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それから。
実習は何事もなく無事に終わり、海人も実技の補佐役として学校に来ることになった。
「あー、ようやく帰ってきたー」
「ーーあやめ様はいらっしゃいませんね……」
「こいつに会いたくないんだろ」
「無理もないよねー。
そんなことより、六花ちゃん双葉ちゃん一緒にデート……」
スパーン!
晶が途中まで言いかけたところで、あやめのハリセンが頭上に落ちた。
「帰ってくる早々に、何をするつもりなのですか?」
「あ、あやめちゃんただいまー」
「ただいま戻りました」
「はい、おかえりなさいませ」
六花と双葉ににっこりと微笑みかけた。
そのあと、竜胆の方を見て問いかける。
「皆さんはこのあとは解散でよろしいのでしょうか?」
「ああ。
あとは好きにして問題ない」
「はい。
では六花さん、双葉さん、このあと由美さんとも合流して私の部屋でお茶に……」
「あ、オレもいく!」
ガツン。
あやめのセリフを途中で遮った晶の頭に、海人のげんこつが落ちた。
「ーー姫、こいつは私が寮に放り込んでおきます。
お友達とのお茶会を、ゆっくりとお楽しみください」
「ーーありがとうございます。
それでは、失礼いたします」
あやめは他のふたりと去っていった。
「晶も懲りないな。
それと海人さん、あなたは……」
「姫の迷惑になることは、排除するようにと言い使っております」
「なるほど」
はっきりと干渉するつもりはなくても、目の前の事なら対処するということか。
竜胆と琥珀はそう認識して、海人を連れて報告のために校長室に向かった。
ーー晶は通りすがりの生徒に、寮まで連れていかれたのだった……。
ーーーー
「あまり、関わりたくはないですね……」
「それって青神の使いだから?」
「いえ、行動が過激だからです」
海人は実務については優秀だが、その他、実際の行動が伴う状況だと過剰に反応するところがある。
「ーー何事もなく過ぎるといいのですけど……」
あやめは切実な願いを呟くのだった……。
新キャラはあまり関わってくる予定はありません。




