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その香りに釣られて現れたのは?

長期間更新停止して申し訳ありませんでした。


時間の許す限り更新していきたいと思いますのでよろしくお願いします。

「クアックァクアァァァァー」


宙に浮いた皿が泣き声をあげながら近寄ってくる。



何も乗っていない空っぽの皿を鷲づかみにして一言。


「おい、チビ助昼飯の時間にはまだ早いだろ?」



そう、昼と言うより地球時間にして10時を回った頃だろうか、鬱葱と生い茂る森の中


「クァ?クワックワワワ!」



「なんだって?今日は朝御飯しか食べてないだと?当たり前だろ!


一体一日何食計算してるんだ?」



「クワワ、クワックワ!!」



「腹が減ったら食事時?間違いじゃないがお前に合わせる義理も道理も無いな。」



「・・・・・。」


哀愁を漂わせながらトボトボと来た道をそのまま歩き去っていく小さな姿を見ると


どうにも放置してはいけない気がしてたまらなくなってくる。


「おいっ!」


そういいつつ、収納からリンゴに似た果物を一つ取り出し放り投げる。


「クアッ!」


飛んでくる果実に目を輝かせ手を伸ばすも短すぎて顔面にてキャッチする。


「本当に、学習能力の無いヤツだよな・・・。」



そう言いつつも、果実に夢中なチビ助の鼻っ面をぴんっと弾くと、不思議そうに見上げるチビ助。


「クアアァァア?」


「あぁ、食事中にすまないな。それを食い終わったらその辺で遊んできてもいいがあまり遠くに行くんじゃないぞ?」


「クア!」


そうしてまたガジガジと果実と格闘するチビ助。


ん?チビ助って誰かって?


森で採取してたら、いつの間にか卵の欠片を頭に載せたトカゲ?背中に小さな羽根が生えているから翼竜種だとは思うが


妙に懐かれてしまい、仕方なく連れて帰ってきたわけだ。


勘違いするなよ?さすがにゴブリンやらオーク、オーガなど肉食の魔物のうろつく森の中に放置するのが忍びなかっただけなんだからな?


ある程度育てば勝手に野性にかえるだろうさ。


そう自分に言い聞かせる意味でも、心の中で仕方がなかったと呟く俺。



「さて、ここ数日採取して来た素材が山のようになってきてたの忘れてた。


そろそろ、消化しないと今夜の寝る場所すら危ういな・・・・。」


寝床代わりの洞窟(魔法で岩肌をくり貫いた自作)に向うと、チビ助に後ろ手を振る。


「気をつけて行ってくるんだぞ?」


果実の心を鼻の頭に器用に乗せたままふらふらと森の中に入っていくチビ助。



この森での生活を始め日課とも言えるポーション、その他薬品作りを始める。


中空に浮かぶ半透明(俺にしか見えない)コンソールパネルを操作しつつ作業を進める。


パネルで操作しつつも、目の前にある素材の塊に魔力を流す。


本来は全部手動もしくは一括生産も不可能ではないのだが、手動は面倒だし

一括では失敗した時のロストが恐ろしい事になる。


半自動生成であれば成功率も安定し、クリティカルも出やすい。


まぁ、全部手動で難易度の低いものであればほぼクリティカルになるのだが

それをやろうとすると、日隠れても終わる気配が無い為却下となる。


そうやって、素材の山が粗方片付いた頃、背中に何かが当たる感触を覚える。


そう、またあの空の皿が登場したのであった。


「ん?もうそんな時間か?」


「クアックアックアアアアーーーー!!!」


どうやらかなりのご立腹のようだ。


洞窟から出てみると日も傾き薄暗くなり始めていた。


「そうだよな・・・・。調合中の最中にお前が中に入ってくるとはよっぽどのことだもんなぁ。」


ヒト種に比べて魔物や動物が臭いに敏感なのは周知の事実。


色々な素材や薬品の臭いの充満する中に入るのは余程の事が無い限りしないであろう。


最初は頭の上に掲げていた皿を下に下ろし、空のままの皿と俺を交互に見る。


「解ってるって、今日は好きなだけ食わせてやるからな?その代わり自分の寝床には自分で歩いていくんだぞ?」


「クアッ!」


目を輝かせながら俺見る。


本当に理解出来ているのかは謎ではある。


カマドに火をつけ、収納から出したオーク肉をスジから煮込み始める。


素材集めのついでに集めた食べられる野草(鑑定済み。)を適当にちぎりながら塩で味を調えていく。


チビ助の事を考えて薄めの味付けになるように、素材の旨味を生かして仕上げる。


「さぁ、出来たぞ。」


さすがに、主食になるような穀物は無い為塩味の肉入りスープのみだがチビ助には結構好評である。


まぁ、生肉そのままでも喜んで食べるのだが。肉だけじゃ栄養?が偏りそうだし、気分である。


浅い皿に肉を多めに盛ってスープと忘れずに野草も盛り付ける。


野草を入れた瞬間チビ助が悲しそうな目をしたのは見なかった事にする。


「熱いから、ゆっくりたべるんだぞ?」


言うが早いか、皿に顔を突っ込みむさぼる様に食べるチビ助。


『ボクはもう少し味が濃い方が好みなんだけどなぁ・・・?』


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