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78.大浴場の大演説(3)


自分の頭から、ぷしゅう……、という音がするのを聞いているうちに、3人は俺の身体(からだ)を洗い終わった。


「キレイになったのだ!」


と、(ひたい)(あせ)(ぬぐ)うシーシ。


「ピカピカですよ! マレビト様!」


と、ユーフォンさん。ミンユーは(だま)って(ほほ)を赤らめている。


前は自分で洗おうと、手拭(てぬぐ)いに手を()ばすと、浴室(よくしつ)の中の女子たちが目に入った。みんな、クスクス笑ってこっちを見てる。


――俺の反応見て、楽しんでるのかぁ。


そうですよね。女子風呂の中で(ひと)り男子が、恥ずかしそうにコソコソしてるの、面白いですよね。


と、ちょっと背中を丸めて小さくなって前を洗おうとしたら、背中をバシンと叩かれた。


()り返るとシーシが腕組(うでぐ)みして、満面(まんめん)()みで仁王立(におうだ)ちしてる。


「マレビト様は、それでいいのだ!」


そのものズバリな天才のパパみたいなこと言ってますけど……、なんの話ですか?


「大いに()ずかしがって、大いに赤くなってて、いいのだ!」


いや、そんな大きな声で……。女子たち、みんな、こっち見てるし。


祖霊(それい)がマレビト様をマレビトに選んだのには、きっと意味があるのだ! でなければ、わざわざこんな純潔(じゅんけつ)純情(じゅんじょう)失恋(しつれん)少年(しょうねん)を、お(つか)わしになるはずがないのだ!」


……じゅ、純潔(どうてい)……、純情(うぶ)……、失恋(フラれ)……、少年。いや……、間違いではないですけど。


シーシが(また)を開いて腰を落とし、手を小さく前に出した怪獣(かいじゅう)のようなポーズで、ゆっくり歩き出した。


「グッ、ヘッ、ヘッ、ヘッ、ヘーッ! 純潔(じゅんけつ)乙女(おとめ)はどこだぁ!? 子種(こだね)(さず)けてやるぞぉ!! みたいなマレビト様だったら、みんな、マレビト様の言葉に(したが)うはずがないのだ!」


女子たちがドッと笑って、(うなず)いている。笑い泣きの(なみだ)を指で拭いてる()もいる。


「ボクたちの()()()()見て赤くなって、()()を見て(うつむ)いて、身体(からだ)(こす)()けられてもオドオドするだけで、手出(てだ)しひとつ出来ないマレビト様でいいのだ!」


シーシは満面の笑みだけど、優しいお姉さんの表情で俺を見てる。


「ボクは、マレビト様がマレビトで、本当に良かったのだ!」


うんうん(うなず)く女子たち。


「フラれた幼馴染のことを大切に(おも)って、いつまでもグジグジと()()ってるマレビト様が、大好きなのだ!!!」


……最後。剛速球(ごうそっきゅう)()ぎませんかね。


あっ。シュエンが少し笑ってる。ユエも吹き出してる。


めちゃくちゃ恥ずかしいけど、シュエンとユエの笑顔が見れたのなら、良しということにしよう。


「だから、胸を()って()ずかしがればいいのだ! 堂々(どうどう)と顔を赤くして、前は自分で洗えばいいのだ!」


「あ、ありがとう……」


と、やっぱり顔を()()にしながら、シーシにお礼を言うと、力強く、ニシッと笑ったシーシは湯船(ゆぶね)に向かった。


そして、(もど)って来て、自分の身体(からだ)を洗い始めた。


うん。シーシも前以外は洗えてないもんね。忘れてたんだよね。


シーシなりに勇気を出して、俺を(はげ)ましてくれて、緊張(きんちょう)しながらそれを(みんな)に聞かせてくれてたんだよな。……ありがとう。


大浴場いっぱいの女子たちは、またいつものようにキャッキャしている。


めちゃくちゃ()ずかしいし、()(くさ)いし、顔は()()になるけど、少しだけこの大浴場(ハーレム風呂)居心地(いごこち)が良くなった。


――ツルペタ姉さんには、(かな)わないな。


と、思いながら、やっぱり顔を赤くして、コソコソと前を洗った。……堂々と。



本日の更新は以上になります。

お読みくださりありがとうございました!


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