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天使のうた  作者: 在流ガリア
9/11

ウズボス

地球に帰りたい。

酸素が吸いたい。

ベッドで寝たい。


いつになったらここから抜け出せるのか。暗くて何も見えない。誰もいない。誰か助けてくれ。


ウズボスが広大な宇宙のただなかで、ただ闇に包まれて、途方に暮れていると、一筋の光が駆け抜けていった。光の渦がらせんを形作って、ウズボスの空間を満たしていった。


「どれくらいここにいるの?」

光が言った。

「3光年くらいだろうか」

ウズボスは答えた。

「助けてあげようか?」

「お願いします」


翔太郎は、西麻布の自宅で目を覚ました。悪い夢を見ていた。

翔太郎は、ベッドから降りると、一階の台所へ降りて行った。


母親が台所で、キャベツを切っている。

どんぶりいっぱいのキャベツの千切りと、みそ汁ととんかつを食べた。

父親はもう家を出たようだった。


朝食を食べ終わると、翔太郎は家を出た。

学校には行きたくない。ただぶらぶらと、渋谷を歩いた。デパートをうろつき、家電量販店をうろつき、ゲーセンをうろついた。

何も起こらない。世界は平穏に時を刻んでいる。つまらない。壊したい。

「その気持ちわかるよ」

センター街を歩いていたら、声をかけられた。

茶髪で、耳にピアスを付けた、ちゃらちゃらした雰囲気の男だ。

翔太郎は、その男を見た。

「その気持ちはわかるよ」

男は言った。翔太郎はその男に殴りかかったが、男は身をひるがえして、翔太郎のパンチをよけた。

「わかるよ」

翔太郎は前かがみに路面に這いつくばった。知らぬ間に間合いを詰められ、男に一撃を食らわせられていた。

「この世界を、君はどうしたいのさ」

男は翔太郎を見下ろしながら言った。

翔太郎は路面にあおむけになって、空を見上げた。道行く人が翔太郎をじろじろ見ている。視界には、ビルの先端と、男の顔と白い雲と青い空が映っていた。


あの頃を思い出す。あの巨大な宇宙船を。


いやそれは違う。人の記憶だ。ショッカは今どこで何をしているのか。別の身体を手に入れて、この惑星のどこかにいるのだろうか。すべて忘れてしまったのだろうか。

「おまえは誰だ」

翔太郎が聞いた。

「山波新伍」

男は答えた。翔太郎は、右足で地面を蹴り上げその反動を利用して、山波の顔面を思い切り蹴り飛ばした。山波は5メートルくらい吹き飛んだ。

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