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ガマ蛙が現れた!!

「村長ごときが我らに逆らうからこうなのじゃぁー!」


爺さんを切りつけた兵士の後ろでガマ蛙が吼える。


他の村人は、恐怖に膝から泣き崩れる者、自分の妻や子供盾になる者。


みなの顔が恐怖に歪む。


「お、おやめくだ・・・さ・・い・・。」


切りつけられた爺さんが途切れ途切れに言葉を紡ぐ。


「まだ、ほざくさ!やはり村ぐるみの反抗としか思えぬなぁ・・・。


情けは無用じゃ!無な殺しにせよ!」


ガマ蛙の一言で兵士が一斉に剣を抜く。


沸騰した頭が一斉に冷える。


息を吸い込むように身体強化を発動し、爺に駆け寄る。


「大丈夫だ、じいさん。俺に任せとけ。」


駆け寄り、爺に声をかけると爺さんが俺に気がつく。



「や・・・やめ・・・ろ。逃げるの・・・じゃ。」


この期に及んで人の心配か・・・。


爺に出来が良かったポーションのウチの一つを振りかける。

即座に傷口が歩座がリ始める。


「小僧いつの間に!」


爺の横に居た兵士が今頃俺の存在に気がつく。

ゆっくりと立ち上がり、兵士を見上げる。


「おいおい、いくらなんでも気がつくのが遅すぎるんじゃねぇのか?


本当に訓練された兵士なのか?そんなんじゃゴブリン一匹殺せやしないぞ?


あぁ、あれか?


お貴族様の腰巾着は安全な街の中で威張り散らしているからそんなものだったのか?」


思いつくままに捲くし立てると、ガマ蛙ともども兵士の顔に怒りの表情が浮かぶ。


「舐めるな小僧!」


目の前の兵士が剣を振り上げ切りかかる。


あぁ、強化された俺の目にはあくびが出る位スローに移る。


その刃先を指先でそっと掴んでみた。


「ぐっ!何をした!?」


あれ?簡単に止めれたぞ?ロクに身体強化すら使えない連中か?


そう言えば、爺さんの傷も致命傷どころかそこまで深くなかった気がする。

あの距離から切り付ければ、肩口から両断できても不思議じゃないよな?


「おいおい、本当に見掛け倒しか?」


指で掴んだままの剣をそのまま振りぬく。


「ぐぁぁぁぁーーーー!!」


振り抜いた勢いに耐え切れず兵士が後ろの連中にぶつかり団子になる。


「あ・あぁぁぁ・・・。」


おいおい、今度は尻の下に水溜りってどんだけ根性が無いんだよ・・・。


ガマ蛙に関しては完全に失神している。


「本当に皆さん申し訳ありません。この件は自分が責任を持って街へ行ってきます。」


「・・・・。」


当然の様に村の人々は一様に下を向き恐怖に震えている。


たった一人の子供が貴族の連れた兵士を一瞬で倒せば誰だって化け物か何かだと思うに違いない。


「おぃ!お前らのせいだから判っているんだろうな?」


摘んだままだった剣を持ち直し団子状の兵士の目先に突きつける。


「ひぃぃぃーーーー!!」


腰が砕けたまま、後ろに後ずさる。


貴族の乗ってきた馬車に乗り込み貴族は足元に縛って転がす。


「おらっ!さっさと街まで走らせろ!」


馬車の壁をけると、御者台の兵士がウマに鞭を走らせる。その他の兵士は装備を取り上げ裸でウマの背に乗せ追走させる。


「逃げたければ、逃げてみろ。その時は容赦しないからな?」


その言葉に全員が青ざめた顔で頷く。


程なくして、門に着く。御者台の兵士が開門を求めるとなにやらひと悶着の後門が開く。


馬車はそのままガマ蛙の屋敷へと到着する。


気絶したままのガマ蛙を蹴り飛ばし目を覚まさせると床に転がす。


「ぶひぃぃー!き、貴様こんな事をして無事に済むとでも思うのかー!」


「ほう・・・。その状態で良くその台詞が吐けるものだな?


何をどうすると言うのか聞かせて貰いたい物だ。」


「なっ!なんじゃと!誰でも良い、この小僧を今すぐ殺すのじゃ!


その物には望む褒美を与えるのじゃー!」


その声にその場に居た兵士は皆首を振り動かない。


「何をしておるかー!殺せ!殺すのじゃー!」


「おい、いい加減に煩いぞ?」


先ほどから握っていたままの剣をガマ蛙の目の前に突き刺す。

作りが鈍らなのか突き刺した衝撃で中ほどから剣が折れ曲がる。


「ぷひぃぃーー!!」


あ、また気絶した・・・。


「こんな夜中に一体なんの騒ぎじゃ!」


ロビーにある大きな扉が開き30代半ばだろうか、豪華な服を着たまともそうなおっさんが登場する。


「ん?あぁ、おっさんが辺境伯とかいうヤツか?」


「ん?小僧は礼儀も知らぬのか?」


「礼儀とは何か朝まで語り合いたいものだね?」


おっさんの背後に回り方に手をこうとしたが届かず腰の辺りを叩く。


「ほう、見た目通りの小僧ではないようだな?


良かろう、ここで話すのもなんであろう。


我が屋敷に来るが良い。


他の者は、この屋敷から一歩も出すではないぞ?」


その言葉におっさんと共に来た兵士たちが槍を掲げ出口をふさぐ。


「さて、あれでも一応名のある貴族なのだが一体なんの用件なのかな?」


小奇麗な部屋へと通され目の前にはお茶とお茶菓子が並べられている。


「何の様かって?遊びに着ただけだけど?」


「ふむ。腹の探りあいは止めにしないだろうか?


先ほどの兵士の表情、それにロビーの床にささった曲がった剣。


その上、ワシでも目で追いきれぬ速度。


並の冒険者ではない事が丸わかりであるぞ?」


「あぁ、半分正解で、半分不正解だな。」


「ほう。何が間違っているかな?」


「俺は、冒険者なんて大層なものじゃねぇ。


唯の旅人だぞ?しかも孤児だ。」


「ほう。お主が唯の旅人か・・・。世も末よのぉ・・・。」


「ん?何がおかしいんだ?子供の旅人が居ちゃおかしいのか?」


「いや、少なからずそういった流れの者は居る。」


「なんだ、普通の事じゃねぇか。」


「そう、ただの旅人であれば、だ。」


「なにかおかしい所でもあるのか?」


「どうやってその力を身につけた?


唯の子供が何人もの兵士を殺さず無力化し、その上で逆らえないほどの恐怖を与えるなどと


馬鹿げた事が出来るなぞ聞いた事が無い。」


「あぁ、その事か。”努力”が足りないだけじゃないのか?」


「それともう一つ、一般の者からすれば貴族に逆らうなぞ自殺行為。


そのさらに上の辺境伯であるワシの前で物怖じする所か謎かけをする。


そのような子供が普通であるはずがなかろう?」


「おっさん、今二つ言ったぞ?」


「そこは気がついても見逃してくれる所ではないのか?」


「あぁ、そうなのか?」


「まぁ、色々と常識が欠けているのはしょうがないとしよう。


して、一体何が目的なのだ?金か?地位か?」


「ん~。そうだな・・・。あんたの命って言ったらどうする?」


「それならば、とっくに実行に移す実力を持っているであろう。


そうしない理由が他にあるからこうして話して居るのではないのか?」


中々に切れ者のようだ。


「あぁ、そうだな。そう言えば自己紹介を忘れてた。


俺はナナシ。本当に唯の旅人で年は12歳だ。」


「ふむ。12歳とは、見たままの年齢か・・。


12歳でその腕前とはさぞ良い師匠に着いたのだな?」


「師匠?そんなもんは居ないぞ?さっき孤児だって言ったばかりだろ?


人の話をちゃんと聞いてたのか?おっさんはまさか頭の中まで筋肉な可哀相な人か?」


「そうそう・・・・ってそれひどくないか?


コレでも、一応この街を任されているのだが?」


「任されていても管理できてねぇだろ?」


「どういう意味だ?」


「そのままの意味だよ。」


「先ほどの、ミート男爵の事か?」


「まんまじゃねぇか・・・。


まぁ、そのミート男爵とかいうガマ蛙がやっていた事すら把握してねぇから管理が出来てないって言うんだぞ?」


「どういうことだ?」


「閉門後に戻ってきて馬車の中もロクに改めず素通り。


あまつさえ、詳細の判らぬ子供をそのまま自分の屋敷に連れてくるとか


マジで馬鹿じゃないのか?」


「お主の言う事も最もだが、所詮は門兵。下手に貴族に逆らえばその場で打ち捨てられるやも知れぬ。


それにあの場はああでもせねばワシはこの世におらんかったかも知れぬ。」


「だから、考えが甘いって言うんだぞ?


門兵に権力が無いのであれば、権力のある者を門兵に据えればいい。


問題が起こった時にいきなり自分が出向くのも愚の骨頂。


少し考えればわかる事だろう?」


「そうか、なるほど・・・。よしお主ワシの配下にならぬか?」


「断る。」


「なんじゃ?即答か?給金は弾むぞ?」


「金で動くと思うのか?」


「思わぬなぁ。」


「考えて言ったのか?」


「いや?勢いで口からでてしまった。」


「やっぱり脳筋じゃねぇか。」


「ほれ、そんなワシだからこそな?」


「な?じゃねぇよ!!」


「むぅ、駄目か?」


「却下。」


「なら、ワシはどうすれば良い?」


「自分で考えろ。」


「そこを何とか・・・。」


「ったく、今回だけだぞ?」


「んむ。助かる。」


「まず、ガマ蛙の兵士を連れて森の手前の開拓村へ調査に行って来い。」


「ドラゴンが出たのにか?まだ準備がすんでおらんぞ?」


「だから、いきなり自分で出向こうとするな。


信頼出来る兵士に連行させて、村長から話を聞いてこさせるんだ。」


「ほうほう・・・。それで?」


「その後は、話を聞いてきてからだ。」


「そうか・・・。では、客間に案内させよう。」


「断る。」


「なんでじゃ?」


「こんなとこで寝られかよ!」


「他の領からの客人を泊める部屋に問題でもあるのか?」


「豪華すぎておちつかねぇって言ってんだ!


街で宿を取るから、戻ってきたら伝令をよこしやがれ!!」


「ふむぅ・・・。残念じゃなぁ。


いや、無理強いも出来ぬか・・・。


そのようにしよう。」


堅苦しい屋敷で一晩明かすのに耐えられないため、屋敷を後に夜の街に行く事に決めた。



何とか無事更新完了です。

今後ともよろしくお願いします。

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