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一部終了。
そして、日々は過ぎていく。
毎日の訓練で、六花の制御もだいぶ様になってきた。
一緒に訓練をしている双葉と由美も、ほぼ完璧に魔力制御を行えるようになった。
「うー。
双葉ちゃんと由美ちゃんはちゃんとできるのに、どうしてわたしはできてないんだろ……」
「しかたないですね。
そもそも魔力の大きさが違いますから。
私たち六家のものならば、生まれつき付き合っている魔力ですけど、六花さんは五年前からなのでしょう?
その分、時間がかかるのは仕方がありません。
焦らずに訓練していきましょう」
「ーーそれじゃ、どうして今日は遊びにいくの?」
四月の最後の無月の日。
今日の訓練はなしで、みんなで街に出てきていた。
「いいのです。
この一月みなさん頑張ったのですから。
たまの息抜きも、大事なのです。
能力の上昇を望むのならば、ときかく今日はゆっくりとしましょう」
「はい!
あやめ様に頼まれた美味しいケーキのお店、見つけておきました!」
「わたしたちが、案内します。
今日は楽しみましょう」
双葉と由美は休日である無月の日には、あやめにきちんと休むように言われていたため、訓練などはしていなかった。
その代わり、最終日にみんなで遊びに行けるように、街の名物などを調べるように頼まれていたのだ。
「ーーわかった。
それじゃ今日は楽しもう」
「おー!」
元気に由美が唱和する。
「そうですよ。
来月には実地訓練もありますから」
「ーー実地訓練、ですか?」
「ーーなにそれ?」
「四年生の引率で、弱めの魔物を倒しにいくのです。
大丈夫ですよ。
この訓練で怪我人はいても、死者はいませんから」
「それ、大丈夫なの」
「あの程度の魔物にやられるようならば、戦闘に向いてないという判断を下されるだけですからね。
引率の四年生で倒せないような魔物は出ませんから、大丈夫なんです」
「ーー」
ほんとに大丈夫なんだろうか……。
不安に思いつつも、とりあえず今は街の散策を楽しむことにする。
「まあ、そのことはおいといて、とにかく美味しいケーキを食べよう」
「賛成!」
「いこう!」
四人は仲むつまじくおしゃべりをしながら歩いていった。
これで、四月の出来事は終わりです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。




