宇宙人による地球侵略
この記録は、私の記憶を元に書いています。
もしかしたら奴らに、記憶を弄られているかもしれません。
なので事実とは違うかもしれませんが、一応、残しておこうと思います。
私が失踪した、5月21日から、5月25日までの間の記録です。
まず最初に、私の素性を書き記します。
恥ずかしいので、最低限に抑えます。
高校二年生 17歳。身長165cm 体重秘密。黒髪のポニーテール、制服はブレザー。好きな食べ物はクリームシチュー、ビーフシチュー、おでん、たくあん、海老、タコ、カニ、きのこ系、リンゴ、ゴリラ、ラッパ、パセリ、リンス、スルメ、めん(麺) eto
性格は、とても大人しくて、クラスの皆からは暗い奴とか思われていると思います。
でも成績は結構、優秀なほうだと思います。先生からの印象は真面目で素朴で可愛くて美少女だと思われているかもしれません。
それでは、私の自己紹介はこのくらいにして、事件についての説明を始めます。
あれは、私が高校からの帰宅途中でした。
自転車で、道路の中央分離帯を走行していました。
そして、自宅まであと数分、という所で強烈な光に包まれました。
その瞬間、意識を失い、目が覚めると白いベットの上で寝かされていました。
目の前には丸い電球のような物がいくつも光を放っており、まるで手術室のようでした。
周りには白い服を着た生き物らしき奴が数体。私が目を覚ました事に気づいた奴らは話しかけてきました。
「@¥^-^」¥・・¥(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾」
何と言っているのか分かりませんでした。
私は、朦朧とする意識の中、なんとか、こう言い放ちました。
「話す速度を落とせないの? 可聴域を超えてるわ」
奴らもなんとか、私の言葉を理解できたようでした。
そして、再び私に、こう話しかけてきました。
「我々は宇宙人だ。これから地球を侵略する為、君の体を解剖する。地球人を理解する為に」
なんという事でしょう。
そして再び、私は意識を失いました。
それから何時間たったのかは分かりませんが、再び目を開けると、今度はソファーのような物に座らされていました。目の前には巨大なモニターがありましたが、そこに写っている丸く青い星を見た時、私は気付きました。
ここは奴らの宇宙船の中なんだと。
「目が覚めたかい?」
目が覚めた私に、いきなり話しかけてきたのは、背が五メートルはあるであろう、謎の生き物でした。
私を取り囲むように、十体くらい居たと思います。
この宇宙人は、私を解剖して地球人の事を理解したと説明してきました。
そして、このまま地球に侵略し、人類を滅ぼすとも言いました。
でも、私は貢献したので生かしてくれるとの事でした。
しかし、私は納得できません。
人類を滅ぼされてたまるかと、宇宙人に交渉しました。
「私に都合のいい人間は残しておいて!」
宇宙人は首を横に振ります。
私の必死の説得も空しく、宇宙人達は目の前で会議を始めました。
「では、これより地球人殲滅作戦を開始する。参謀! 作戦はあるか」
参謀と呼ばれた宇宙人は、目の前のモニターに、数年前に流行った怪獣の特撮映画を再生しました。
「地球には、このような恐ろしい生物が居るようです。しかし、地球人は撃退に成功しています。決して油断してはなりません。なので私が綿密な作戦を建てました」
なんという事でしょう。この宇宙人達は、地球人の作った映画がリアル過ぎて、現実の物だと思い込んでいたのです。あまりのマヌケっぷり、私はつい、クスリと笑ってしまいました。
「あはははは! ゲフッ! ゴフっ……ゴホッ……あー、笑いすぎて……咽た……」
宇宙人達は、私の小さな笑い声も聞き漏らさず、私に質問してきました。
「地球人よ。何がおかしい。意見があるのか?」
私は怯えました。とても意見など言える筈もありません。
もの凄く怖かったからです。
でも、勇気を出していいました。
「私に意見を求めるか、この宇宙人どもめ! 首を垂れよ! わらわに平服せよ!」
怯えながら言う私に、宇宙人達は時間の無駄だと理解したようです。
そのまま会議を続ける宇宙人達。
「では、私の作戦を説明します。まずは、地球人達に我々は友好な種だと思わせるのです」
なんという事でしょう。彼らは、まず人間達に自分達は味方だと思わせる事にしたようです。
私は引き続き、黙って会議を見守りました。
「その為には、まず我々の見た目を地球人好みにします。こちらをご覧ください」
モニターに、一枚の画像が表示されました。
「参謀……これは……なんだ?」
「ハッ、地球の生物で、キャットと申します」
表示された画像は、可愛らしい子猫が、駅員さんの服を着ている物でした。
「この生物に、地球人はメロメロです。こぞって群がり、友好的な姿勢を示しています」
なんという事でしょう、彼らは猫に成りすまして地球に紛れ込むつもりのようです。
そんな事をされたら、地球人は誰も気づきません。
そして、彼らの言う通り、メロメロになってしまいます。
「では参謀。そのキャットに……なった後は?」
「しばらくは地球人と共に過ごし、諜報活動に努めるのです。そして彼らを確実に殲滅できる時を待ちます」
なんとも慎重な参謀です。
そんな事をしなくても、ここからビームでも打てばいいのに、と思ってしましました。
「こっから攻撃すればいいじゃん……反撃なんか出来ないだろうし……」
その瞬間、宇宙人達は私を見つめ、その手があったと騒ぎ始めました。
なんという事でしょう、私の心を読んだのです。
「その手で行くぞ! 参謀! お前はクビだ!」
「お、おまちください! その者は地球人です! もしかしたらワナかもしれません!」
参謀は必死に自分の作戦を押していました。
それほどまでに、猫になりたかったのでしょうか。
「そうか、その可能性も否定できん」
「そうです! それに、その地球人は幼い個体です! とても地球の科学力を周知しているとは思えません」
確かに、私は人類の科学力を全て網羅している訳ではありません。
さて、どうした物かと私は考えました。
そして思いついたのです。地球には、素晴らしい映画があったと。
きっと、彼らはその映画を見た瞬間、信じ込み、地球人を恐れ逃げ去ると思いました。
「あの、シャイ○ングって映画を見てみてください。それで人間がどんな生き物か分かります」
宇宙人達は、またワナではないか、と思ったようですが、とりあえず見てみようと思ったようです。
モニターに再生しだす宇宙人。
その時、私は自分の過ちに気が付きました。
この映画、ものすごく怖いからです。私も。
しばらくの間、宇宙人達は映画に見入ってました。
そして、統率を取っていた宇宙人が言い放ちます。
「キャ、キャットになろう、そうしよう」
私もコクコクと頷きました。
それがいいと。
そして宇宙人達は、そろって別の個室に入って行きました。
それから数分後、再び戻って来た宇宙人の姿に、私は思わず微笑みます。
猫が二足歩行で歩き、白い服を着ていたからです。ちなみにサイズも子猫でした。
「よし、この姿で地球を侵略するにゃ!」
私は我慢出来ずに、リーダー格の猫を抱き上げ、頬ずりしました。
とても可愛いと思ったからです。
「にゃ、にゃにする!」
「にゃんと! 早速変身した効果が! にゃんともチョロい種ですにゃ、地球人!」
そして彼らは小さな宇宙船に乗りこみ、地球へと旅立っていきました。
その後、私は何時の間にか寝てしまい、目が覚めると自分の部屋でした。
警察の人に事情を聞かれましたが、私は本当の事を言っても信じて貰えないと思い、家出をしていたと、嘘を付いてしまいました。
ですが、私はここに真実を記録します。
これを読んだ人は、白い服を着た二足歩行する猫に注意してください。
そして出来る事なら、彼らにサスペンスホラー系の映画を中心に見せてあげてください。
「よし、こんなもんかな……」
「書けたにゃ?」
「うん。君達が友好的な生物だってアピールしておいたよ」
「助かるにゃ。地球人恐ろしいにゃ……インデペ○デンス・デイを見て……もう諦めたにゃ……」
「それがいいと思うよ。ぁ、仲間に伝えといて、二足歩行すると、怖い映画沢山見る事になるぞーって」
完
色々な意味でスミマセンデシタ……