こんなトラックお姉さんになりたかった
イラストは自分でAI生成しました
【理想】
爽やかな夏の光の中──
私は大型トラックの巨体を軽やかに走らせる。
行く先々で笑顔。
「おはよー!」
私が挨拶すれば、みんな笑顔。
「おはよう、ここみちゃん。今日もかわいいね」
「おはよう、ここみちゃん。今日も元気だね」
私はみんなの人気者。
私はみんなのアイドル。
でもひとたびトラックに乗れば──
誰にも邪魔されない、私の時間。
高速道路の運転は自動設定にして──
私は今日も小説を書くの。
流行りの異世界恋愛で
私はみんなの人気者。
【現実】
ウフフ……
ウフフ、アハハハハ!
うだるような夏の暑さを切り裂いて──
みんなの嫌われ者が走っていく。
サンキューハザードなんか使わない。
だって当たり前に合流したんだからお礼なんて言う必要はない。
オマエラの運転がおかしいんじゃー!
あたしはただ左側しか走らんだけじゃー!
それを『左からゴボウ抜きしやがって』なんて怒るオマエラがヘタクソなんじゃー!
アハハハ!
ウフフフ!
今日も一日18時間走行!
走り抜け、一日1,350km!
今日、誰かと会話したっけ?
べつに会話したくもないからいいけど。
アハハハハハ!
ウフフフーー!
早く帰っておちゃけを飲むんだ!!




