3-1 組織
side-B
「悠一先輩、着きましたよ」
希の声に俺は頷く。
「奴がここにいるっていうあいつの情報は間違いないんだろうな?」
「はい、それは確かでしょう。この手の情報収集に関しては特に信頼出来るお方ですから」
昼間の大型ショッピングセンター。あの中に目的の人物が逃げ込んだらしい。まだ店内には多くの民間人がいる。
「面倒な場所に逃げ込んだな。人質を取られると厄介だ」
「そうならないように祈りましょう。まあ、錯乱して無差別に暴れられるよりはまだマシというものです」
希の言葉に俺も同感だった。冷たいようだが仕方ない。
「パニックになる前に急ぐぞ。ここで結界を張ると後で面倒だが、この際仕方がない。これだけの人数に暗示をかけるのも辛いからな」
「最悪は情報統制ですね。ま、その辺は相手の常識に期待しましょう」
軽い口調で希は言う。
「……何だか緊張感がないな」
「ま、先輩がいるなら余裕でしょうからね。頼りにしてますよ?」
「油断するな、希。相手も『適応者』なんだからな」
「してませんよ。子ども扱いしないでください」
希は口を尖らせる。どうやら拗ねたようだ。そういうところが子どもっぽいと指摘すれば余計に拗ねるだろうか。
「……行くぞ」
ようやく見つけた『魔装団』の幹部クラスの一人なのだ。絶対に逃がさない。




