且つ会社の人間がほとんど住んでいないという好立地だったのだが、良い感じだと家賃が高いし、安いとイマイチだしと満足できる物件に辿り着くまで少し時間がかかった。駅を一駅ずらすと候補の件数は上がりそのうちに最寄駅から徒歩5分、2LDKでそこそこの価格の物件に当たった。順調に話は進み、頭金の一部は私から無利子で優子に貸すという形にして正式な契約までこぎつけた。さて後は引っ越しの日取り決めと離婚の段取りとなった所で、不動産屋からとんでもない電話がかかってきた。
-続く-




