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119.純潔乙女秘密集会(1)


「俺は(おこ)っているんじゃありません」


「はい……」


戸惑(とまど)っています」


「はい……」


と、橙色(だいだいいろ)面積(めんせき)の小さなビキニ姿で正座(せいざ)したユーフォンさんが、上目遣(うわめづか)いにこっちを見ている。


正座させた訳じゃなくて、話を聞きたい俺が(ゆか)に正座したら、同じようにしてきただけだ。


いや、(あつ)をかけてると言われるなら、そうかもしれないけど、なんかもう正座せずにはいられなかった。


どうしてこうなった? が、()ぎる。


ユーフォンさんの後ろには、ツイファさん、イーリンさん、メイユイ、ユエも(なら)んで正座してる。


全員、ビキニ姿。


その時、コンッコンッと、(とびら)をノックする音がした。


失礼(しつれい)します。お()びと聞きまして」


と、扉の向こうからシアユンさんの声がした。


「どうぞ」


俺が応えると扉が開き、入って来たシアユンさんは、いつもの黒いドレス姿。


……ビキニじゃなくて良かった。腰、細いですね、相変(あいか)わらず。


床に正座して向き合う俺たちを見たシアユンさんは、ハッという表情をした。


そして、急いで部屋の中に入り、扉を閉めるために後ろを向いた。


いつもの黒いドレスの、腰の高さでザックリ開いた下に、白のロングスカートが……、ない。


(しり)だ、それは。


な、なにしてるんですか? あなた(シアユンさん)まで……。


シアユンさんはユーフォンさんの(となり)に、腰を()ろして正座した。


そして、座った感触(かんしょく)で自分がお(しり)丸出(まるだ)しであったことを思い出したんでしょう。ポンッと首筋(くびすじ)まで真っ赤にして(うつむ)いた。


――だから、無理するなと最初に会った時から……。


俺は(あらた)めて、(みんな)の方を向いた。


「それで、どなたの発案(はつあん)ですか? これは?」


(しせん)視線(しせん)がそれぞれに(およ)いだ(あと)、ユーフォンさんに集まる。


観念(かんねん)したのか、ユーフォンさんがおずおずと手を小さく()げた。


「私……、です……」


「もう一回、言いますけど、俺は怒ってる(わけ)じゃなくて、戸惑(とまど)ってます」


「はい……」


寝て起きたら、()(まわ)りの女子が(みんな)ビキニ姿でニコニコしてて、戸惑わない理屈(りくつ)がない。


「どうして、(みんな)でそんな格好(かっこう)することになったんですか?」


おずおずとしながら、ユーフォンさんの口から語られた経緯(いきさつ)はこうだ――。



今朝(けさ)の大浴場を(みな)が上がった後、突然(とつぜん)、ユーフォンさんが(みな)を呼び止めたそうだ。


先に部屋に(もど)った俺を(のぞ)く、純潔(じゅんけつ)乙女(おとめ)全員が脱衣場(だついじょう)に集められた。


不思議がる(みんな)を前に、ユーフォンさんが(あつ)く語り始める。


「マレビト様が幼馴染の(かた)からフラれた(きず)から立ち直られる気配(けはい)は、いまだ微塵(みじん)もありません!」


――いや、そうだけどもっ!


と、思ったけど(だま)って続きを聞く――。



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