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翔ぶが如く!  作者: 凡栄
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翔ぶが如く! 7

翔ぶが如く! 7




小走りで路地へと入っていくツッチー。


しかし、この路地は苦手なんだよなぁ。

と言うのも、この路地は立ち◯便の臭いと、オブジェ化しているお父さん達の体から発せられる香ばしい臭いが入り混じってる路地なのだ。


戸惑いながら路地の中を見るとニコニコ顔のツッチーが笑顔で手を振っている。

右手で投げキッスをしながら小さい声で


「はやくぅ〜!はやくぅ〜!」


左手でこっち来い!こっち来い!をはじめた。


(えぇ〜?ここで?)

ゼスチャーで答える。


「はやく!はやく!ほれ!ほれ!」


またもや小さい声で呼ばれる。


もうしょうがない。

せっかく美味しい牛丼食べたのに、これで帳消しかマイナスだな⋯と思いながら路地へ入っていく。


「ここで?」


もう一度聞き直す。


「うん♪ そう♪」


「あっそ⋯」


しょうがない、一本だけ吸って移動しよう。


Gパンのポッケからタバコとライターを取り出すと、すかさずツッチーが


「エースケはマイセンだっけ?」

マイセン=マイルドセブン


「んにゃ、ブンター」

ブンター=セブンスター


「まぁいっか、一本ちょうだい!」


「んっ、あぁ、いいよ」


タバコの箱を振って前に出すと、力士が手刀を切るような格好をしてツッチーがつまんだ。


「ついでによ〜火ィ貸してくんない」


「あぁ、いいよ」


ポッケから出したライターを渡す。


「センキュ!」


カチンッ♪ ジッポッ♪


ジッポーの着火音は、いつ聞いてもいいもんだな。

(正確にはジッポーのパチモンだけど)


シィ〜⋯フゥゥ〜〜


暗い路地に青白い煙が流れていく。


こちらもタバコを口にくわえて火をつける。


カチンッ♪ ジッポッ♪


シィ〜⋯フゥゥ〜〜


青白い煙が倍になる。


食後の一服は最高!などと言うが、個人的にはそうは思わないし、何しろ場所がよろしくない!

ここでタバコを吸っても、タバコの匂いなのか、それ以外の臭いなのかわからないし、若干それ以外の臭いが勝っているし!


吸い終わる前に


「ねぇ、はやく行こうよ」


と、離れることを促したが


「あと一本!なっ!あと一本!」


とニコニコのツッチーがお願いのポーズをしてくる。


「しょうがないな⋯」


言いながら2本目に火をつけようとすると、ツッチーは両手を合わせて


「もう一本ちょうだい♪」


とお願いしてきた。


(珍しいな⋯)

と思ったけど「いいよ」と答えて、また一本渡した。


「火も貸して♪」


「あぁ、うん」


カチンッ♪ ジッポッ♪


自分のタバコに火をつけてツッチーにライターを渡すが、なんだかおかしい。

さっきまでゲームセンターでは自分のタバコを自分のライターで火をつけて吸っていたからだ。






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