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異世界喫茶店マミー

作者: 麦酒

石を持って大きく振りかぶって読んで下さい

ここは喫茶店マミー、立地が悪いのかお客さんが全然来なくて経営の危機だったのですが、近所の狸大明神社にお参りしたらあら不思議、喫茶店の入り口が異世界へ繋がっちゃったんです!



私は折野代美オリノヨミこの喫茶店マミーのマスター兼ウェイトレス、金髪縦ロールに黄色いエプロンドレスがトレードマークの永遠の17才

喫茶店の名前のせいかマミさんと呼ばれている

店内を見渡すと機能美に溢れたモダン建築で、キッチンを囲むようにカウンターが設置されている、この前お金が貯まったので追加した料理を運ぶ新幹線の模型のレールは密かな自慢だったりする

インテリアも抜かりはない、先代からあるランプ型照明に干支をあしらった切り絵を張ったので壁に揺らめく蛇や馬が写って幻想的だ、小物も絵画や花を片付けて一粒300mのポスターや狸の置物を置いて和風テイストを出している

まさに完璧な美の空間である!

唯一の不満はキッチンにいるただ1人の従業員、コックの彼にピエロの衣装を拒否された事ぐらいである

似合うと思うんだけどなー、動画とかでたまに見掛けるジャグリングしながら料理を作る人を目指して欲しいのに


ルネッサーンス♪


昨日付け替えた呼び鈴が鳴り今日初めてのお客さんが入って来る、コックの彼が何故か膝から崩れ落ちてるけど今は接客だ


「いらっしゃいませ、ようこそ喫茶マミーへ」

入って来たのは豚顔に牛顔に下半身が馬の巨漢3人、オークキングにミノタウロスにケンタウロスと言ってたっけ?とりあえず常連さんだ 

席へ案内してすかさずケンタウロスさんの倚子を片付けて代わりに藁を敷く、お客さんに合わせた接待、流石は私である

コックの彼からクッションや毛布で良いだろ?と言われたが、馬には藁でしよ?そこを分からない彼はまだまだ未熟としか言い様がない


「ご注文がお決まりになりましたらお呼び下さい」

メニューを渡しつつ営業スマイルを放つ、喰らえ天使の微笑み!そして高額メニューを頼むのです!

「とりあえずカレー3つ」

オークキングが『スキル王者の威厳』を放ちながら言ってきた

くっ、私の天使の微笑みを跳ね返すとはやるわね!

「かしこまりました」


私はキッチンへ行くとコックの彼が用意していたティーポットを受け取る

注文を受けてから用意してたには早すぎる、まさか3人が入店すると同時に準備してたの?

彼を見ると温め終わったティーカップをトレイに乗せてる所だった

何この出来る男臭、今なら何を注文しても「あるよ」と言い返しそうなオーラを感じる

「ほらよ、温かいうちに持って行ってやりな」

彼の言葉に笑顔で返事すると、私は3人のお客さんの前にカップを置きカレーを注ぐ

「ご飯と福神漬けはお好みでお入れ下さい」

3人は各々好みの分量を入れると、ゆっくりとカップを傾け一口で飲み干す


「ふー、やっぱりうまいなここのカレーは」

「あれ?ブレンド変えた?」

「あっ本当だ、いつもよりコクがある」

豚牛馬と感想を述べる

おおー、一口で見抜かれるとは流石常連、味の判る男って素敵

あとミノタウロスさんお口にお髭が出来てる、カワイイ


「分かりますか、実はポークカレーからキーマカレーに変えたんです」

「いつものゴロっとした肉の入ったカレーもいいけど、こっちの方が飲みやすくていいね」

「僕もこっち方が好きかな」

牛馬には好評のようだ、ふふふ、ポークカレーなど所詮は貧乏人の食い物よ、この気品に満ちたキーマカレーの虜になるがいい


「いや、俺は前の方が好きだな」

豚が反逆してきた、さっきやっぱりうまいなとか言ってたのに!そんなにポークが好きか?豚の王様だから豚すべてを愛してるのか?ならば私は守備範囲外だな、代わりにこれを喰らわせてやる


「いつものポークカレーもごさいますよ、おかわりはいかがてすか?」

私は笑顔で提案した、何故あるかだって?それは私が貧乏だからだ!合い挽き肉高いよもっと安くしてよ、コストコ誘致してよ、誰か彼氏紹介してよ


「おかわりだ、もちろんポークカレーを」

「俺はキーマカレーをおかわり、この味気に入っちゃった」

「うーん僕はどうしよう……飲み比べてみたいから両方ちょうだい」

「かしこまりました、すぐお持ちしますね」

空いたカップを片付けキッチンに目を向けると、すでにコックの彼は新しいカップを温めていた

これが以心伝心阿吽の呼吸というやつね、流石は私のパートナー、潰れるかけてお金が無かった時代に「お前の味噌汁を毎朝飲みたい」と言われた時は頭を疑ったけど、貴方こそ最高のパートナー、略してベスパだわ


「あいよ、キーマ2つにポーク2つあがり……でだ、今更だがお前らに1つだけ言いたい」

「うん、なに?」

酷く疲れた顔して彼が言う、休みが足りないのかしら?ブラックだわ!そうだ部屋空いてるしここで寝泊まりさせれば通勤時間なくなるし、ついでに私の服も洗濯してもらえる

あったま良いー私


「カレーは飲み物じゃねー」


ティーポットにカレー入れてる人間が何言ってるんだ?この日4人の心は1つになった


そっと石を地面に置いて下さい

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