ep.3: 超人の入学式, 我の先へ
前回のあらすじ: 生まれつき世界の常識を覆す力を持って生まれたトノは、世界に蔓延るディアボルという存在を知った。
ー7年後ー
「トノ、ちょっといいか?」
「なに?父さん」
現在トノは12歳。もう魔法学校に入学する年齢だ。
「いいか?今日からついに魔法学校だが、1つだけ言っておくことがある。」
トノは緊張して尋ねる。
「…なに?」
「トノ、前にも言った通りお前は魔気が強いんだ。普通の人よりも何倍も、何十倍も強いんだよ。お前が魔気を解放すると、たくさんの人が迷惑するんだ。だから、その魔気は本当に必要な時まで隠しておくんだぞ。いいな?」
「…わかった」
「よし。なら大丈夫だ。父さんが学校まで送ってやろう!入学式に遅れちゃたまらんからな。」
「いや、いいよ。移動魔法で行けるから。」
「(…普通は移動魔法なんてほぼ伝説に近い魔法なんだがなぁ)いやいや、そういうことじゃないだろう。あえて普通に送るのがまた美ってもんだ。」
「…わかった。じゃあよろしく」
ー絨毯で移動中ー
「思ったんだが、トノは今どれくらいまで魔法を使えるんだ?」
「んー1番得意なのはやっぱり終止魔法かな。その次は雷魔法、その次は創造・模倣魔法だな、多分。戦闘も大抵この4つで回してる。まあ後使えるのは、召喚魔法、時間魔法、重力魔法、破壊魔法、回復魔法、火炎魔法、水魔法、風魔法、岩石魔法…ごめん、全部は覚えきれない。ありすぎて」
「………」
「でもサポート魔法はよく使うから大体言えるよ。えっと、移動魔法でしょ、魔気制御は当たり前として、あと状態異常魔法全部、無限結界は常に張ってるし、身体変格魔法と反転魔法、精神支配魔法も使えたな。」
「………ん?(いや待て待て待て!これ夢じゃないよな?終止魔法とか拘束魔法の最上位じゃないか!しかも創造・模倣魔法は新しい物を創り出したり、今あるものを再現できる規格外の魔法だし、あと無限結界を常に張ってるって言ったか⁉︎無限結界はありとあらゆる物理攻撃を無効化し、状態異常も全てはね返し、精神攻撃も効かなくなる、身体へのありとあらゆるダメージを防ぐ最強の防御魔法だろ⁉︎しかもその強力さ故に魔気を大量に消費するため、熟練者でも無限結界は2分が限界のはず!どうなってるんだこの子は!)」
「父さん、どうした?俺何かおかしいこと言った?」
「…いや!なんでもない!お、それより見ろ。魔法学校に到着したぞ!入学楽しみだな!」
「そうだね。」
「じゃあ父さんはここまでだ。またあとでな」
「うん。」
パレントは名残惜しそうに帰っていく。
(正直面倒くさいな…俺の魔気だけで迷惑だと?ならこんな学校行っても意味ないだろ。)
そんなことを思いながら歩いていると、
「おい!クソガキ!」
と、1人の少年が話しかけてきた。
「(いや、お前の方がクソガキだろ)どうしました?」
「お前魔気なくね?全く魔気を感じないんだけど。」
「(魔力制御に決まってんだろ。逆にお前そんな魔気ダダ漏れで戦う前から相手に実力バレバレだわ。)そうですねー俺魔気ないですねー。」
トノが今さらっと簡単に言った魔気制御は最低でも魔気階級、神はないと使えないサポート魔法だがトノは生まれながらに魔気が発現していたため、呼吸のように魔気を操れるのだ。
「おい、なんだよその態度。あんまなめてんじゃねえぞ‼︎」
「…!」
「くらえ!火炎魔法、炎夜っ‼︎」
ゴォォォオオオオオオッ!!
トノは一瞬にして炎に包まれる。しかし当然のようにトノは無限結界を張っているため火傷はおろか、温度の変化すら感じなかった。
(でもダメージをくらってなかったら正体がバレるか…。面倒くさいな、まあでも一応火傷してる感じに身体変格魔法で体を変化させて、あとは熱そうな演技か。本当に面倒くさいな。)
「あつつつっ!!あついあつい!うわ、やめてー」
「はっはっは!雑魚が!2度とその面下げて俺の前に現れるな!」
そう言って少年は去っていく。
(何だったんだ?…まぁいいや。それよりもうすぐで入学式が始まるな、行かないと。)
『皆さん、入学式が始まります。体育館に集まってください。繰り返します…』
「お、もう始まるな。行こうっと」
ー体育館にてー
『アミークス・コンサーバス君。前に出てきてください。』
(ん?あいつ…さっきの奴じゃん。コンサーバスって言うんだ。)
『続いて、インビクトゥス・トノ君。前に出てきてください。』
「はい。」
トノが前に出ていく。
「汝の下に幸あれ。いかなる刻も清く、正しく、美しく。汝の力は…」
(面倒くせえ。そういえば新しい魔法を創りたいと思ってたんだよな、)
「…すか?」
(どういう感じにしようかな。終止魔法を強化してもいいよな。)
「…てますか?」
(終止魔法は拘束に特化した魔法だから拘束中の攻撃は不可能だけどできたら強いよなぁ…)
「聞いてますか⁉︎」
「うるせえんだよさっきから。神威っ!」
バゴォォォォォオオオオオッッッッ‼︎
「キャァァァァァァ!」
「なんだ!なんだ⁉︎」
「…………やらかした。本当にやらかした。入学当日から父さんの言いつけ破っちゃった。」
体育館は崩壊。トノが退学を覚悟したときだった。
「誰か創造魔法を使える奴はいないのか⁉︎」
「!」
「(そうだ!創造魔法じゃないけど、模倣魔法なら過去の体育館を真似て戻せる!)…模倣!」
キュインキュインキュイン…
「なんだ⁉︎体育館が光ってる!」
「これは…模倣魔法⁉︎」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!
(ふぅ。なんとか誤魔化せたかな?)
「……インビクトゥス君は後で職員室に来てください」
「…!」
次回:超人の階級テスト,能の秘匿