えびびびーるの思い出
笹門 優さま
ここに一葉の写真がある。
永遠の19歳のように見える女性だ。豊満な胸元をだらしなくはだけ、えびびびーるを飲んで「ぷっはぁー!」みたいな顔をしている。
美しい女性だ。凡眼の衆が見るならば、それはインスタでバエるような、よくいるネット・アイドルのように映ることであろう。
しかし若し慧眼の者が見るならば、忽ち見破るであろう。それが、凡そ、人間の顔をしていない、ということを。
見よ! 鼻が、ない!
などということは置いておいて──
── 第一の手記 ──
私はこれを太宰治『人間失格』の物真似をして書いているのです。
でも疲れたので、そろそろ素に戻りますね。
現在、私は素面なのです。
おビールなんて、少なくとも半月以上は飲んでいません。
ましてやえびびびーるなどという、高級なものは……。
ウイスキーなら毎日のように飲んでおりますけど……。
私はお腹が空いた、という経験をしたことがなかった太宰とは違い、いつでもお腹が空いています。
それどころかおちゃけが入れば底なしです。
白米五合を一度に一人で平らげるほどです。
白米のおかずになるお酒といえば、ビールです。特にえびびびーるがあれば、いくらでもごはんが進みます。
五合は言い過ぎましたが……
二合は行けます。
えびびびーるがあれば!
一葉の写真を見つめながら、私はそんなに遠くもないけど過去を同時に見つめます。
今、えびびびーるなんて買ったものなら──
二食はごはんを我慢しなければならないでしょう。
あぁ……。そんなに遠くもないけど懐かしい、えびびびーるの思い出……。
飲みてぇ……。




