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魅了に負ける番って本当に番なの?

作者: 井上さん
掲載日:2026/10/24

シリアスになってしまった…



フィクションです。

番。


運命の相手とか、憧れる人も多いだろう。


だが、竜人の血が流れる者には分かっても、ただの人間には分からないものだ。



いきなり来て


「お前は俺の番だ!」


 と、誘拐されて閉じ込められた私も、ただの人間なので、番かどうかは分からない。

本当に、迷惑な話だ。


こちらの意思を確認してほしいし、突然、無理矢理に連れて行かれたので、職場にも家族にも迷惑を掛けただろう。申し訳ない。


 誘拐犯が、きちんと対応したとは思わない。


ただ、街中で誘拐されたから、目撃者がいたはずで、そこから誘拐されたと分かってもらえていたら良いなぁ…と思っていた。


ちなみに、手紙すら書かせてもらえなかった。


更にちなみに、誘拐犯は、閉じ込められた部屋にも来ず、会いにも来なかった。


…番って何だろうね?




 それから、誘拐犯と婚約者になった。

誘拐犯は、嫌そうな顔で、指輪を持ってきた。


指輪の入ったケースをポイっと投げつけ、婚約したからな、と言って、部屋を出て行った。






「今までお前を番だと思っていたが、間違っていた」


 婚約者が言った。


「え?」


 お前は私の番だ!と言って、無理矢理連れてきたのに?


私は驚いた。そして呆れた。


「本当の番はこの娘だった」


 婚約者の腕の中には、知らない令嬢がいた。


「え?」


 誰それ?


「出ていけ偽物の番!私を騙すなんてなんて女だ!お前の顔など見たくない!お前とは婚約破棄だ!」


 婚約者が叫ぶ。


「…そうですか…分かりました」


 何なんだこいつは。私は番じゃなかったの?


突然連れてこられて、突然追い出された。意味が分からない。


 私は少ない荷物をまとめ、出ていった。

私は、誘拐された。ここがどこかも分からないが、元の場所にも戻れない。






「番などいない!番など嘘だ!私には関係ない!」


 叫んだらスッキリした。




あんなの、2度と会うものか。


そう決意して、遠い国へと旅立った。






「私が間違っていた…戻ってきてくれ…」


 元婚約者が来た。窶れていた。私という番がそばにいないからね。


「何故です?」


「お前が本当の番だったんだ」


 バカな事を言う。


「そうでしょうね」


「それなら…!」


「貴方は私を『偽物の番』『お前の顔など見たくない』と仰りました」


 私は、冷たく言った。誘拐して閉じ込めたくせに、偽物だと追い出したのだ。


「間違っていたんだ!」


 元婚約者は、慌てた。


「番を間違えるわけないでしょう」


「魅了にかけられていたんだ!」


 そんな事は知らない。魅了だろうと、偽物だと追い出したのは、お前だ。


「魅了に負ける番って本当に番なの?」


 番って、運命の相手なんじゃないの?


「…!」


「私は貴方の『偽物の番』です。つまり、貴方は私にとって『偽物の番』ということです」


「違うんだ!」


「さようなら」


「待ってくれ!」


 誘拐して閉じ込めたのに、偽物だと追い出しておいて、よく顔を出せたな。


私は、大きな邸に住んでいる。門番に取り押さえてもらい、2階のテラスから話し掛けていた。


近付いては、また誘拐されるからだ。


「悪いね。彼女は私の妻だよ」


 夫が現れ、私を抱きしめた。


「〜〜〜!!!!」


 誘拐犯は、声にならない叫びを上げ、門番に引き摺られ、騎士団に連れて行かれた。




 元婚約者は、番がいなくなり、更に窶れていった。



 魅了に騙され本当の番を捨てたのだ。

本当の番に捨てられても仕方ない。






 私は、待ってくれていた幼馴染と結婚した。




遠い国に行く途中、手紙を出した。


幼馴染は、私達のことを誰も知らない遠い国に、一緒に住んでくれた。


お互いに好きだったから、結婚した。

始めた仕事も成功し、大きな邸に住んでいる。


 今は、2人で幸せに暮らしている。

しばらくしたら、もう1人増える予定だ。


読んでいただきありがとうございます

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