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第一村人発見?

一夜明けて早朝から、人里を目指して歩く俺。


いい加減肉肉肉魚肉肉の生活も飽きた。


黒パンでも構わないから、肉や魚以外のものが食べたいなー

夜が明けて、荷造りを済ますと、川沿いに川下へとのんびり歩いてゆく。


途中で、ゴブリンやオークなどと遭遇するも、採取の時と変わらずサクッと退治し

必要な部位を回収し、他は穴を掘って焼いてから埋める。


「今日の昼飯が確保出来たな。


しかし、アイツの言った通りに川下に向い始めて既に半日近くか・・・。


このままじゃ、日暮れまでに街に到着できるか怪しいところだなぁ・・・。」


ブツブツとボヤキながら歩を進めると、やがて木々も疎らになり街道のようなものが見えてきた。


「半日歩いてやっと道が見えてきたな。


確かにどの位の距離とも聞いてなかった俺も悪いが、


もっと真面目に走るべきだったかもしれない・・・。」


街道の少し手前で、荷物の確認をする。


「収納スキルをむやみやたらに見せるわけにもいかないから、大き目の背袋に必要な物をまとめよう。」


煮ても焼いても食えなかったオーガの硬い皮で作った背袋に森で拾った薪と野うさぎの毛皮、干したオークの肉や塩を小分けした物などを適当に詰める。


最後に中華鍋風の鉄鍋を背袋に掛け背中に背負う。


背袋のそこの方とズボンのポケットに盗賊から巻き上げた金品のうち銅貨と銀貨数枚を分けて持つ。


下手に金貨など見せれば、唯でさえ子供に見られがちな俺の事だ、良いカモにしか見られないだろう。


好んで読んだ異世界物では大体12~15歳で成人だったのを思い出し、自分の年は12歳で行くと決める。


身よりは無く、冒険者を目指して旅をしてきた旅人だと言う設定だ。


名前は当然苗字などは無い、捨て子に近い孤児なので名前は名無しからそのままナナシでいいか・・・。


難しく考えると、自分自身で覚えれなくなりそうだしな。


ゆっくりと昼飯を食いたい気もするが、日が暮れてしまえば当然街には入れないだろう。


干し肉を齧りながら再び歩き始める。


先程までは手ぶらでお気楽だったが、今はかなりの重さの荷物を背負っている為

身体強化を使い少し急ぎ目で歩き始める。


しかしながら、いつ人に見られても良いように、速度は出しすぎずだ。


森から離れるように、街道沿いをひたすら歩いていくと、日が傾きかけた頃に


街と言うより村と言った方がしっくりくる開拓村のような場所へ着いた。


簡素な木の柵で囲われ、柵の内と外には麦の様な物や野菜を作っているであろう畑があり


その内側には何軒もの木作りの家が並びチラホラと夕食のした支度だろうか明り取りの小窓から

煙があがっているのが見える。


村の入り口まで来たとたん、半開きだった窓や戸口が一斉に閉まり始まる。


「あれ?なんかマズイ雰囲気だな・・・。」


夜通し歩けば街まで着けるかと思い直し、村を後にしようとすると後ろから人の気配がしてきた。


「何用じゃ?」


しわがれた声で呼び止められる。


「突然の訪問申し訳ありません。旅の途中道に迷い困っていた所で煙が上がるのが見えたのですが


歓迎されそうな雰囲気ではなかったので街へ急ごうと思っていた次第です。」


「そうか、役人ではないのだな?」


「こんな子供の役人が居るのでしょうか?」


「ワシもそんな事は聞いたことが無いな。」


「私もありません。」


「皆の者、安心せい領主の関係の者では無い様じゃぞ!!」


その言葉に安心したのか、戸口が次々に開き村人が不安げに顔を出す。


「本当に申し訳ありません。


一晩軒先でも借りれればと安易に考えた自分のせいですね・・・。」


不味いことをしてしまった思い、謝罪をする。


「以前はたまに旅人も通りががることもあったのじゃが、つい先日この先の森に龍が下りたと


街から伝令が走り、物資の追加徴収をして行ったばかりなのじゃ・・・。」


あ、あれのせいか・・・。


先日の事を思い出し、まさに自分がその事件の関係者だと思い知らされた。


「冬支度の直前に追加徴収を受けさらに上乗せが来たかとみなの衆が不安に思っていただけじゃ。


お主が悪いわけではない。


道に迷ったといっておったがどこから来たのじゃ?」


「えぇ、山二つ向こうの村からです。


その前はそのさらに山を三つほど越えた先のむらからですね。


定住先をさがして旅をしております。」


「お主一人でか?」


「はい。頼るべき身内はおりません。


両親は自分が小さい頃にはやり病でこの世にはおりません。


運よく自分は助かったのですが、領主から村ごと見捨てられ生き残った者もばらばらになりまして


今はどうしているのかもわかりません。」


「そうかそうか・・・。


もう一日もあるけば領主の納める街まで着く。


もう少しの辛抱じゃ。


食事を出す余裕は無いが、軒先と言わずウチに来るが良い。」


「食事に関しては、用意があるので大丈夫です。


しかし、こんな得体の知れない者を泊めても良いのですか?」


自分ならさっさと出て行ってくれと言いそうな状況に周りを見渡すと何故か涙を流す村人が何人も居た。


「子供がそんな心配をするんじゃない!」


あれ?怒られた?


「ここで話していても冷え込むだけじゃ。


ウチに入って話すとしよう。」


そうして、村長らしき老人の家に通されると、囲炉裏の傍で先ほどの話の続きが始まる。


「お主も村の衆で泣いていた者がおったのは見たであろう?」


「えぇ、ただの身の上話で泣かれるとは思っても見ませんでしたが・・・。」


「本来ならそうかも知れぬが、この村でも二年ほど前になるか・・・。


少し悪い病気が流行って、体力の無いお主位の子供達が何人も死んでしまったのじゃ。


泣いていた者達はその家族じゃ。


その時の事を思い出してしまったのじゃろうなぁ・・・。」


「そうでしたか・・・。


なんか二重に迷惑をお掛けしてしまい申し訳ありません・・・。」


「いやいや、先ほども言ったがお主が悪いわけじゃ無いじゃろうて。」


「ご迷惑ついでに、手持ちの保存食と穀物を交換していただけないでしょうか?


ここ二週間程ずっと森を彷徨い続け保存食以外まともに口にしていない物で・・・。」


「保存食とな?ワシらも食料の備蓄に余裕があるわけでは無いが

お主が食べる分位は何とかなるかもしれん。」


「本当ですか!?」


結果、怒られました。


「お主は一体何を考えておるんじゃ!」


「はい、返す言葉もございません・・・。」


「教えてくれる大人が居ないとは言え、干し肉にこんなに塩を使う始末。


その上、その背袋の材料がオーガの革じゃと!?


どんな贅沢な旅をしておるのじゃ!!」


「えっと・・・・。」


旅の中で死んだ魔物から皮を剥いだり、罠をしかけてオークやゴブリンを倒し素材を集める。


摘んだ薬草などで水薬を作りそれを売り路銀にしていた事を適当に誤魔化しつつ説明した。


「塩に関しては、山で迷子になっていた時に動物が集まる岩があり舐めてみると岩塩だったので

持ちきれる限界まで背袋に入れてきたのです。」


「お主は余程の幸運に恵まれていたのじゃろう。


お主の様な子供であれば何度も命を落としていた筈の旅じゃ。」


仰るとおりごもっともです。


何せ、中身はいい年のおっさんなのですから。


小言を沢山言われながらも小さな袋の岩塩と鍋一杯の麦と交換してくれた。


海が近くに無い為、この辺りでは塩は結構貴重な物らしい。


囲炉裏を借りて、麦粥に干し肉を入れ煮込んでいる間に家畜小屋から牛の乳も分けて貰える事になった。


「しかし、牛たちも随分やせていますねぇ・・・。」


鑑定した結果を見ると若干の栄養不良に加え病気にもなりかかっていた。


このままでは貴重な財産である家畜が冬を越せずに死んでしまう。


「今年は天候が余り思わしくなかったせいでのぉ・・・。


村人たちも何とか世話をしているが今年の冬が越せるか不安でのぉ・・・。」


中でも一番症状のひどい牛に手を当て治癒魔法をかける。


「お主一体何をしているんじゃ?」


「いえ、ちょっとしたおまじないですよ。」


村長に魔法の素質が無いのは鑑定の結果でわかっている。


魔力の見えない物には治癒魔法の光は見えない。


懐から岩塩の小袋を取り出し、飼い葉桶に少し振り掛ける。


そして、病気の家畜たちに自作の水薬(治癒のポーションと解毒のポーション)を飲ませていく。


「自分の体でも試しているから毒ではないです。


ただ、何処まで効果があるかは解りませんが少しでもよくなる事を祈りましょう。」


「お主、本当に良いのか?この村にはそんな対価が支払えるような物は無いぞ?」


「えぇ、自分の村に病が流行った時は自分には何も力はありませんでした。


しかし、そこから今まで幸運にも色々な人に助けられ生きてこられましたから。」


「そうかそうか・・・。」


「でも、安易に旅人は信用してはいけませんよ?


もし自分が盗賊とかだったらどうするつもりなのですか?」


「ふむ。それに関しては村をまとめていたワシの目が曇っていたと言うことじゃろう。」


「それもそうですね。」


と村長と笑顔を交わし、部屋に戻ると村長の家から大きな声が聞こえてくる。


「おやめください!」


「えぇい!離さぬか!!」


鎧を着た兵士が何故か俺の背袋を持ち村長の家から出てきた。


その足元には村長の奥さんがしがみついていた。


「あ、あんた!大変だよ!」


「どうした!何があったのじゃ!!」


村長の家の中を確認すると俺の晩飯は食い散らかされ、俺の荷物どころか先ほど渡した小さな塩の袋すらなくなっていた。


「お前達を反逆罪で連行する!!」


「一体何の事じゃ!!」


そう言う村長をいきなり縛り上げ兵士たちが連れていこうとする。


「先日の徴収の際によくもこれだけの物資を隠しておけたものだ。


魔物の脅威から守り、お前たちに恵みを与えてる居るのが誰なのか忘れたのか!!」


兵士たちの置くからガマ蛙の様なでっぷりと太った気色の悪いおっさんが汗をかきながら出てくる。


「おい!人の荷物を勝手に盗むんじゃねぇ!」


親切にしてくれた村長達を足蹴にし、あまつさえ俺の荷物を盗む輩だ。

兵士の格好をしていようが盗賊となんら変わりない。


俺の中の怒りが限界を超える。


「お、お主!止めんか殺されてしまう。


ワシ等は疑いが晴れれば戻ってこれるはずじゃ。


命を粗末にするもんじゃないぞ!!」


「ふむ・・・。そこなる小汚い餓鬼がコレの持ち主だと?


こんな上等な魔物の革で作ったものだ。どうせ盗品であろう?


中も改めさせて貰ったが、どう考えてもこの村の年貢の10年分以上の価値があるわ。


村後と焼き払っても十分お釣りがくるのぉ・・・。」


ぐへぐへと下品な笑いを浮かべるガマ蛙。


村長の顔に驚愕の表情が浮かぶ。


「あぁ、そうか。


この村が魔物に襲われたと証して焼き払いソイツを懐に入れる算段なんだな?」


「いやに察しのいい餓鬼じゃのぉ・・・。


頭のいい餓鬼は嫌いだ。そいつもろとも焼き払ってしまえ!!」


そう言うが早いか腰に挿した剣で村長を切りつける。


その光景を見た瞬間俺の頭が真っ白になる。



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