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BIG DREAM(1)  作者: えふわん
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8/12

別れ、そして、再出発

3月に入り、ボーイズの練習試合が解禁され、大夢は主にライトやレフトを守る。

ピッチャーにも挑戦した。まだ短いイニングしか投げられず、キャッチボール投法ではあるがスリークォーターからコントロールよくストライクが決まり、四球で大崩れすることはなかった。

メンタルも強かった。野球部時代には考えられなかった練習を、

空白の半年で積んできていたのか自信が身についていった。

慎平は中学を卒業し、無事に高崎高校に合格した。

高校入学後は硬式野球部に入部し、仲間と共に甲子園を目指す。

ポジションは中学と変わらずピッチャーだ。

持ち前のバットコントロールから一塁や外野にも挑戦する。


3月下旬のことである。

大夢の中学の野球部顧問が離任、退職することに決まったのだ。そう、あの例の糞教師だ。

身辺調査の結果、ヤクザと関わっていたことが判明し、教員免許状も剥奪することが決定した。

いずれはそうなるであろうことだったので、知ってる人は当然と思っていた。

後任は新任教師らしいが詳しいことはわからない。

決まり次第、高崎北ボーイズからヘルプとしてコーチが来ることになった。

「初めまして。前田と申します。来たばかりでチームのことがよくわかっていませんが、ここの隣町の中学に私の息子も野球をやっているので、中学生目線で接することができるのが強みと考えています。」

部員の誰かが去年新人戦でぼろ負けしました!おいやめろよ恥ずかしい!って言うと笑って、

「はははっ、どうやら明るい子が多いみたいですね。でも大丈夫です。これからチームを立て直して下克上で勝ち上がっていきましょう!」


大夢はその事実を練習試合で代打サヨナラヒットを打って試合を決めた後に知った。

大夢は悩んだ。せっかくボーイズに溶け込んだばかりだ、なのに前田コーチが自分の中学の野球部に行ってしまうなんて・・・。

コーチの息子の恒輝もボーイズの一員だ。

サードが本職だが大夢がピッチャーの場合はキャッチャーになることもある。

恒輝は大夢と仲良くなったチームメートの1人だ。

「あの顧問が辞めたことによって僕は野球部に復帰できる。しかしボーイズのこともある。両立はやろうと思えばできるが、野球部に戻ることで恒輝がライバルになってしまう。仲間のようで敵のような存在。そんなの複雑だよ・・・。」

大夢は心の中で思っていた。

帰り際に恒輝が「父さんから話聞いたよ、大夢がボーイズに入団したいきさつ。やっぱりヤクザ顧問の下で教えられるの嫌だよね。それ聞いた父さんが、子供たちの未来をどうしてくれるんだって憤慨しちゃってさ。期間限定で榛名に行くことになるんだ。さすがにコーチで掛け持ちもつらいだろう?心配ないさ。ボーイズのコーチなら他にも代わりはいるから。ま、指導者として適性のある、人を前提としての話ではあるけどね。」

「恒輝の父さんには、感謝してもし足りないかもしれない。もし僕がボーイズ辞めるならどうする?」と大夢。

「大夢が続けるなら、俺も箕郷の野球部と両立したいと思うよ。でも、うやむやな感じで終わらせたくないじゃん?だって、今しかできないことなんだから。それに、あの変な顧問が辞めた以上ここにいる理由なんてないだろう?いや、突き放してるわけじゃないさ。俺、大夢と一緒の高校でプレーしたいんだ。」

「本気で言ってるの?」

「あぁ、本気さ。君となら甲子園行ける気がするんだ。」

「何を冗談言ってるんだね(苦笑)」

「間違いないよ。俺の目に狂いはない。一度、父さんの指導の下でやってみな。またどこかで会えることを信じているから。」

15秒くらい無言が続いてから大夢は

「あぁ、わかった。約束だぞ。」

2人は握手をし、また再開することを誓った。


結局、大夢と恒輝は3月限りでボーイズを退団し、各々の中学野球部に専属することになった。

そして4月、大夢達は中学3年に上がり、妹あゆみは中学1年生に。

松葉慎平は高校1年。応援歌練習や勉強、部活にハードな日程をこなしている。

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