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4.腹が減っては戦が出来ぬ。

 腹が減っては戦が出来ぬ。

 正にその通りだ。この言葉を残した先人とは握手がしたいと思う。

 コアからの情報によると、DPを使って食べ物を買うことも可能な筈だ。てなわけで、アシストさん…でいいのかな?良さげな食べ物一覧を見せてくれ。



"初めまして、リョウ様"


"私は『ダンジョンアシスト』です"


"早速御用命くださりありがとうございます"


"『異界の食事・初心者向け』を表示します"



 先程よりも若干人間味を帯びたような気がしなくもないような声がすると、再びスクリーンが現れる。



[水(500ml)]:1P

[お茶(500ml)]:2P

[おにぎり(梅)]:2P

[おにぎり(鮭)]:2P

[おにぎり(味噌)]:2P

[おにぎり(ツナマヨ)]:2P



 コンビニで売ってそうなラインナップだな。大体、1P=100〜200円といったところか。

 とりあえず、水一つ。



ピロン♪



 音が鳴ったが、何も出てくる気配が無い。

 …え、失敗した?



"DPによって獲得したアイテムは一旦『アイテムボックス』に送られます"


"『アイテムボックス』を開きますか?"



 ありがとう、アシストさん!お願いします!



『アイテムボックス』

[水(500ml)]×1



 スクリーンに映し出された文字をタップすると、空中に穴が空き、ぽんっと押し出されるようにして水の入ったペットボトルが飛び出す。

 水だけが降ってきて、全部砂浜にぶちまけられてしまう、なんということも無くて良かった。


「おっと、危ない。」


 キャッチした水はキンキンに冷えていて、地味に日照りの強いこの海岸で飲むと最高にうまい。

 さてさて、『DPショップ』が上手く機能することも確認できたし、何を食べようか。

 唐揚げ弁当、焼肉弁当、ハンバーグ弁当…サンドイッチやチキンも種類が豊富だな。あ、おでんなんかもいけるのか。

 よし、決めた。照り焼き弁当温泉卵乗せ(3P)で!



ピロン♪



 早速取り出すと、まだ湯気の立っているほかほかの弁当が出てきた。ちゃんと割り箸もついてる。


「…!旨っ!」


 ほぼ丸一日ぶりの食事に体が歓声をあげる。

 砂浜に座り込み、ガツガツと平らげた。ごちそうさま、と手を合わせると弁当の残りのトレーや割り箸はふっと消えてしまった。水のペットボトルもおそらく同じなのだろう。購入したものの付属品とでも言うべきもの…今回でいえばペットボトルやお箸なんかは、ある程度は購入したものが使いやすいように融通が効くがそれを手元に残しておくことは出来ないらしい。

 これはまだまだ検証しなくては。




 ひとまず腹ごしらえも済んだことだし、ダンジョンの場所を決めよう。

 十分に栄養の届いた脳で、しっかりとイメージを固めてその姿を思い浮かべる。ここで変な雑念が入ったりすると、思い通りの形にできないことがあるらしいからな。


 場所はここからそう遠くない海底。 

 入り口には大きな鉄の扉が付いており、鍵はかかっていない。

 中は空気はあり呼吸ができるようになっている。

 壁は淡く発光しており、少々薄暗く遠くは見えないが、行動するのに問題は無いくらいの明るさがある。

 3人分程の幅で100m一本道。大体真ん中くらいの隅に鍵付きの宝箱。中身はまだ空だ。

 突き当たりには2つの魔法陣が合って、片方は入り口に繋がっており、もう片方はダンジョンマスターの召喚用だ。

 これで決定。アシストさん、ダンジョンが出来ると同時に、俺をマスタールームへ飛ばしてくれ。



"かしこまりました"



 じゃあ、いくぞ。


「『ダンジョン創造』!」


 そう叫んだ瞬間、大地が揺れ、海に大きな波が立つ。




 こうして、俺のダンジョンマスターとしての日々が始まった。

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