ep.10: 超人は最強, 隠れた誼
前回のあらすじ:生まれつき世界の常識を覆す力を持って生まれたトノは、自分と同様に力を隠しているケアルと出会うが…
「おい、お前」
「っ!なんだ?」
「エンクール・ミュリアを知っているか?」
「…!知っていますが…」
「…アミークス・コンバーサスは?」
「知っている…まさか⁉︎あの2人に何かしたのか⁉︎」
「いやいや!そんなわけないだろ!ちょっと待ってて1回助けてあげるよ」
「…ありが…たい⁉︎」
ケアルは気づいたら地上にいた。トノが見えない速度で助けたのだ。
「…あのブラックホールから抜け出せる速さで動いたのか…?どうなってるんだ?こいつは…」
「ん?どうした?」
「いや、なんでもありません。それで?あなたはあの2人と知り合いなのですか?あの2人はあなたの強さに気づいているのですか?あの2人とはどうやって…」
「おぉ、ちょっと待て。そんないっぺんに聞かれても答えられないよ!…一旦この試合を終わらせようか。身体変格魔法は使える?」
「舐めないでいただきたい。あなたが強すぎるだけで、私も神童なのですよ。では、とりあえず私の勝利ということでいいですか?」
「ん?ちょっとまって?神童なの?神童ってことは未成年でしょ?サークル入れなくない?」
「私は一応、神童の中でも一定の基準を満たした神童ですので、サークルなどは入れるのですよ。」
「基準って?」
「それは言えないことになってます。すみません。」
「うん。まぁいいや。というか、この戦闘訓練は時間制だから後5分くらいあるな」
「そうですね。残り5分は雑談でもしますか?」
「いいね、というか敬語やめてくれない?もう友達だろ、俺ら。」
「うーん…それは厳しいですね。私は敬語の方が慣れてるのでそっちの方がいいです」
「ふーん…まぁいいや。でもせめてトノって呼んでよ」
「分かりました。ところで、ミュリアとコンとはどういう関係で?」
「ミュリアは友達かな。コンバーサスは…知り合い?」
「まぁあの性格ですもんね」
「逆にケアルはあの2人とどういう関係なの?」
「あの2人は将来、うちのサークルに入ることになっている将来超有望な神童です。私はその監視、教育役なんですよ」
「ふーん。確かにあの2人よりも別格の強さだったしな」
「トノに言われると褒められた気がしませんね…」
「サークルか…俺も将来つくってみよう」
「サークルはある程度人望がないと人が集まりませんよ?トノは強いですが、1人ではサークルとは言えませんね。」
「成人したら威の称号取りに行くから大丈夫!」
「普通は威を取ろうなんて考えもしないことなんですが…トノなら笑顔で取って戻ってきそうで怖いです」
「よーし!決めた。俺成人したらサークルつくる!ケアル、入ってくれよ」
「それは難しいですね。私はガウディウムさんの元から離れる気はありませんので。でも、サークルをつくる手伝いならできますよ」
「よっしゃ!それでもいいや!ありがとう!…でもミュリアもコンバーサスもガウディウムのとこ行くのか…なんならいっそのことガウディウムのサークル潰しておこうかな。」
「普通幹部の前で言いますか?それ」
ケアルは苦笑する。
「まぁ流石に今はやらないけどね。実力隠してる途中だし。でもいつかは…」
キュウン
「あ、時間きた」
「よーし!時間だ!ここでこの授業は終わりだぞ!みんな、教室に戻れー!」
「戻るか」
「はい。」
次回:幹部の勇気, 新たな契り