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衰弱する刃  作者: 脳筋
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隣の家の大道君

「小次郎。起きなさい小次郎!」

優しい声がした。目覚めかけの脳を使って思考を巡らせる。

今、父と母は出張で家を空けている。兄は病院で寝泊まりしてるはずだ。

まさか泥棒か!?寝ている家主起こしてくれるなんて丁寧な泥棒もいるもんだな、と感心してもうひと眠りしようとすると、

「おい!姉貴の真似までして丁寧に起こしてやったのに無視すんなよ小次郎。」

この低くて鋭い声には聞き覚えがある。体を起こして目を開けるとそこには予想していたムキムキの男がいた。

「おはよ高水。桜ねえのモノマネってよりゴリラの鳴き声にしか聞こえない」と笑いながら言ってやった。こいつは大道高水だいどうたかみず。一年間の364日を筋トレに使う阿保だ。

「そんなに褒められると照れるぜ。それより急げ学校遅れるぞ先外出てるな。」

そう言い残すと高水は部屋を出て行った。

誉めてないんだけどねと心の中でつぶやきながら俺は急いで身支度を整え始めた。


ーーーーーーーーーーーーーーー


「桜ねえ今日は委員会?」

と高水に尋ねると彼は頷いた。

「たぶんな。朝のトレーニングを済まして家に帰ったらもう居なかった。」

「朝も筋トレしてんの!?だから汗臭いわけね・・・」

まさか朝の時間まで筋肉に捧げているとは・・・こいつは何を目指しているのやら。

「汗臭いとは失礼な奴め。汗=青春の匂いだろ!シャワー浴びる時間がなかったんだよ。だから今日は何を言われても空を見上げながら青春の香りがするぜ・・・ってかっこつけながら乗り切るつもりだから応援よろしく。」

こいつやっぱり阿保だな。でも一つ謝らなければいけない。

「ごめんね。最近毎朝起こしに来てくれてるから朝トレの時間も短くなってるよね。」

「謝ることじゃねえだろ。俺と姉貴が勝手にやってるだけだ。それに家となりだろスクワット100回分くらいの時間しかロスしてない。」

そう笑顔で言うと高水は駆け出した。

「急ごうぜ遅刻しちまう。あと汗が冷えてきて寒い。死ぬ寒い。」

病弱な俺を心配して大道兄弟はいつも様子を見に来てくれる。照れくさいのでお礼は言わない。

世間はもう冬だ。さらに俺たちの学校は海沿いにあるので潮風が吹き付ける。

なので冬は死ぬほど寒い。あとスクワット100回ってどのくらいの時間かわからない。教えて筋肉の神様!

「校内に入れば人類の英知の結晶ストーブが起動してるはずだ!急ごう!」

でも走ると風当たり強くなって更に寒くなるんじゃね?

そんな疑問を置いて俺も高水に続き走り出す。







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