1720年9月15日 母から
これはモノローグです。主な話は次にまた。彼女に興味がわいたなら続きも覗いてみてください
1720年9月15日。母が死んだ日。
この日は雨がちらほらと降り、暗雲立ちこめる曇り空の下で屋敷から棺が運び出される。ギシギシと音を立てながら老けた執事たちが慎重に運び歩いている屋敷の前の道には黒山の人だかりがあった。並んでいる皆が名のつく地位に座する者たちだ。よっぽど愛されていたと、その時実感した。
「まさかあのお優しい方がこの若さでなくなるなんて、、、まだ15年は生きると思っていたよ」
棺が通り過ぎるごとに喋り始める人々と違い、私は一貫して黙っていた。
なぜ死んだとか、どこでなくなったとか、この先どうすればいいとかは子供の私には考えらない。なので、ただただ母がいない虚無感と、1年後になるはずの学生姿を見せられない悲壮感が長く心に残り続けていた。
そしてそこからはや十年。私はこの国での大人の入り口である16歳になっていた。そこで人生における分岐点に差し掛かる。実の兄を名乗る人物に呼ばれたのだ。親が消え、立場が危うくなり、頼るものが遺産で雇われている老いた執事や気弱なメイドしかいなかったため疑心暗鬼になっていた私は行くつもりがなかった。しかし、人生に区切りをつけれるかもしれないと思い、集合地へ向かうことにした。
私の名前はセレナ・ド・アルマンド。母アレクサンドラ・アルマンドの娘であり、国を揺るがす存在となるまだ一人の子爵嬢だ。
これはモノローグです。主な話は次にまた。彼女に興味がわいたなら続きも覗いてみてください