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振り返るとヤツが居た。

本日二度目の更新。

一度目が少し短かった為追加で更新です。

次回更新は書きあがり次第あげる予定です。

見覚えの無い器に盛られた肉汁を颯爽と口に運ぶ少年?


「おい、誰の許可を取って人の飯を食ってるんだ?」


『えー?こんなに沢山あるんだから少しくらいいじゃん!』


そう言いつつも、カマドの上の鍋を覗いてみると残り(野菜のみ肉無し)一割も残っていなかった。


「そういいながらほとんど残ってねぇじゃねぇか!俺の晩飯返しやがれ!」


そう言うと、そいつは口の中の物を皿に戻して一言。


『解ったよ!はいどうぞ。』


そう言いつつ、手に持った器を俺に差し出す。


「なんだ?この感情は?俺の中の何かがどす黒く膨れ上がるような感じがしてくるな・・・。」


『やだなー。冗談だよじょ・う・だ・ん♪』


神様。今日初めて人?を殺してしまうかもしれません。


『ん?ボクがカミサマって知ってるでしょ?何言ってるのさ?』


ヤバイ、心を読みやがった。


『キミってホント忘れっぽいんだよねー?』


「そんな事は無い。しかし、これだと俺の分が全く足りないな・・・。」


『そんな事より、もっと大事な事を忘れてないかい?』


無視を決め込み。収納空間を漁る。


「チビ助、この間作った串焼きも食べるか?」


「クアァァァ!」


今日一番の輝きではないだろうか。小さな目を目いっぱい大きくさせ俺を見る。


串焼きと言っても大き目のサイズのぶつ切り肉をコレでもかと串にさした贅沢品だ。


『おぉ、それも美味しそうだねぇ。』


「ん?お前は濃い目の味付けが好みなんだろ?残念ながら薄い塩味だからな。」


『ねぇねぇ、そんな意地悪しなくても良いじゃないかい?キミとボクとの仲じゃないか。』


「ほう、勝手にこの世界に放り込まれた挙句すぐに処刑されそうになり、その上その村ごと敵に襲撃されたのにそんな仲だと言うつもりか?」


『ん~、いけずぅ。そんな過去の事は忘れて、ね?まだあるんでしょ?』


無言で手に持った串焼きをソレに放り投げると自分の分を取り出す。


『しかし、空間収納かぁ。結構レアなスキルだよねぇ・・・。』


「は?レアだと?マジックバックとか収納の装具とか持たずにどうやって採取や狩りにいくんだよ!?」


『そうだよねぇ、君達の世界の感覚じゃちょっと珍しいって位のイメージだよねぇ。


でもね、この世界じゃかなりのレアなスキルでね、持っているのが発覚すればまず間違いなく国に囲い込まれるねぇ。


ちなみに収納の魔道具もかなりのレア物で下手すれば国宝級って所かな?


まぁ、両手に抱えられる程度の収納量ならそこそこ出回ってはいるけど、結構お高いんですよ?』


どこぞの通信販売かと突っ込みたくなる衝動を抑えつつ質問を続ける。


「ちなみに国の規模ってどのくらいなんだ?」


『ん~。大きさは様々だけど多いのは国民が2万人前後って所かなぁ。


辺境とかになると、領主や領民合わせても数百ってとこだけど、馬車で首都まで一週間とか距離は少しあるから不便と言えば不便だねぇ。』


「ふむふむ。それじゃぁ・・・『コラコラ、僕に聞いてばかりじゃ意味が無いよ?』」


ちっ・・・・。まぁいいか。


この森で自活するのは不可能じゃないけど、いい加減塩のみの味付けも飽きてきたし街で買い食い食べ歩きも悪くないかもな・・・。


『その舌打ちは聞かなかった事にして置いてあげるよ?』


「じゃぁ、明日にでも人の居る所に向うとするかなぁ。」


『あ、ちなみにそのコは連れて行くと不味いことになるかもよ?』


「クァァ?」


自分の事を言われたのを気がついたのか俺とソレを交互に見比べる。


「なんだよ?使い魔や魔獣使いすらも珍しいって言いたいのかよ?」


『いやね?ほら、その、ね?』


ニコニコしながらも、その視線は動かない。


動かないと言うよりは俺の背後に何かが居るようだ。


「は?俺の後ろに何が居るって言うんだよ?オークやオーガ程度話にもならないぜ?」


ゲーム時代で培った俺の前ではオーガすらゲームのスライム以下の強さに感じた。


確かに一撃でも食らえば即座に死につながるような攻撃ばかりだが、不思議なことに状態異常に耐性を持つ魔物に出会った事が無かった。


手持ちの毒薬、麻痺薬などで弱体化させれば赤子の手を捻るより簡単に決着がついた。


手当たり次第に食べようと思っては見たものの、オーク以外はラノベ等で読んだ時に食べられる描写が無かった様に、オーガは筋ばかりで食えたものでは無く、ゴブリンは食べるところがほぼ無い上に臭くて食べられたものじゃなかった。


それに比べ、オークは豚肉、しかもかなり高級な霜降りに食ってって感じだった。

部位によっては脂肪は少ないものの煮込めばしっかり味も出て良い出汁になった。


ウルフ系は薬品の臭いに敏感なのか感知範囲に入らなくても近づくだけで逃げていく始末。


当然飛んでいる魔物に関しては森の中からでは倒せたとしても落ちるまでに見失う確立が高く無視することにしている。


『ふむ。じゃぁ、ボクからの最後になるかもしれないヒントだよ?


キミがよく水を汲みに行く川をそのまま川沿いに下って行けば後は必然さ?


じゃぁ、この世界では寿命を迎えられる事を祈っているよ。


バイバイ?』


以前の様な薄ら笑いを浮かべながら手を振ると霞のように消え去るアイツ。


「ったく・・・。最後最後って一体何が居るってんだよ?」


そう言いつつ振り向くと、目の前に居たと言うよりは視界いっぱいに広がるのは赤く脈打つ口内にびっしりと生える鋭い牙牙牙・・・。


「------!!」


声にならない悲鳴を上げそうになるも手で口を押さえ静かに後ずさる。


徐々にその全貌が見え始めた所でソイツの正体が解る。


ドラゴンだ。そうワイバーンではなく真っ赤な鱗に金色の瞳。今にもブレスを吐きそうな大きな口の真っ赤なドラゴンだった。




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