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学舎占争  作者: 伏見 ねきつ
9月
48/49

〆 月籠雛

 そして、衣装チェンジ睦月高校バージョンをした、僕と抄夜ちゃんは今現在睦月高校の校舎内にいる。僕はまだ何が何だか抄夜ちゃんに説明されていないので何が起こっているのかわからない……。睦月高校が男女共にセーラー襟なことしか分かっていない……。そして校舎がものすごく綺麗。清掃はすべて業者に任せてますって感じの校舎内だ。

 気持ち悪いほど綺麗。

 僕の部屋と同じくらい。


「ねえ、抄夜ちゃん」


「なに?」


「睦月高校に葉月高校の優良生徒がいて、いいの」


 今夏休み期間なのは葉月高校だけなはずである。学校の廊下を歩いてて分かるが睦月高校もう夏休みは終わって普通に授業をしている。睦月高校の授業はこの時期なにをやっているのだろう。学舎占争に巻き込まれないレベルというのだからこの丘にある他の私立高校よりはるかに頭がいいのだと思う。………僕には予想もつかないレベルのことをやっているだろうから何やってるんだろうとか考えてもわからないんだけど。


「んー、なんかあったらあの子の名前出せばいいと思うよ」


「あの子?」


「葉月高校の葉月ちゃん」


「……?」


 僕は首を傾げる。抄夜ちゃんはそれをみて「まだわからないのかこいつ」みたいな顔をしたけれど、あんまり気にしない方向で行く。葉月高校の葉月ちゃん、ねえ? もともと葉月ちゃんは葉月高校の優良生徒ではないであろう事は予測ついていて、睦月高校を目の敵にしていることはなんとなく知っている。如月高校らへんかもしれないなんて考えたことあるけれど。

 抄夜ちゃんは僕のペースに合わせて歩いてくれている。

 なんとなく仲良くてなんとなく信用してるけれど、この抄夜とかいう人間僕になにかしてくれた事があっただろうか。……いや、あるんだろうけれど。ちっちゃい事ならいくらでも。それが積み重なって信じているのだろうから……。でも、この人のことはまだ完全に信用しちゃいけないだろう。僕や夜月、葉月ちゃん、大きくくくれば学舎占争に関わってくるのはきっとなにか彼に目的があるだろうから。…僕はそれをしらない。


「抄夜ちゃんってなんで僕達………学舎占争に関わってくるの?」


 少しの間を開けて抄夜ちゃんは考える素振りをする。どうやら本当のことは教えてもらえそうにもない。


「実際、僕個人は暇つぶしかな」


「ひなつぶし」


「己を潰すような発言しないで。雛って名前ケータイで打ちまくってると暇って打とうとしてひなになる気持ちはわかるからさ」


「ここでマンガとか小説だったら『僕達は真面目にやってるんだ! 暇つぶしとかそんな適当な理由で関わってくるんじゃねえよ! ぼけなすび!』みたいなことを言うのが正解なんだろうけどね」


「その学舎の暇つぶしがてらにやってる勢力戦争でお金もらってるもんね」


 きいたところで理由なんてなにであっても僕が口出しするつもりもないし、やろうとしてる事が明らかにおかしくない限りたどり着くところが同じならそのへんはどうでもいいんだった。結果がすべて。普通の学生では考えられない厳しい世界、それが学舎占争。


「さて雛ちゃん」抄夜ちゃんは歩く足を止めて僕の方に振り向いた。「ここが目的地だ」


 そこは普通の教室とは違ってなんだか扉が資料室や校長室のような作りになってる。何室かは書いていないから校長室でも資料室でもないんだろうけれど……。誰にでもわかるようにすべての教室に数字文字という暗号が仕掛けてある学校に何も書いていない部屋の不自然、ここは何室なのだろうか。

 抄夜ちゃんは何も書いていない部屋に臆することなくノックもしないで扉を開ける。


「入っていいよ」


 なんの権限があるのかしらないけれど、そう言われたので僕も抄夜ちゃんと一緒に部屋に入ることにした。部屋に入ると本棚が沢山並んでいて、扉の正面に豪華そうな机と椅子があってそこに本を片手に座っている人物がいる。


「葉────」


「呼ばないでください」


 そこで僕を待っていた葉月高校優良生徒の月立葉月は本から目を離さずに呟いた。


「私の名前は葉月なんかじゃない」

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