13話 新しい生活と思い出
家の外に出ると朝の光が畑を照らしていた。
久しぶりに人間らしい場所で布団で眠ることができた。
それだけですごく気分が良かった。
「今日から本格的に働くぞ」
朝7時畑に向かう。
北大路さんはすでに手を止めず、淡々と作業を続けていた。
「おはようございます」
「おう、来たか」
今日の仕事は、籾まき。
籾を発芽させて、土に播き、温度や湿度を整えて小さな芽が出やすい環境を作る。
少しでも条件を整えることで発芽率が変わるとのことだ。
北大路さんが播種されたトレーを手渡してくれた。
「播種したトレーを運んでくれ」
頷きながら手を動かす。慎重に、しかし着実に。
午前中はハウス内を行き来し、籾も撒いたトレーを運ぶ。
肉体労働だが数日前までの事を考えると、なんてことない。
午後は屋外の田んぼへ。
乾いた田んぼを北大路さんがトラクターで耕す。
まだこの時代は農機もスマート化されていない。
トラクターの扱いも難しく、私にはできることが少ない。
そのぶん、しっかりと身体を動かさなければ。
一日の仕事が終わった。
古いが広い家があり、朝から身体を動かす健康的な生活。
この時代に来る前の自分は、こんな生活に憧れていたのかもしれない。
「妻に逢いたいな......」
ふと、妻の笑顔を思い出す。
もし今ここにいてくれたらなんて考えると、胸がじんわりと温かくなる。
それと同時に、この生活を無駄にしないで、何かを残さなければ、という気持ちも湧いてきた。
それと同時に思ってしまった。
「帰りたいな......」
窓の外を見れば、山が夕日に染まって輝いている。
妻に会えるかどうかはわからないけれど、少しずつでも前に進む自分がいるそんな実感が胸を満たし




