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長い道のり



あるゲームの話なんだ。


タイトルは「DARK」ってシンプルなものだ。海外で作られたゲームなんだが、よくあるファンタジーRPGってやつだよ。

「闇」って意味の通り、大地に開いた迷宮に潜っていくってストーリー。まあ、昔からよくあるよな。

千本ぐらいしか売れなかったし、ほとんど知ってるやつもいないだろう。


それで、一度入ると地上に戻ることはないんだよ。宿もお店も迷宮の中にあって、最後のボスを倒すまでずっと一つの迷宮に潜り続けるんだ。

これもまあ、例がないわけじゃない。


それで、最後の魔王みたいなのを倒して、これでやっと地上に戻れるってストーリーなんだけど、都合よく地上までワープできたりしないんだ。


ずっと歩いて、降りてきた道のりをまた戻らなきゃいけないんだ。


魔王が死んだから敵は出ないんだけど、ただ歩くだけなのがひたすら単調でね。音楽もない、宿やお店にも誰もいない。自分の歩く音しかしない、そんな道のりだ。


多くのプレイヤーは、もうボスを倒したからいいやって、ゲームを終えようとする。


でも、その状態で「ゲームを終える」ってコマンドを選択すると、妙な声が聞こえるらしいんだ。


金切り声みたいな、複数人の悲鳴が混ざるような音だってさ。


メーカーが検証したけど、そんな音は鳴らないって確認されたらしい。

その後、メーカーは倒産しちゃって、結局そんなプログラムがあったかどうか、曖昧になっちまった。


たいして売れなかったゲームだし、今さらそんな話を検証するやつもいない。


都市伝説的にオチをつけるなら、次に電源をつけたとき、プレイヤーに見放された勇者たちはゾンビに変わっていたとか、そんな話になるんだろうな。


ただ、そういうのじゃないんだ。

このゲームをプレイした、数少ない人たちのコメントがあるんだが。


「家に誰かがいる気がする」

「悪夢を見るようになった」

「テレビから自分を呼ぶようなノイズが聞こえる」


そんな、妙な証言があるんだよ。


意味が分からないだろう? 脈絡が何もない。


何時間もかけて、きちんと地上まで戻ってエンディングを迎えたプレイヤーには起こらないらしいんだ。


たぶん、ゲームの開発者とかが、ちゃんと最後までプレイするようにそんな噂を流したんだろうな。せっかくエンディングを作ったんだろうし、見てほしかったんだろう。


意味不明な都市伝説だから、まあ、あまり語られることもないね。


ああ、そういえば何年か前、どっかの掲示板でこんな書き込みがあったよ。


何だったかな、そう、守護霊だったか。


それを封印する呪詛が、ゲームに組み込まれてるんだとさ。


そういうのは実は世の中のあちこちにあって、怪談話を途中までしか聞かないとか、やりかけていた事を途中でやめるとか、そんな行為が守護霊を遠ざけるんだとさ。


なかなかおもしろい解釈だと思ったね。まあ、そんな話さ……。


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