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01  中央都市 マルス


魔法陣の上に立ち静かに目を瞑る

異世界へ行き新しい生活が始まる、不安と期待で胸が膨らむ



少しして静けさからだんだんと音が聞こえてくる


大勢の人の声だ


目から漏れる光と風を感じるので外だとわかる


目を開けたら異世界、そう思い目を開いた



自分は思ったより高い位置にいた

大勢の声はぶつぶつと聞き取れないものだ

目の前、下のほうにはボロボロの服装の人たちが

自分のほうを向いて祈りを捧げている


「なんだこれ!どうなってんだ!」


見たことない光景に戸惑う


目の前には大勢の人がいて自分は城の上らしきところにいる

隣で男が突然大きな声を上げた


「静まりなさい!!たった今勇者様がお越しになった!!」


黒い服に身を包んだ男が話しかけてきた


「初めまして勇者様、ようこそこの世界へお越しくださいました

ここは『デールス王国』の〈中央都市 マルス>でございます」


「デールス王国、ほんとに聞いたことない国だから無事に異世界ってことか…」

「その通りでございます」

「あなたは管理者かなにかですか?それにこれは一体――、」


教科書にでてくるようなひげを蓄えた男に似ている

中央の都市名が神の名前とはよっぽど信仰心が強いのかな


「私はマルス様を信仰する司祭でございます。名をエルビと申します。

 女神の使者であるあなたからの敬語はこの世界の人々は良く思いません、私どもはあなたを支援する立場にいます。

 勇者様のお名前をお伺いしても?」



敬語を使うなと言われても長年染みついた癖があるからいいにくいな

18歳の見た目でもほぼアラサーだからな、目上の人には敬語があたりまえなのだ


「俺の名前は前田 ツカサ 職業はたぶんテイマーであってると思い――、思う」


「ありがとうございますツカサ様、テイマーとは……心強いですね

魔物の力を扱えたら人間はかなり強くなれますからね」


挨拶をしたあとエルビは祈る人たちに向けて大きく腕を広げた


「勇者様の名はツカサ様だ!

 新たな勇者の召喚に我々はより一層、女神マルス様への感謝と、祈りを強めなければならない!

 各自、勇者様への祈りを終わらせたものから自分の責務を全うするように!」


軍隊かなにかの訓練のような言葉だ

祈りや信仰は個人がやりたくてやるものじゃないのか?

やらされている感が半端ない


「勇者様、私が城の中へ案内いたします。そこで王がお待ちです」


「ああ、わかったけどあの人たちはいいのか?」


「彼らはこの国の陰かげで暮らすしかない人たちです

 人権などありませんのでたくさん働いてもらっているのですよ」


かなり見下しているな、貴族と奴隷の様なまさに異世界な格差社会があるのか


それにしても立派な城だ


「なあエルビさん、これからデールス王国の王様に会うのか?」


「はい、王様も勇者様方に希望を抱いておりますので、一目お会いしたいというお考えなのです」


そう話をしていると目的地へ着いたようだ

大きな扉だ、門番が二人ほどいる

奥にいるのが王様だと思うと緊張する、敬語じゃなくていいんだよな、、、?


「私はここまでです、何かあれば城近くの教会にいますのでお尋ねください。

 あなたの旅に祝福あらんことを」


軽く別れの挨拶をすまし深呼吸する


「よし!いきますか!」


「王がお待ちです、中へ」


扉が開き中へ入る


真ん中に玉座があり座っているのが王だろう


周りに貴族と思われる人物が横並びになって5人いる


そして護衛と思われる兵士が10人ほどいる


「おお、そなたが新たな勇者か、待っていたぞ

 私はこの『()()()()王国』の国王 ()()()()・マキウスだ」


国と同じ名前だ

代々王の血筋的なのが受け継がれているんだろうな


「俺はテイマーの前田 ツカサだ」


「テイマーの勇者、珍しいな

 女神様からは勇者は魔王を倒すための工程を熟知していると聞いた

 資金を与えれば自ら道を切り開いていくと」


まじかよ、あの女神、勇者に丸投げかよ!


確かにこうすればいいとかはわかるけど流石に初の異世界だぞ


しかもただの元コンビニバイト!

自立するには覚悟がまだなんだ……


「資金とこの世界の服を授ける、受け取りしだい魔王を倒す旅へ向かうがいい」

「わかった、ありがたく使わせてもらうよ」

「左手の勇者の紋章、それが勇者の証明にもなるので活用すると良いだろう。

 良い旅を祈っているぞ」


左手には女神と同じ瞳の色をした薄く光る紋章が入っていた

そういうと扉が開きメイド姿の女性が入ってきた

本物のメイドだ!


「発言してもよろしいでしょうか」

「許可しよう」


王様の許可がないと話せないのか?

身分格差ってめんどうだな


「勇者様、冒険の準備が整っております

 ご案内しますのでついてきてください」

「デールス王、頑張りますね」


メイドに案内された部屋には金貨と資金が入った袋と服がある



「これが俺の服か!ファンタジーって感じでめっちゃいいな!」


冒険者といったらって感じの服だ


軽くて丈夫そうな皮の胸当て


ベルトに小物入れ


皮のブーツ


そして一番はこのフード付きのマント


個人的にはかなり気に入った


コンコン

ノックの音が聞こえメイドが入ってくる


「お着替えは終わりましたか?」

「おう!ばっちりだ」

「よくお似合いですよ、それでは出口にご案内いたします」


出口へ向かっていると大きな声が聞こえる


「何度言ったらわかる!!!」

「も、申し訳ございません!」


貴族とメイドだ

暴力も普通にしてるしパワハラとかの概念がないから当たり前なんだろう

見てて気持ち良くないし早く行こう

それにしてもほんとに貴族は偉いんだな


―――――――――――――――――――――――――――


「それでは、気を付けて行ってくださいませ」


お辞儀をして帰っていく


「なんかさっさといけみたいな感じだったな」


困っているときは支援してくれるらしいが言いずらい

とりあえず宿を探さないとな


「すげ~!まさに異世界の町って感じだな!」


石レンガの道、街を歩く人たちは武器を持っている人や色んな髪色の人たちがいる

町を歩く人々はみな生き生きとしている雰囲気だ

野菜は女神の力かこういうものなのかわからないが日本のものとほぼ同じだ

どうりで城で食べたものは食べやすかったのか

肉は牛だとわかるが魚はよくわからない見た目だ 虹色?食欲をそそらない


気分よく散歩していると人だかりがある

何があるんだろう


「あそこにいる人たちって……」


初日に見た人達と似たような姿の人たちだ

人間に獣人のような耳のある種族もいる

兵士に連れられて歩く列を町の人々が見下し(ののし)っている


「汚きたないわね……」

(けが)らわらしいよ、ほんと」

「同じ町に住んでるとは思いたくない」


向かう先には門があり城の横にある地域に続く道だろう

だから城の下のほうにいたのかもな

隣にいるこの人に聞いてみるか



「なあ、なんであんなに蔑さげすまれているんだ?」

「あぁ?お前親に教わらなかったか?あいつらは罪人だよ罪人」

「罪人?」

「貴族の前でよくないことしたり、もの盗んだり様々だよ」


なるほどな

罪人なら理解できる扱いだな、貴族関連は酷い理不尽だろうけど


「ならあの獣人はなんだ?」

「ありゃ魔物扱いされてんだよ」

「魔物扱い?」

「人間と違うだろ?耳とか爪とか牙とか

 周りの人間が危険に晒されたり怖いと思って通報するとなんもしなくても

 ああなっちまうらしいぜ」


かなり理不尽な理由でもああなってしまうのだろうか

すこし(いきどお)りを感じる


「だから獣人とかは()()()のほうに逃げたり自分たちで国作ったり、いろいろやってるらしい」

「なるほどな、ならなんでこの国に?」


「んーまあ普通に奴隷として買われたとかかな。

 貴族が買って飽きて捨てたとかはよく聞くな、噂だけどな」


この国以外にも獣人の国とかもあるのか

行ってみるのが楽しみだな


「色々親切にありがとうな」

「いや、ここまで親切に教えてやったんだなんか礼はないのかよ」


「まあこんな身分なんだ、許してくれ」


どや顔で紋章を見せる


「え!!!勇者様!!!!」


「バカ!声が大きい!」


「勇者様だって?!」

「召喚された噂はほんとだったのね!」


周りがざわめき始める


「いやー勇者様なら礼なんていらず俺の名前とか住所でもただで教えるのに!

 はやく言ってくださればよかったのに~!」


先ほどまでとは明らかに様子が違う

やらかした、むやみに見せるもんじゃねえな



「はぁ、はぁ、なんとか巻いたか、《隠密》 結構使えるじゃん」


裏路地に逃げ込みやり過ごす

とっさに頭に浮かんだ文字

それを使いたいと思ったら発動したらしい


「女神から貰ったスキルとかなんにもわからないから調べてみるか」


スキルを使おうとすると頭に選択肢のようなものが浮かび忘れていても思い出せそうだ

頭に浮かぶスキルは5つ

強制テイム インベントリ テイム 隠密 魔物看破


とりあえずなんとなくわかる《インベントリ》を使用してみる


「インベントリ」



インベントリは左手から黒い板がでてくる

(てのひら)にタブレットがあるような感覚だ

指で触れると反応し本当に現実にあるタブレットのようだ


「ここから所持スキルとアビリティが見れるのか

 空欄のところは仲間とかテイムした魔物のステータスとかみれるのかもな」


固有(ユニーク)スキル】 インベントリ 強制テイム

【職業スキル】 テイム 隠密 魔物看破


【アビリティ】 勇者 不老


なるほど、なんとなくはわかるな

強制テイムは女神がくれたスキルだろう、使うのが楽しみだ


不老ってすごいけど死ぬまで戦えってことなのかな……

若返りできて喜んでたけどずっとこのままってことか

勇者の効果はこの世界の知識や言語がわかるって能力らしい


「左手の紋章を見られたら面倒だから隠密しながら宿を目指すか」


とにかく野宿は避けたい


――――――――――――――――――――――――――――――


酒場と宿が兼用してる場所を見つけた

しばらく歩いたけど見つかってよかった


「「「「いらっしゃいませ!!」」」」


宿に入ると複数名の店員が入店と同時に声掛けをする

酒場も合併しているから活気がある


「宿を借りたいのと食事をしたいんだけど」


「宿は前払いで銀貨30枚、食事する際は食べるときに貰います!」


「――、確かに30枚受け取りました~!2階の一番奥のお部屋をお使いください!」


王様から貰った袋の中身は銀貨50枚 金貨15枚

金貨は銀貨100枚分

銀貨は100円

金貨は1万円

って考えたらわかりやすい


支払いを済ませ宿を確保し酒場で情報を手に入れる

左手の紋章を見られたらめんどいので見られないようにしなくては


このいかにも冒険者な見た目のグループに聞くか


「なあ、俺は旅していてな、話し相手になってくれないか?

 もちろん奢らせてもらうからさ」


「あん?構わねぇがどこのどいつだぁ?」

「俺は旅人でな、この国のことがあんまり詳しくないんだ」

「へへ、旅してるって感じか?ならもので釣るのは正解だ!」


にやりと笑い酒を大量に注文する


「俺らは簡単に釣れるからな!俺の名前はジウってんだ、見ての通り戦士だ!この魔法使いはヨウだ」

「よろしくな」

「この不愛想なやつが盗賊(シーフ)のホドだ」

「……よろしく」


戦士、魔法使い、盗賊(シーフ)のパーティか

すごく楽しそうな人たちだ


「俺の名前はツカサ、話が早くて助かるよ、ここらへんで仕事を受けられる場所はあるか?」

「この町の端はしっこのほうにある結構デカい建物、そこが冒険者ギルドだ

――そこで色んな仕事を受けられる、怪しいやつでも仕事をこなすならだれでも歓迎だ。とりあえず受付の嬢ちゃんに聞けばいろいろしてくれる」


酒をぐびぐびと飲みながら話す姿はほんとに豪快で冒険者って感じだ


「流石に怪しいやつをいれるのは危ないんじゃ」

「……街中で殺されるようじゃ冒険者はやっていけないよ」

「ホドが自分から意見言うなんてめずらしいじゃねえか!気に食わないとほんとよくしゃべるぜ!」


「自分の身は自分で守れってことか……」


これでとりあえず仕事の受け方とかはわかったな


「ありがとな、もう一つ聞きたいんだがこの近くに強力な魔物はいるか?」

「ああ、それならしってるよ


 知り合いがそいつにやられてパーティが一人になったらしい」


()の野郎だな、また荒らしてやがんのか」


狼という単語に心が躍る

狼ってあの狼だよな?犬みたいなあの


「そんなにやばい魔物なのか?」

「なんでも、目が合ったら死ぬとか、魔法を使うとかめちゃくちゃな噂ばかりある。人の言葉を話したとかいうやつもいたな

 そこまでの知能があるなら『固有種(ユニークモンスター)』っててってことになるから並みの冒険者は勝てないのは当然だ」


「狼の野郎は()()を身に着けていたって話だろ?」


「ジウさんそりゃ流石にない話だよ


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 それだと魔王ってことになる」




王冠は王様の証 女神がわかりやすいようにそういう教えにしているのかもな




「へへ、噂話できいただけだからあんま気にすんな!


 ツカサも狼には気をつけろよ?俺らじゃ助けられねぇからな!」


「いい情報をありがとな!狼の魔物に気を付けるよ、ちなみにどこら辺に現れるんだ?」


「ここより少し離れたアデノ平原に出るらしい

 あの平原には牛が放牧されているからそれ目当てだろうな」

「……お前が無謀な馬鹿じゃないといいけどな」

「おい!ツカサ!挑みに行くのは止めねぇけどやめとけよな!」

「さすがに行かないよ、避けて通るために必要だからな

 あとはこれで楽しんでくれ、また一緒に飲もう」

「おお!今度は俺に奢らせてくれよ~!」


金貨を1枚置き部屋に戻る



かなり有力な情報を手に入れた 狼がいなくならないうちに準備しなきゃな


「……あいつのスキル、見えないスキルと初期スキルしかなかった」

「ホド!また勝手に他人を鑑定したのか!悪い癖だぜそりゃ~」

「でもスキルが見えないなんて固有(ユニーク)スキルか特殊(エクストラ)スキルだよね?

 それなのに他は初期スキルだかなのは珍しいね」

「……強く見えないからなにか裏がありそうだ」

「今日のお前はほんと珍しく人に興味があるな!

 大丈夫だって、悪いやつには見えなかったぞ?」


―――、あいつはレベル1のテイマー 

レベルの差がわからないバカじゃないといいけどな



「さーて、固有種(ユニークモンスター)の狼、テイムしに行きますか!」



――――――――――――――――――――――――――――――――






前田 ツカサ

Lv1 人間 テイマー

【職業スキル】 テイム 隠密 魔物看破

固有(ユニーク)スキル】 強制テイム インベントリ 

【アビリティ】 勇者 不老







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