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179.雑念ミーティング(2)


片腕のニイチャンが()したのは、ツイファさんが「あと28日で16歳」と報告してくれた女子だった。


ニイチャンはバツが悪そうに話を続けた。


「俺は遊んでばかりで嫁さんに追い出されてな。(むすめ)のジンリーは口もきいてくれないんだけど、こんな時だ。せめて近くで見てたくてよ」


ジンリー。ツイファさんの報告でもその名前だった。呪符(じゅふ)で熱湯を()かしてくれてる職人の()途端(とたん)大浴場(ハーレム風呂)に来たら……、って想像してしまう。


いやいや、お父さんのいる横で何を想像してるんだ。


と、ニイチャンが残った左腕で俺の首を()いた。


「ジンリーも、もうすぐ16だからよ。可愛(かわい)がってやってくれよな? マレビト様」


「あ……、やっ……」


()()()()純潔(はじめて)同士っていうのも、いいもんだぜ?」


と、横に座っていたアスマの顔がポンッと(はじ)けるように赤くなった。


予想外の反応に、思わずニイチャンと顔を見合わせて笑ってしまった。こういう男子同士でワチャワチャする感じ、なんか久しぶりだ。


仮設住宅の補修作業を続けるジンリーの横顔を改めて見た。どこかニイチャンの面影(おもかげ)がある気もする。


ジンリーが大浴場(ハーレム風呂)に来る28日後の頃には、食糧(しょくりょう)がほぼ()きてる。


ミンリンさんの考案(こうあん)してくれた『回廊(かいろう)決戦(けっせん)』を、なんとしても成功させたい。


ニイチャンに無理はしないように伝えて、ミンリンさんの待つ司空府(しくうふ)に向かった。


執務室(しつむしつ)に入ると既に各部署(ぶしょ)から選抜したメンバーも勢揃(せいぞろ)いしていた。


――ヤーモンも呼べば良かった。


と思ったのは、全員律儀(りちぎ)にお色気大作戦を実行中だったからだ。


「こっち、こっち! マレビト様、早く座るのだ」


と、手招(てまね)きするスポブラにショートパンツ姿のシーシは、やけに(わき)を見せてくる。


ざ、雑念しか()かない……。


図面を囲む()んなの輪に加わると、さっきまで訓練場にいたクゥアイが、スラリとしたドレス姿で座っていた。


普段、タンクトップにズボンのクゥアイを見慣れていたので、そこまで露出が多い訳でもないのにドキッとしてしまう。


――お、お色気大作戦が進化している。


「やはり第2城壁の城門が(やぶ)られているのが問題です」


と、ミンリンさんが前屈(まえかが)みになって図面を()すと、(ゆる)(むす)ばれた布から胸元がストンと見える。


()ばした回廊で(ふさ)ぐのがてっとり早いのだ」


と言う、シーシはなぜ両腕を頭の上に組んで、脇を俺の方に向けて来るのか。


「城門は四方向とも破られています」


難しい顔をしたイーリンさんも、いつの間にかビキニ姿だ。小さな腰布(こしぬの)を着けているのが逆に(なま)めかしい。


「回廊も四方向に伸ばして城門を(ふさ)がないと、第3城壁からどんどん人獣(じんじゅう)が入って来ちゃうかぁ……」


と言いながら、メイファンはしきりに()()をアピってくる。


その隣では、ミンユーが服の胸の辺りだけ前をはだけて谷間を全開に出している。マジメさんにそんなことされると、生々しさが一層増してしまう。


「四方向同時となると、まずは木材の在庫が問題ですね」


と、ミンリンさんが司徒府(しとふ)に使いを出した。すぐに姿を見せたスイランさんとシャオリンは、()んなを見て服を脱ぎ始めた。


用意してたようなシャオリンのビキニ姿はともかく、スイランさんの白くて()(かん)あるキャミソールはただの下着だ。恥ずかしそうにするなら、ミニなワンピのままにしとけばいいのに。


「そ……、そうですね……。かなりギリギリにはなるかと……。いや、足りませんね。仮に木材を全て回廊に回すと、毎晩使う矢の分が足りないと思います」


途中で気持ちを立て直したスイランさんの言葉に、クゥアイが(うな)った。


「うーん。外征(がいせい)隊を増やして四方向に矢を(ひろ)いに行くしかないですよね……」


ドレスのスリットから見える太ももに、きゅむっと手をはさまれたスベスベの感触を思い出してしまう。


「で、出来る?」


「うーん。イーリンさんが付いて来てくれてるから、なんとかなってるところもあるんですよね」


と、クゥアイがイーリンさんを見た。


「あと3人。剣士様って外征(がいせい)隊に加わってもらえるものでしょうか……?」



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