表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/248

始まりは全滅から

初投稿です。

長いお話になりそうですがよろしくお願いします。

 私は高堂永久(タカドウトワ)、もうすぐ22歳。

 都内の個人病院に勤務する准看護師。

 今日はこれから夜勤だ。


 ヤバイ!あのクソゲーのせいで遅れそう。

 彼氏もいない一人暮らしの私は、久々に据え置き型ゲーム機のレトロRPGにハマっていたんだけど、ラスボスの魔王が、あと一歩で倒せるってところでHP全回復しやがって…。

 回復アイテムを使い切り、回復役の賢者のMPもなくなって回復できなくなった勇者パーティは魔王にタコ殴りにされて全滅…。


「このクッソゲーが!」


 私はコントローラーを放りだした。


「なんじゃこりゃああ!私の1時間、返せー!」


 悪態をつきながらも着替えをして家を出たのだった。


 よし、近道して行こう。

 工事現場のすぐ脇に、細い路地があって、抜け道になっている。

 私がその路地を抜けようとした時だった。


「おーい!危ないぞ!」


 空から叫び声がした。

 見上げると、空から鉄骨が降ってくるのが見えた。

 悲鳴を上げる間もなく、視界はブラックアウトした。


 ああ…これは死んだな。

 ゲームでも現実世界でも死ぬなんて、ついてない。


 …。

 ……。


 …即死だったのかな?

 全然痛くない。

 ていうか、ここ、どこ?

 真っ暗なんだけど。

 上も下もわからない。もしや宇宙空間?


『うえぇぇん・・・』


 誰かが泣いてる。

 小さな女の子の泣き声っぽい。

 でも真っ暗で姿は見えない。声だけが聞こえる。


「どうしたの?」


 私は声のする方向に話しかけてみた。


「大切な人を助けられなかったの」


 少女の声は答えた。


「それで泣いているの?」

「そう。何もできないから、泣くしかないの」

「何もできないって、どうして決めつけちゃうの?」

「だって私には力がないもの」


 何もない空間に、少女の姿がぼんやりと現れた。

 ぼんやりすぎて顔形はよくわからないけど、全体的に白っぽいというか銀色っぽい。


「力もないのに何ができるの?」


 少女はこちらへ向かってくる。


「泣くこと以外になにができるの?ねえ?」


 うっ、声がなんだか怖い…。

 もしかして幽霊とかそっち系?

 やっぱ私、知らないうちに死んじゃってたのか?


「何でもいいから、自分にできることを探すのよ」

「自分のできること…?」

「そう。私も、最初はなーんにもできなくて怒られてばかりだったよ。悔しくて毎日泣いてた。それでも、次こそは頑張ろうって思ったの。今はできなくても、頑張って続ければいつかできるようになるよ」

「私にも、何かできることあるかな…」

「あるよ」


 すると、小さな女の子は急に成長し、美しい女性になった。


「これまで何人も素通りしていったけど、私と向き合ってくれたのはあなたが初めてよ」

「…あなたは、誰?」


 その女性はにっこりと笑って名乗ったけど、よく聞こえなかった。


「あなたをずっと待っていたわ」


 彼女はそう云って、私の手を取った。

 待っていたってどういうこと…?


「あなたなら、きっと運命を変えられる」


 私の意識はその手に吸い込まれ、解けていった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ