ep.4: もう1人の超人, 能の秘匿
前回のあらすじ:生まれつき世界の常識を覆す力を持って生まれたトノは入学式で早速最強の威嚇魔法を撃ってしまい、ピンチに陥っていた。
ー入学式後ー
「なんで呼ばれたかわかるよね?」
「……わかりません」
今トノは担任の女教師に呼び出されていた。
「あの威嚇魔法はなんだったのかな?」
「……知りません」
「あれを撃った容疑者は君しかいないんだよ?」
「わかりません」
「わかりませんとかじゃ無くて」
「本当に知らないんです。そもそも威嚇…魔法?ってなんですか?」
「…ん?」
「そもそも俺、魔気がないって馬鹿にされてたんですけど、俺才能があるんですか?」
「(確かに、魔気は全く感じられないな…この年齢で魔気制御はできないだろうし、本当に撃ってないのかな?)本当に撃ってないのね?」
「はい」
「うーん…わかった。一旦保留にしておきます。建物も結局直ったし、みんなには誤解だったということにしておきましょう。」
「はい。わかりました。(あっぶねぇぇぇぇ!ここでバレてたら即刻退学だったぁぁぁ!本当に危なかったぁ!!)」
「じゃあとりあえず教室に戻って。これから階級テストするから。」
「階級テスト?」
「そう。この学校は総合的な戦闘力によって階級、言わばランクをつけていくの。」
「ほぉ」
「ランクはS〜Fまであるのら、でももし君が本当にあの威嚇魔法を撃てるんだったら新しいランクを作らなきゃならないんだけど…」
「だから撃ってませんって」
「わかった、私はあなたを信じるわ。そろそろ時間よ。校庭に集まって。」
「はい」
ー校庭にてー
「おし!これから階級テストを始めるぞ!みんなにはさっき話したが…インビクトゥス!この学校にはランク制度があってだな…」
「…知ってます。さっき教えられました。」
「はっはっは!なんだそうだったのか!で、このテストは戦闘力測定器ではかるから、ちゃんと平等だぞ!じゃあもう早速始めようと思うんだが、最初のテストは…!」
(暑苦しいな、この体育系教師)
トノは心の中で苦笑する。
「魔気総量測定テストだ!」
(魔気総量か…0だと流石におかしいから少しだけ出すか。)
「じゃあ出席番号順に行くぞ!まずはアミークス!」
「よっしゃ!やってやるぜ。」
(最初はコンバーサスか…炎夜の威力、範囲的にはだいぶ鍛え上げられてたからな。多分実力的にAくらいは行きそうだ…)
ブオオオオオオオオオオオン
「おお!やるな、測定器によると…83点だ!」
「「おぉーっ!」」
辺りが騒然とする。
「次はインビクトゥスだな!あの威嚇魔法からすると100点は行くんじゃないか⁉︎」
「インビクトゥスってあの?」
「多分。威嚇魔法だけで体育館ぶっ壊したっていう」
「マジかよ怖、逆らわないほうがいいなこれ。」
「どうした?インビクトゥス?早くしてくれ」
「…もうやりました。」
「おおそうか!すまんな気づかなくて。どれどれ…?」
"0.2点"
(おお、ミスった。10点くらいにしようと思ったんだけどな)
「インビクトゥス?これは?」
「(チャーンス!)だから、あの威嚇魔法は俺じゃないって言ってるじゃないですか!」
『………』
辺りに沈黙が流れる。
「…次、やってくれ!」
(流石に弱すぎたか…まだまだ魔力制御は改良の余地があるな…)
バコオオオオオオオオオオオオン!!!
(なんだ?)
「おお!エンクール!100点だ!」
「やっぱりすげーな、エンクールは」
「当たり前だろ、エンクール・ミュリア。6歳で神童の称号を手にしてるくらいだからな。」
(あー…なんか聞いたことあると思ったら神童の1人か。ここ神童もいるのかよ)
神童とは、未成年ながら階級、神まで行ったものに与えられる称号である。成人したら大抵の人はサークルというものに入る。サークルとは、ディアボルなどを倒したり、稀に開く異世界へ通じるダンジョンに入りそこの魔物を倒すグループのことだ。ダンジョンを攻略しないとこの世界に強大な魔気が放出され、この星自体が魔気反発を起こしてしまう。この世界ではサークル以外で金を稼ぐことはできないため、大抵が成人するとサークルに入る。その際、神童の称号を持っているとより大きいサークルからのスカウトが来やすいのだ。
「ねぇねぇ!キミ!」
(…ん?)
次回:超人の友情,差し込む光輝