魅了に負ける番って本当に番なの?
シリアスになってしまった…
フィクションです。
番。
運命の相手とか、憧れる人も多いだろう。
だが、竜人の血が流れる者には分かっても、ただの人間には分からないものだ。
いきなり来て
「お前は俺の番だ!」
と、誘拐されて閉じ込められた私も、ただの人間なので、番かどうかは分からない。
本当に、迷惑な話だ。
こちらの意思を確認してほしいし、突然、無理矢理に連れて行かれたので、職場にも家族にも迷惑を掛けただろう。申し訳ない。
誘拐犯が、きちんと対応したとは思わない。
ただ、街中で誘拐されたから、目撃者がいたはずで、そこから誘拐されたと分かってもらえていたら良いなぁ…と思っていた。
ちなみに、手紙すら書かせてもらえなかった。
更にちなみに、誘拐犯は、閉じ込められた部屋にも来ず、会いにも来なかった。
…番って何だろうね?
それから、誘拐犯と婚約者になった。
誘拐犯は、嫌そうな顔で、指輪を持ってきた。
指輪の入ったケースをポイっと投げつけ、婚約したからな、と言って、部屋を出て行った。
「今までお前を番だと思っていたが、間違っていた」
婚約者が言った。
「え?」
お前は私の番だ!と言って、無理矢理連れてきたのに?
私は驚いた。そして呆れた。
「本当の番はこの娘だった」
婚約者の腕の中には、知らない令嬢がいた。
「え?」
誰それ?
「出ていけ偽物の番!私を騙すなんてなんて女だ!お前の顔など見たくない!お前とは婚約破棄だ!」
婚約者が叫ぶ。
「…そうですか…分かりました」
何なんだこいつは。私は番じゃなかったの?
突然連れてこられて、突然追い出された。意味が分からない。
私は少ない荷物をまとめ、出ていった。
私は、誘拐された。ここがどこかも分からないが、元の場所にも戻れない。
「番などいない!番など嘘だ!私には関係ない!」
叫んだらスッキリした。
あんなの、2度と会うものか。
そう決意して、遠い国へと旅立った。
「私が間違っていた…戻ってきてくれ…」
元婚約者が来た。窶れていた。私という番がそばにいないからね。
「何故です?」
「お前が本当の番だったんだ」
バカな事を言う。
「そうでしょうね」
「それなら…!」
「貴方は私を『偽物の番』『お前の顔など見たくない』と仰りました」
私は、冷たく言った。誘拐して閉じ込めたくせに、偽物だと追い出したのだ。
「間違っていたんだ!」
元婚約者は、慌てた。
「番を間違えるわけないでしょう」
「魅了にかけられていたんだ!」
そんな事は知らない。魅了だろうと、偽物だと追い出したのは、お前だ。
「魅了に負ける番って本当に番なの?」
番って、運命の相手なんじゃないの?
「…!」
「私は貴方の『偽物の番』です。つまり、貴方は私にとって『偽物の番』ということです」
「違うんだ!」
「さようなら」
「待ってくれ!」
誘拐して閉じ込めたのに、偽物だと追い出しておいて、よく顔を出せたな。
私は、大きな邸に住んでいる。門番に取り押さえてもらい、2階のテラスから話し掛けていた。
近付いては、また誘拐されるからだ。
「悪いね。彼女は私の妻だよ」
夫が現れ、私を抱きしめた。
「〜〜〜!!!!」
誘拐犯は、声にならない叫びを上げ、門番に引き摺られ、騎士団に連れて行かれた。
元婚約者は、番がいなくなり、更に窶れていった。
魅了に騙され本当の番を捨てたのだ。
本当の番に捨てられても仕方ない。
私は、待ってくれていた幼馴染と結婚した。
遠い国に行く途中、手紙を出した。
幼馴染は、私達のことを誰も知らない遠い国に、一緒に住んでくれた。
お互いに好きだったから、結婚した。
始めた仕事も成功し、大きな邸に住んでいる。
今は、2人で幸せに暮らしている。
しばらくしたら、もう1人増える予定だ。
読んでいただきありがとうございます




