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7月分は、話数が少ないです。

 7月に入り、全体的に浮き足立っている今日この頃。

来月、8月は一月長期休暇となり、実家に帰ることも許されているからだ。

 もちろん、それぞれの課題は出されるとはいえ、故郷に帰れることは、楽しみに思えることだろう。


「うー……」


 そんななか、机にへばりついている六家の人間がひとり。


「なにをしている」

「うー……」


 晶に翡翠が問いかける。

ーー返事は唸り声だったが。


「実家に帰れば怒られるから、みたいだよ」

「うぐっ……」


 石榴の遠慮のない言葉に、さらにへばりつく晶。


「ああ、魔具の扱いについてですか。

 たしかに晶の魔具は特殊ですからね」

「そうなんだよ!

 こんなのどうやって扱えっていうわけ!?」


 晶はがばっと跳ね起きて、あやめに詰め寄る。

そのあやめは平然と答える。


「以外と簡単なんですけどね」

「へ?」


 あっさりとした答えに、間抜けな声をだしてしまっていた。


「簡単、って?」

「わかりませんか?」

「わかればこんなに困ってなんかいないって!」


 あきれた様なあやめに、切羽詰まってさらに詰め寄る。

と、黒曜に首筋を引っ張られた。


「近すぎ」

「黒曜は心が狭すぎだよね!」

「なんかもう、いつものことだね」


 黒曜のあやめ主義は、慣れっこの石榴と六花。

もっとも、ふだんその影響を受けているのは石榴なので、晶が関わるのはめずらしい。


「そうですね、今回の実習までにわからなければ、私が指導させていただくことにしましょうか」

「ホント! アリガトー、姫さまー!」


 バカみたいに大喜びで、こんどはどさくさに紛れて六花に抱きつこうとする。

もっとも、こちらも竜胆に阻まれたが。


「って、竜胆さん、何でここに⁉」


 六花達がいるのは一年の教室なので、疑問を口にする晶。


「仕事だ。

 7月の実習が終われば、生徒はほとんどが故郷に帰る。

 ーー帰らないものもいるが、それは少数だからな。

 それで、六花。

 お前はどうするんだ」

「あー」


 六花は学校に残るよう申請をしていたのだ。


「わたしの実家はありませんから……」


 六花は父を幼い頃に亡くし、母も二年ほど前に病気で亡くしていた。

 いまは六家の黄神家が後見となっているのだ。


「よろしければ、六花さんも一緒に私たちの家にこられますか?」

「え、いいの?」

「紫神の家、というかあやめの別邸があるからな。

 そちらに滞在する分には全く問題はない」

「なら、いきたいです!」


 そこに琥珀が口を挟む。


「おい、黄神の方に一旦顔を出す必要はあるだろう」

「あ、そっか。

 それじゃ、そのあとに……」


 そこで石榴がいきなり提案を出してきた。


「どうせだからさ、みんなで泊まりにいかない?」

「なぜ、そうなる?」

「だって、姫がどんなところで育ったとか、興味あるじゃんか!」

「ーー」


 否定が出来ない、黒曜と竜胆以外のメンバーだった。


「はあ、わかりました」

「あやめ、いいのか?」

「はい。

 少なくとも前半はゆっくりしたいですし、こられるとしたら六花さんと双葉さん、由美さんだけでお願いします」


 どうせなら、女子会も楽しいかもと思ったのだ。


「後半は、皆さんもきて構いません、が」


 そこで一旦区切ると、かなり迫力のある笑みを浮かべた。


「それぞれ、課題について審査させていただきますね。

 場合によっては特訓もあり得ますから、頑張ってください」

「ーー」


 あやめの迫力におされて、全員無言で頷くしかできなくなっていた。



「あやめとの訓練か、楽しみだな」

「そういえば、お前が一緒に訓練したのは、子供の頃だけだったな」

「まあ、得意範囲が違いますからね。

 今やるとどうなるか、ちょっと楽しみですよ」

「まあ、そんなのはお前くらいだろうが」


 ほかのメンバーが押し黙ってるなか、のんびりと会話をしていた、竜胆と黒曜だった。

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