模擬戦闘と少女
屋外の模擬戦闘エリアにつくともうたくさんの生徒が待っていた。
「そろったようですね。では第一戦目を開始しします。」
先生は順番が最初のチームがエリアに入るよう指示した。
僕は・・・第二試合目か。
対戦表を確認していると後ろから静かな声が聞こえた。
「左手・・・大丈夫だったの?」
振り向くと透き通るような水色の髪の少女がいた。
レイ・ノース、それが彼女の名前だ。容姿、成績ともにクラスでトップなのだが本人はとても寡黙な性格で、彼女が笑ったところを見れたら一生忘れられない。とまで密かに作られたファンクラブのやつがいっていた。
ファンクラブが密かなのは今まで挑戦した先輩、後輩、同級生がことごとく「・・・無理」という言葉で返されているからだ。
「じいさんから聞いたの?」
返事は縦に一回頭を振るだけだった。
「大丈夫だよ。実際痛みもないし。」
「・・・・そう?」
レイが少しだけ目を細める。これは疑っている時の顔だ。段々微妙な表情の違いがわかるようになってきていた。
疑っているなら直接言えよ。と思わなくもないが彼女の性格からいってそれはないだろう。
彼女はよく物を凝視することがあってそれをされるとなんだか気まずくなってしまう。
「模擬戦闘、無理しないでね。」
やっぱり信じてなかった。
「わかったわかつた。」
模擬戦闘は何人かで組んだチームでお互いに戦う人気のある授業だ。先にシールドをはっているので怪我の心配はない。ここでいい成績を残すとあとあと便利だしその週のランキングで上位に入れば評価も上がる。何よりも実際に戦闘できることがアモンには嬉しかった。
そういえばレイと最初に喋ったのも始めて決まったチームで一緒だった時だったかな。
「そろそろ順番。」
「わかった。準備しとこうか。」
敵のチームもそろそろ反対側の門から入るところだろう。
腰に鞘を付けて剣を滑り込ませる。澄んだ金属音にあの手のことを思い出す。
攻撃魔法が無理だから得意な剣をつかっていたが剣よりも左手のほうがいいんじゃないかとは思ったが流石に人前であれは使えない。
「どうかしたの?」
またレイに心配された。気にかけてくれるのは嬉しいがちょっと一人で考え込んでることが多くなったなぁと自分に苦笑する。
先生の合図とともに門をくぐった。