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 そして迎えた実習当日。

火の区に到着したとき、全員の心がひとつになった。


「「「暑い!!!」」」


ぐったりとしながらも、竜胆は火の区での実習について説明を始めた。


「ここの実習地は、いわゆる岩石地帯だ。

 あちこちに大小の岩が転がっていて、その岩に擬態して魔物は襲ってくる。

 最初から感知できるものが居れば問題はないが、必ずしも居るとは限らないからな。

 そういう状況として、訓練をする」

「ということで、晶と翡翠さんは、防御をお願いしますね」

「だから、なんでオレなんだよ!」


 じっとりと、あやめ、竜胆、華衣が晶を見つめる。


「な、なんだよ⁉」


 戸惑う晶に、はあっと三人がため息をついた。


「ーー仕方ありませんね。

 まずは私が見本を見せることにします」

「ほんっと、鈍すぎよね!

 あやめ様とさんざんヒントあげたってのに」

「全くだな。

 もう少し考える力を養ってもらいたいものだ」

「ーーおい。

 みんなしてオレの事バカにしてない?」


 その返事は、三人揃ってのため息だった。


  ーーーー


 明けて翌日。

早速、実習地に向かう。


「それでは、ここの戦い方について見本をお見せします。

 そのあとは、晶と翡翠さんは防御、出てきた魔物を他の方々で倒してください」

「はい!」


 若干一名、いやいやそうではあったがそれは無視して、あやめは自身の魔具を布状に織って準備をする。


「あれ、布?」

「あやめの魔具は糸だからな。

 簡易的に布状にすることなどわけもない」

「そうなんだ?」

「ーーおい、晶。

 お前、知らなかったのか?」

「いや、あはははーー」


 笑ってごまかす晶にため息をひとつつき、竜胆はあやめの方を見る。

 同じく、他の四人もあやめの行動を見守る。


 ヒュン、と音がしたと思うと、あやめの振るった布が魔物を絡めとっていた。

 一振りで魔物を地面に払い落とすと、そのまま布の端の部分で魔物を切り裂く。

ほとんど一瞬の出来事だった。


「ーーこれが、ここの魔物の倒し方兼晶の魔具の使い方です。

 強度は魔具である以上、問題はありませんし、硬度も魔力を通すことで、どこまでも固くできます。

 形が布なだけで、役割としては翡翠さんの大剣と似たような使い方になりますね。

 それでは、ここからはお願いします」


 そういってあやめは一歩下がる。


「ーーこれってそういう使い方するんだ……」

「だからさんざん的になれっていってたんだけど」

「そっかー。

 的になって魔力の矢を受け止める訓練だったんだ」

「そういうこと。

 もっとも本人が気づかないとってことで、直接的には言わなかったんだけどね」

「華衣さんが本気で撃てば、あの程度の威力ではありませんし」

「まあ、そっちはあたしの訓練だったわけだけど」

「一石二鳥、だったのですけどね」

「紫神様が気づいていればね」

「うむ」


 いいたい放題の三人に、それを肯定する翡翠。

 竜胆は呆れて見ており、晶はどんどん落ち込んでいった。


「さて、とにかく実習を始めるぞ。

 前衛は翡翠と晶、六花は中衛、月島は後衛で動くように」

「はい!」

「……はーい……」


 元気に返事をする六花と華衣、それと対照的に力なく返事をする晶、無言でうなずく翡翠。

 それぞれが自身の役割をきちんと果たすのを、あやめと竜胆は見守るのだった。


 ーーそうして、7月の実習は、特別なこともなく過ぎていったのだった。

 

7月分は、晶の特訓回でしょうか。

晶の魔具は、防御に特化しています。


今回は以外と平和に終わりました。

次回、8月の休みに入ります。

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