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嫁が勇者に寝取られたので聖竜王を引き摺り出します

前回のあらすじ


魔王軍の六魔将ヴァルネロと己自身を賭けて決闘する事になったアイン。

ヴァルネロが不利と感じ、突撃して来た魔王軍を全て殺し尽くす。

多くの部下の犠牲の元、体制を立て直したヴァルネロだったが、アインの策略の前に命を奪われる事となった。

ヴァルネロを殺した所で、身体に妙な違和感を感じ始めた。


動かしたい部位が過剰に動く、と言えばいいだろうか?


普通に歩こうとすると大股を開く事になり、それを修正しようとするとバランスを崩して転びそうになる。


まるで自分の身体ではないような感じだ。


『ヴァルネロの魂を吸収し終えたみたいだな。契約して縛られた魂は抵抗する術をもたない。すぐに魂の吸収が成され、即座に大幅なパワーアップが出来るって訳だ。その分、今のお前の様に身体が上手く動かせなくなる事が多いがな』


急激な身体強化による知覚と感覚の変化か。


最初に聞いてはいたが、これは確かにツラいな。


魔王軍との戦いが終わってたから良いものの、先にヴァルネロを倒していたらこの状態であれだけの数と戦わなければならなかったって事か。


何にせよ、大分道草を喰った事に違いはない。


王都に向かいがてら調整していく事にしよう。










* * * * * * * * * * * * * * *











王都に向かうにはいくつかのルートがあるが、俺は通るルートを決めていた。


まずは堂々と街道を通るルート。


これは放置でいい。


俺が滅ぼしたあの街へと続く街道だが、犯人()の情報が全く漏れていないからだ。


下手にこのルートを進み、出会った連中を皆殺しにしていけば、遅かれ早かれ俺の情報が勇者(クソ野郎)に渡ってしまう。


次に深い森を進むルート。


水や食料の確保が比較的容易で、身を隠しながら進めるという利点はあるが、もう一つのルートを通る事で発生するメリットには及ばないだろう。


最後に山脈を越えるルート。


前の二つのルートに比べると、かなり難しい行程になるのは間違いない。


ただし、このルートを通る事でしか得る事の出来ないメリットがある。


聖竜王(せいりゅうおう)ヴェルセウス”


勇者という存在に力を与えると伝わる、竜族の王。


その聖竜王の棲み処がこの山脈だ。


曰く、この山脈に足を踏み入れる邪悪な存在は、聖竜王の力によって滅されるらしい。


その噂が本当なら、何であの勇者(クソ野郎)は滅されていないんだ?


どの道、勇者(クソ野郎)に力を与える存在を生かしておく訳にはいかねぇ。


王都に向かうついでに、ぶっ殺してやるよ。











「遅い」


飛び掛かってくる狼の群れを難なく捌いていく。


未だに本調子とは言えない自分の身体を慣らしていく、実戦トレーニング中だ。


比較的速い動きを見せる狼達を相手に選んだのだが、ヴァルネロに比べると亀の行進だな。


ヴァルネロの魂を喰らって、身体能力も知覚能力も跳ね上がっているのが実感出来る。


充分に慣れてきた所で、トレーニングにつき合ってくれた狼達の頭を砕き、足を掴んで地面に叩き付け、首から上を引き千切ってやった。


『魔王軍とやり合った時も思ったが、魔物にも容赦ないねぇ。身体能力と知覚の変化にもすぐ適応するし、結構結構』


人間だろうが魔物だろうが関係ないね。


あの勇者(クソ野郎)に関わってる奴なら絶対殺すし、関わってない奴なら力を手に入れる為に殺す。


復讐さえ終われば、この世界がどうなろうと構わないんだ。


せっかくの(エサ)を、見逃すつもりはない。


『つくづく俺様好みの思考だねぇ。身体能力も人間離れ所か生き物離れしてきたし、この世界で魔王にでもなってみるかぁ?』


断る。


大体、俺の魂はお前との契約で縛られてるだろうが。


それに、勇者(クソ野郎)を無駄に生かしておくつもりはねぇよ。


『あー、そうだったそうだった。アインといるのが楽し過ぎて忘れてたぜ』


ウルゴスの笑い声を聞きながら、その辺の木に成っていた果物らしき実を(かじ)りつつ、周囲の索敵を始める。


そう簡単に見つかるとは思っていないが、出来る事ならさっさと片付けてしまいたい所だな。


『周辺に聖竜王(それ)らしき気配がねぇ。胸糞悪い聖気(オーラ)残滓(ざんさい)があるから、この辺りが奴の縄張りである事に間違いはねぇんだが・・・』


隠れて様子を伺っているのか本当にいないのかは知らんが、だったら出てきたくなるようにすればいいだろ?


気配を感じてそちらに視線を向けると、こちらを警戒するように後退する熊の様な魔物がいた。


すぐに反転して逃げ出した熊だが、俺の視界に入ったのは不運だったな。


数秒で熊に追い付き、進路を遮ってやると、逃げられないと悟ったのか両手を挙げて立ち上がり、威嚇してきた。


「ガオオオオオオオッ!!」


だが俺は取り合わず、威嚇する熊の後ろに隠れる様に身を寄せていた子熊に狙いをつける。


親熊もそれに気付いたのか、子熊を隠すように身体を割り込ませていた。


無駄だよ。


威嚇する親熊の側をすり抜け、子熊の後ろに回り込み、その後ろ首を掴んで持ち上げる。


「キュイ!? キュイ!!」


何が起こったかわからず暴れる子熊だが、その程度で振りほどかれる様な腕力じゃない。


「ガ!? ガオオオオオオオンッ!!」


一拍遅れて事態に気付いた親熊が、子熊を取り返そうと飛び掛かってくるがもう遅い。


まずは掴み上げた子熊をそのまま地面に叩き付け、頚椎を砕く。


次いで、親熊が振り下ろした腕を掻い潜り、噛み付こうと開けられた口に目掛けて手刀を叩き込んでやる。


大した抵抗も感じず、親熊の頭部を貫通した手刀を引き抜くと、どうやら脳へと繋がる神経を丸ごと抉っていたらしく、その場で倒れ込み、ビクビクと痙攣した後、動かなくなった。


その後も視界に入った生物を淡々と片付けていく。


大型だろうが小型だろうが関係ない。


それは端から見れば生きる為でなく、喰う為でもない、ただただ無差別に殺していくだけの行為。


魂を吸収するという目的もあったが、本当の狙いは別にある。


この山は聖竜王の縄張りとも言っていいだろう。


その縄張りに棲まう生物が無差別に殺されていれば━━━


「ソノ辺ニシテモラオウカ」


━━━出て来ない訳にはいかねぇよなぁ?


“聖竜王ヴェルセウス”。

お待たせして申し訳ありません。

本業との兼ね合い、別作品との同時執筆の為、更新が滞ってしまいました。

他にも色々と理由はあるのですが、言い訳にしかならないのでこの辺で・・・。


多くの読者様方からの感想や励ましを頂きまして、本当にありがとうございます。

“更新がないので心配です“との声もありますが、不慮の事故でもない限り、更新を中断する場合は、必ず活動報告などで一報入れますので御安心下さい。


本日は二話同時投稿しておりますので、そちらの方も楽しんで下さいね。


お時間があれば、評価や感想を書いて頂けると幸いです。

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