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148.決戦の構想(1)


「名付けて回廊決戦(かいろうけっせん)……」


と、図面を広げ、(たけ)の短いキャミソールドレス姿のミンリンさんが言った。


……こちらはこちらで、お色気大作戦続行中(ぞっこうちゅう)なんですね。


スリットというか、それはもう2枚の布だ。2枚の布を(ひも)(むす)んでるだけだ。両脇(りょうわき)が上から下までザックリ開いてる。


見ると、いつの間にかシアユンさんも黒のパレオなビキニ姿になってる。


は、話が頭に入ってこない……。


リンシンさんの()()()で、今までで一番()()()()()()をリアルに考えてしまった後なので、なおさらだ。


「まだ、構想(こうそう)段階(だんかい)なのですが……」


と、ミンリンさんは少し(ほほ)を赤くして、説明を続けてる。


いかんいかん、集中しないと。


2人の肢体(したい)に気を取られないよう、図面だけを見るように意識(いしき)してみる。


「昼間の内に(かべ)と屋根を組み立てながら、最終城壁と第2城壁の間を進み、城壁間を人獣(じんじゅう)の攻撃を(ふせ)げる回廊(かいろう)で結びます」


えっ……? それ、すごいんじゃ……。


思わず顔を上げると、谷間。


たぷんっ、と谷間。


もうっ。


と、スゴスゴと目線を図面に落とす。


「その上で、回廊を通って兵を進め、第2城壁上を制圧(せいあつ)。最終城壁と第2城壁の両側から、長弓(ながゆみ)短弓(たんきゅう)連弩(れんど)斉射(せいしゃ)で城壁間を掃討(そうとう)します」


……なるほど。


城壁間の人獣(じんじゅう)退(しりぞ)けてから第2城壁を奪還(だっかん)するより、現実味(げんじつみ)がある気がする。


掃討(そうとう)が終われば荷運(にはこ)(やぐら)(はこ)び出し、日没後の第2城壁の防衛(ぼうえい)(そな)えます」


「す、すばらしいと思います……」


今度は、顔を上げずに(こた)えた。


「マ、マレビト様から教えていただいて……」


「え? なにを?」


と、思わず顔を上げたけど、今度は()えた。顔は赤くなった。腰のあたりの素肌(すはだ)が見えてるのが、とても色っぽい。


一夜城(いちやじょう)のお話です……」


あ。大浴場(ハーレム風呂)で、ミンリンさんに背中を()()()もらうのが気恥(きは)ずかしくて、豊臣秀吉の墨俣(すのまた)一夜城(いちやじょう)の話をしたことがあった。


――むにゅう。


と、あの時のミンリンさん()感触(かんしょく)が不意に再現されて、目の前の姿と重なって、(あせ)る。


「材料を(あらかじ)寸法(すんぽう)に合わせて用意し、組み立てながら敵の攻撃を(ふせ)ぎ、防ぎながら城を()てる。お聞かせいただいた話に胸躍(むねおど)らせて、(ひそ)かに(あたた)めて参りました」


「そうでしたか……」


「ですが、組み立てる者を人獣(じんじゅう)たちからどう守るか、その方法が思い付かずにいました」


そうか。


「それが、一昨日(いっさくじつ)の槍兵の(みな)さんによる外征(がいせい)拝見(はいけん)して、これなら『いけるっ』と思って」


うわぁ。今の『いけるっ』、すごい可愛(かわい)かった。……そういうので、ドキッとさせてほしい。


「大浴場では、まだ図面もなにもなかったのですが、いても立ってもおれず、強引(ごういん)にお約束を取り付けてしまいました……」


いや、強引ってことはなかったけど……、ミンリンさん的には、あれは強引なんですね。


ただ、クゥアイの泡だらけの太ももに手の平を挟まれてるところに、胸を()らされて、たぷんってなったのには(あせ)りましたけど……。


「もちろん、まだまだ()めないといけないところだらけの、構想段階なのですが……」


そうだな。


これは、兵士団、剣士団、いやそれ以外も多方面に連携(れんけい)した、まさに決戦になる。


ミンリンさんが司空(しくう)の職にあっても、一存(いちぞん)で進められる話じゃない。


構想段階で相談してくれた意図(いと)が、よく分かる。


俺は、もう一度、ミンリンさんが()いた図面に目を落した――。



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