01:金色に輝く村
辺り一面の大地に黄金の花が咲き誇り、空の太陽の光によって、地面は眩いほどに輝いています。そよそよと柔らかな風が、花々の頭をくすぐり、波を打ち、それはまるで黄金に輝く夕焼けの海のよう……。
その海原をよく覗いてみれば、ところどころに黒い点々とした影が、金色の海の中を泳ぐようにあられます。その中の一人の女の子……黒く長い美しい髪を後ろに一つに束ねた、唇のプクッと可愛く膨れた、エウムという名の子がいました。エウムは金色の海の中で……せっせせっせと花の手入れをしていました。彼女のお仕事は、この金の花が枯れてしまわぬように、余計な細かい枝を切ったり、水をあげたりすることでした。今日も、目も眩むような光り輝く花々に囲まれながら、汗を流し、一つ一つとても大切にいたわり……時に花の頭を撫でてあげたりもして……お世話していました。
さてその日も一日があっという間に過ぎ去って、お日様も大分さがってきてきた夕方、お花仕事の長の合図で、今日の仕事の終わりが告げられ、皆真っ黒に働いた女たちは畑の片隅に集まり、一緒にお喋りをしながら村へと帰っていきました。一人の、エウムととても仲良しのノッポの女の子が話しかけてきました。
「エウムは今日もウジカのところに行くの?」
「ウン、毎日手当てしてあげないと、身体が腐り死んでしまうって、長老様がおっしゃるから」
「まだ、直らないの?」
「長老様は根気よく世話をしてあげてって……黄色い花はたやすくは死にやしないって……それを信じるしかないの」
やがて、そんな話をしているうちに、村へと到着しました。
「道具はいつもの通り、水で綺麗に洗って小屋にしまっておきなさい」長は皆にそう告げると、次の仕事場へと向かって行ってしまいました。エウムが早速、水場へ行こうと、道具を持ち上げようとした時、周りにいた子たちが首を振って、それを掴みました。
「エウムはウジカさんのお世話をするのでしょう?
いいから私たちに任せて行ってきなさい。後のことはやっておくわ」
「でも道具洗いまでがお仕事だから……」
「大丈夫、任せて」
エウムはみんなの優しげな笑みに甘えて、もうしないように微笑み返して、道具を置いて、早速ウジカの家へと向かいました。
ウジカは、村のはずれに立てられた、掘っ立ての小さな小屋に住んでいました。ウジカの身体はとても危険な流行り病に犯されており、長老の判断で、他の者に病気がうつらないようにと、村の中心から離れた場所に粗末な家を作って、そこに住まわせていました。その流行り病は男にだけに掛かる病気で、女の子のエウムが、彼のお世話をすることを買って出たのでした。勿論女は村に何人もいるのですが、他の者たちはその奇病のあまりの不気味さに恐れをなして、すぐに世話をしようという者が現れなかったのです。その会議を横で聞いていたエウムは、なかなか話が決まらないことにウズウズしていて、ついには「あたしが……します!」と、たまらず声を張り上げたのでした。
さて、途中に出会った村の者に挨拶をしながら、ようやくウジカの家の前にたどり着きました。