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7

 昼食のあと迎えた午後の授業。

一年生に割り当てられた区域で、クラスごとに生徒が集まっていた。

もっとも、六花たちのクラスはトップクラス専用の場所になるので、他には二年生のトップクラスしかいなかったが。

 ちなみに三年以上のクラスでは、午後は全員自主練習、もしくは戦闘以外の能力のものはそちらを伸ばすための修行をしているということで、あまり見かけないが。


「それでは授業を始めます」


 整列している生徒の前には、担任の市原教師。

そのそばに三年と四年のトップクラスの担任の教師が補佐としてついている。

ーーそして、教師たちのそばには、生徒会長の竜胆も一緒だった。


「なんで生徒会長が?」

「やっぱり姫様のことが心配なんじゃないの?」


ざわざわとささやき声がする。

まあ、無理もないことだが。


「全員静かに。

 まず、最初の授業として、全員の能力を確認します。

 訓練場全体に魔道具で的を作ります。

 それを全力で破壊してください。

 ーー心配しなくても、訓練場には結界が張ってあります。

 よほどの力がないと破壊されることもありません。

 ですから、皆さん全力で攻撃してください」


魔力に目覚めてから、最低でも三ヶ月の訓練期間がある以上、攻撃をするだけならできないものはいない。


「それでは始めます。

 まずは……」


 入学式前日の魔力検査で、数値が低かったものから順に的を攻撃していく。

双葉と由美は真ん中くらいで、的も三分の一は破壊していた。


「次、黄神琥珀くん」

「はい」


 六家に関しては、どうやら月の順番らしい。

ーーまだ、六花が呼ばれてないのを全員が黄にしてはいたが。

 琥珀は魔具は出さずに、光の魔力だけであっさりとすべての的を破壊した。


「さすがですね。

 次、赤神石榴くん」

「はーい」


 石榴は魔具を出す。

両手にはまっているのは、グローブだった。

右手を振ると、そこから炎が走り的を破壊する。


「次、紫神晶くん」

「はい」


 晶もまた、魔具を出さずに風で的を破壊する。


「布でどうやってこわせってんだか……」


ぼそっとつぶやいてはいたが。


「次、青神瑠璃くん」

「ーーはい」


 瑠璃の魔具は細い筒。

そこから水の鞭が伸びる。

軽く一閃すると、的がすべて破壊される。


「次、緑神翡翠くん」

「はい」


 翡翠の魔具は大剣だった。

地面に剣を突き立てることで、針のように突き出た土が的を壊す。


「次、灰神黒曜くん」

「はい」


 黒曜が槍を振ると、それぞれの的の影が伸び破壊する。


「次、白石六花さん」

「はい!」


 六花が前に出ると、そばにあやめがよった。


「ーー少々お待ちいただけますか?」

「どうしたの、あやめちゃん?」


 六花が首をかしげるなか、理由に見当がついている教師たちはそのまま待っている。

その間に、六人は六芒星の位置に立つ。


「ーーよろしいようです。

 お願いします」

「はい」


 あやめにうなずくと、的が浮かんだ。


「どうぞ、六花さん」

「う、うん?」


疑問に思いながらも、魔具を出す。


「全力、か」


魔具に魔力を込めていく。

そして。


「やあー!」


 長剣を横に振る。

ーーその強大な魔力は、的だけでなく、結界をも破壊しかけた。


「ーーえ⁉」

「な!」


周りのクラスメイトたちが呆然とするなか、あやめはふうっと息をつく。


「結界の強度、もっと上げておいたほうがよろしいようですね」

「そうだな」


いつのまにかそばに来ていた竜胆も同意する。


「念のために用意した魔石でも、ここまでの威力にはギリギリのようだな」

「まあ、次回からは私もそちらに加われば、なんとかなるでしょう。

 強度の強化なら、私の魔具でなんとでもできますから」

「まあ、そちらはまかせる」



「ーーどういうことだ?

 こいつの魔力は……」

「魔力自身は六家の皆さんとあまり変わりが無いのですが、魔眼の能力がかなり高いのです。

 光の魔眼の常として、自身に魔力を取り込むことができます。

 その上限が、一般の魔眼持ちの方の数倍はあるので、全力で魔力を使おうとすると、こうなるのです」

「ーー」


あやめの説明に絶句する。

六花もはじめて知った自分の能力に唖然としていた。


「ですから、魔力の制御が重要となるのです。

 先生がた、お願いします」

「あ、はい」


 最後の一人であるあやめが前に出る。

そして的を撃ち抜く。

 そのために発した魔力を誰も感知できなかった。


「ーー魔具に魔力を適切に乗せると、このようなことができます。

 この的を破壊するのにたいした魔力は必要がありません。

 無駄があるからこそ、的を破壊しきることができないのです。

 それでも魔力の大きさのせいで六花さんは結界まで壊しかけてしまいましたが」

「あうーー」

「制御を完璧にできるように、これから頑張って訓練していきましょう」

「「はい!」」


 クラスメイトと教師たちの返事が唱和する。

ーー実際のところ、教師たちよりも知識も能力もすべてが上であるあやめに、教師役をお願いしたいと思っていたこともあった。

 そのため、今後の実技ではあやめも教師の一人として、主に六花に制御訓練を課すことになる。

本来のゲームではこれほどの能力は持っていませんでした。

この理由は「prologue」の出来事のせいです。

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