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 翌日。

六家の六人と、生徒会、それに風の姫あやめが生徒会室に揃っていた。

 外の天気は相変わらずの雨。


「ーー昨日の探査の結果をお伝えします」


 あやめは全員を見渡しながら切り出した。


「この長雨は、水の区の異常が原因です。

 どうやら、水の属性の強力な魔物が、水の区に発生したことが原因のようなのです。

 魔物を抑えるために、結界が強化され、その影響として中央区の水の属性が強くなってしまい、雨になったということのようです。

 そして、水の区から私にたいして、魔物討伐依頼が今朝届きました。

 明日には水の区に向かう予定です」


 他のメンバーは、それぞれに顔を見合わせる。


「ひとりで行かれるのですか?」


 生徒会メンバーの問いに、あやめは首を振る。


「いいえ。

 今回の魔物にたいしてですが、私ではなく他の皆さんに退治していただこうかと思っております」

「つまり、俺たちが倒す、ということか?」


 落ち着いた口調で、琥珀が問う。


「はい。

 あと、六花さんもですね。

 直接戦うのではなく、こういう場合もある、ということを勉強していただく機会ですから」

「他には誰がいくの?

 ボクもいきたいんだけど!」


 石榴が立候補する。


「他はお兄様、黒曜、琥珀さんに同行をお願いします。

 他のかた、とくに瑠璃さんは、双葉さん、由美さんと協力して、水の魔力を抑えてほしいのです。

 対極にあたる火の魔力を持つ石榴さんには結界の強化をお願い致します。

 ほかの方々はお二人の補佐を」

「ーーあの、六家じゃないのに、美川さんと、水原さんを巻き込んじゃっていいんですか……?」

「ーー制御、という面ではあのお二人はかなりの能力をお持ちですから。

 それに、私たちが魔物退治にいくのに、自分達がなにもしないで待つということは、お二人にとってかえって辛いことでもありますから」


 友人が危険なところにいくのを、ただ見送るより、友人の手助けをして待つ方が、気分的にも楽だろう。

あやめはそういって微笑む。


「ーーわかりました……」

「それではこれで解散とする。

 水の区に向かうための許可は、すでに得ている。

 黒曜と琥珀は、今日中に準備を済ませるように。

 以上だ」


 各々返事をすると、生徒会室を出ていく。

黒曜はあやめに近づくと、問いかけた。


「遠距離なら月島さんも得意だと思ったけれど、連れていかなくてもいいのかい?」

「はい。

 華衣さんには、こちらで万が一に備えてもらえればと」


 危険は少なくても、全くないとは限らない。

それに納得して頷く。


「さっさと片付けないとね」

「そうですね。

 今月末の実習のためにも、早めに終わらせないといけませんね」


 そういって、ふたりも準備のために、生徒会室を出るのだった。


  ーーーー


「六花さん」

「あ、あやめちゃん」

「実はー」


 あやめの説明を聞いて、六花はすぐに頷いた。


「つまり、わたしは一緒に行って、魔物との戦いを見学してればいいんだよね」

「はい。

 水の強力な魔物について知る、いい機会ですから」

「だけど、わたしだけそんな特別扱いでいいの?」

「実際のところ、あなたは特別ですから」


 六家ではなく、六家の上位と同等の力を持つ。

そのため、他の同世代の六家の者と、並べる実力を求められているのだ。


「ですので、明日早朝には水の区へ出発をします。

 準備をしておいてください」

「わかった。

 ところで、水の区って海があるんだよね?」

「はい。

 例の魔物が出るのは海ですからね。

 海を見ることはできますよ」

「わー!

 それ、楽しみにしとく!」

「あまりはしゃぎすぎないでくださいね」

「はーい!」


 楽しそうな様子の六花と、それをちょっと心配するあやめだった。



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