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06  奴隷市場

奴隷市場に潜入してほしい

まさかの依頼がカヤナの口から飛び出した



「奴隷市場に潜入ってどういう事なんだ?」


カヤナの依頼に動揺してしまう


「デールス王国は今もすごい差別が行われているのは、知ってるよね?

 差別をするのは主に貴族を中心としたマルス教徒たちなの」

「マルス教徒が中心に差別を?どうしてそんなことを?」


カヤナは暗い顔で話を続ける


「マルス様は基本的には勇者を召喚してお告げをするだけ。

 だから立場が上の人たちが自分たちの都合のいいような国にしてるの」


「俺は旅でこの国に来たばかりだからわからないけど、例えばどんな風なことをしてるんだ?」


「奴隷制度の導入で好きに人を弄べる

 勇者は神の使いだからやりたい放題――、とかね」


勇者がやりたい放題?

そんな話聞いたこともない、けど本当にそうなら俺が勇者ということは伏せておこう


「私はね、魔物とかにも優しい種族がいるのを知っている、だからあんな目に合わされているのが許せない……」


目に涙を浮かべ声が震え、怒りに満ちているのがわかる


「俺もひどい扱いを受けるのは見てられない、この国についてもっと知りたくなった」

「ありがとう、これは絶対に他の人には言わないでね。報酬は白金貨3枚

 内容は奴隷市場に潜入して奴隷の開放、それと『レイ』って子の救出」


白金貨は1枚で金貨100枚分だぞ!

それだけ厳しい仕事ってことだ


「レイってのは誰だ?」

「友達なの、テイマーでもないのに魔物を庇ったからって捕まっちゃった」

「それで奴隷市場に潜入したかったのか……

 でもまだ市場にいるとは限らないだろ?もう売られたりしたらさ」


いつ捕まったかは分からないが女の奴隷だ

すぐに買い手が現れてもおかしくはない


「そこは安心して、レイは錬金術師なんだ。

 その技術が欲しいからって無理やり理由をつけて国が攫ったからね」


今いるデールス王国は女神への信仰心はかなり高いが技術力はあまり高くない

来る前にマルスが言っていた”知恵がない”とはこういうのも含まれるのだろう


「解放ってのは捕まってる奴隷をだよな?」

「もちろん!捕まえてるやつらはボコボコにしたいけど指名手配されたら怖いからね」


「解放したらそのあとはどうするんだ」


「『バサバ共和国』、そこなら他種族も関係なしに暮らせる

 そこまで送迎してくれる冒険者にあてがあるから明日頼んでみる」


バサバ共和国

初めて聞く名前だけど悪いところじゃなさそうだな


「ちなみに明日実行なのか?それと送迎ってすぐ頼んでできる人たちなのか……?」

「もちろん!早ければ早いほうがいいからね!それにあの人たち暇だから!」

「あはは……なるほどね」


やることは分かった

今日はゆっくり休もう


――――――――――――――――――――――――――――――


「おい、なんで私が売られる奴隷の役なんてしなきゃいけないんだ」


床に座り込みマオが動こうとしない


「ごめんねマオちゃん~半獣人でちょうど良く潜入できそうだからぴったりな役目だと思ったの」

「だからといってボロボロの布切れなんか着たくない!」


流石に奴隷役として適しているのはマオだ

だけど案の定わがままを言っている

ここは保護者として言い聞かせなくては


「マオ、お前しかできないしお前だけが頼りなんだよ……わかるか?」


優しく子供と接するようにお願いをする


「ん……わからんでもないが流石に嫌なものは嫌だぞ」

「大丈夫だって、お前は魔王だしきっとカヤナはおいしいご飯をご褒美でくれるし俺だって何日も肉を好きなだけ食べさせてやるぞ?

 それにほら、スラルクだってお前の活躍見たいって思ってる」


耳元で二人の名前をマオだけに聞こえるようにささやく

頑張ってもらう為に使わせてもらう


「そこまで言うなら、そこまで言うならこの私がやってやろうじゃないか!」

「わ~!マオちゃんありがと~これでやっと計画が始められるよ!」


もうこいつの扱いには慣れている

ほんとちょろくてかわいいやつめ

犬と思えば簡単だな


「夜までまだ準備の時間がある、持ってくものとか作戦の見直しだな」


――――――――――――――――――――――――――――――――


「準備も整ったし出発するか」


夜になり城の近くの入口へ向かう

行くのは俺と背中に隠れたスラルク

そして布切れのような服をきたマオだ

ツカサはフードを被りマオに鎖を繋ぐ



作戦はこうだ

下民街へ行く、そしたらそこの真ん中に地下への入り口があるからそこを目指す


「ここが地下への入口か……」



「この先へ何か用でもあるか?」


「ん?ああ見ての通り奴隷を売りに来たんだよ

 金に困っててな、ちょうどいいのを拾ったんだ」


「ほう……たしかに上玉だな、これならすぐに売れるぞ、売れた金ではしゃぎすぎるなよ」


「気を付けるよ」


入り口には門番がいて理由がなければ入れないが奴隷を売りに来たってことにすれば楽に入れる




「いらっしゃい!生きのいいの入ってるよ!」

「見てくださいこの毛並み、まさに宝石の様ではありませんか?!」

「豚の()()のスープあるよ~今なら金貨1枚!たまにメスの肉もあるよ~!」




八百屋の宣伝の様に人間や獣人が売られそれを食事に加工することもしている

余りにも不快で今すぐにでも帰りたい光景だ



「ここが奴隷市場かよ……うっ」

腐臭と血の匂い、掃除も行われていないであろうその空間におもわず吐きそうになる


「こんなに不快になるのは初めてだぞ、よくも私をこんなところに入れたな」

「すまん、ここまでひどいとは思わなかった」

「私は死肉の匂いには慣れているが早くここから出たい」

「ごめんってば、さっさとレイという人間を助けて出ような」


市場はエリアで区切られていて各エリアごとに売主が変わる

つまりそのエリアには同じ売主しか売っていないのでリピートしたいならそのエリアに行けば同じ品質の奴隷を買えるらしい


「ここがレイがいるとされているところか」


1()2()と書かれたエリアについた

ここは主に魔物の奴隷を取り扱っておりその調教に適した道具をオーダーメイドするらしい


「お兄さんいい奴隷持ってるね~」

「そうだろ、今売り手がいないか探しているんだ」

「おお?そんないい半獣人なのに売り手がいないのかい?ならうちが買うよ」

「ほんとか!なら早速だがいくらで買う?」


店の前を通っただけで声をかけられた

歩くだけでマオはかなり目立っていて周りの目が恐ろしかった

怖い思いをさせてないか心配


「白金貨20枚、他じゃでねぇ値段だぞ」

「いいね、それで」


家族に値段をつけてしまうのが一番腹立たしいが仕事だと割り切り我慢する

ここの奴隷市場は絶対にぶっ壊す


「マオ、後は頼んだぞ」

「合図をしたらすぐに暴れてるからな」


このあとは前のように隠密とスクロールでサイレントを使いレイと逃走経路をさがす

そしてマオは牢屋に行き奴隷たちの開放をするために内側から暴れる

その合図は俺のやることが終わったら爆弾を爆破させることで伝わる


「さあまずはレイを探すか」


レイの特徴は水色の髪で長い髪だ


エリア12の中を探してみる

早速それらしい特徴に該当する人を見つけた


「絶対にあの人だ、今なら一人だし話しかけるか

 後ろから人が来たら教えてくれよ」


スラルクが後ろで動くのがわかる


「了解ってことでいいのかな」


サイレントのスクロールの効果はカヤナから貰ったスクロールを使用する


「ディスペル」


これは自分にかかった魔法を消す魔法だ

これで声が聞こえるだろう


「あなたはレイさんですね」


ビクっと驚き恐る恐るこちらをみる


「あ、あなたは……なぜ私のことを?」

「依頼で頼まれてたんです、”カヤナ”という人物は知りませんか?」


カヤナの名前を出した途端涙があふれ出す


「はい……知ってます」

「よかった、ここから早く出ましょう、俺の仲間が奴隷も開放するのでここは危険になりますから」

「それはできません」

「え?」


思わぬ答えが返ってきて戸惑い変な汗が出る


「いや、レイさんがいないと作戦が成功しないんですよ、だから行きましょう」

「あなたは奴隷を解放するとおっしゃいましたね?」

「ああ、そう言った」

「それなら奴隷だけではなくあなたもその仲間も逃げることはできませんよ」


「バインド」


拘束する魔法をレイが唱える

そのまま抵抗することなく床に倒れこむ

急に雰囲気が変わりさっきまでの泣き顔は変わり笑みを浮かべていた


「どういうことだ?お前はレイさんじゃ……ない?」


「いいえ……私はカヤナの親友レイ、本人で間違いはないですよ」

「ならなんでこんなことを……さっきの涙はなんだ!」


「私はここ、エリア12のリーダーでありこの市場の元締めの一人だから

 あと涙は笑い泣きだよ~ははは」


大人しめの人だったはずが急に性格が変わったかのように笑っている

そして後ろのスラルクが震えだす、後ろから人が来た合図だ


「もう逃げられないよ、まさかこんなとこまで入り込んでくるなんてね~」


椅子に座り足を組みこちらを見下している


「くそ、一体どうなってるんだ」

「あんたは奴隷になるからまともにしゃべる機会は今が最後だから教えてあげる。

 カヤナと私はグルだったってこと!あははは!」


カヤナとレイは仲間で俺たちは(はめ)められた?

ならマオが危ない


「おい!俺たちをどうするつもりだ」

「当然売り飛ばして金にする……あとあの半獣人は貴族に大金で売るから」


初めての異世界で浮かれていた

強い魔物をテイムして無双してる気分でいた

結局はただの人間で勇者は肩書だけだったんだ


「肩書……おい、俺は勇者だ、左手の紋章を見ればわかる」


勇者に対しての扱いがいいならこの手は有効だろう


「勇者ね……私は女神信者ではないしむしろ裏で高く売れるじゃないか!

 ラッキーだね~今日はツイてる

 じゃああとよろしく~」

「了解です、ボス」


そんな……


――――――――――――――――――――――――――――――


「ここに大人しく入ってろ」


月明りしかない牢屋

こんなに寒く感じる日は初めてだ


「スラルク、いるか」


(はい!ばれずにせなかにいます!)


「ならよかったよ……」


どうすることもできない

逃げ出そうにもマオを置いていくことになる

あいつは強いが優しいからカヤナの名前を出されたら脅しになる

平気で嘘をつけるやつの嘘はわからない


「もう終わりか……」



何時間か経った頃


そう悲観的になっていると誰かの声が聞こえる


「ほんとにここにいるのか?」

「はい!私の魔法で追跡してたので間違いありません」

「じゃあぶっ壊すぜ!」


とてつもない衝撃音と共に誰かが入ってくる


「おう!兄ちゃん久しぶりだな!」

「なんとか間に合いました!遅れてすみません!」


土煙の奥から話し相手であっただろう二人組が現れる



そこには過去に酒場で出会った冒険者の()()


――裏切ったはずの()()()の姿があった




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