第3話 ─豹変─
前回のあらすじ
「才能保持者」という、何かの能力に特化した、と
国から認証され、学校側から招待されないと入学できない学校、特立希望創作高等学校が建てられた現代。
その学校に「幸運」という才能で招待された狛枝。
個性才能溢れる同級生と少し会話をするだけで、居心地の悪さを感じる教室。
さらに彼の居心地を悪くする人物が参入される。
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作品を開いていただきありがとうございます。iです。
前書きの前(?)に、私は前書きや後書きで無駄におしゃべりしてたりするので、前の話から見たほうがいいかもしれないです。
本文もそうなんですけど、書いてると題名だとか、前書き、後書きもどうしようか適当にしてるんですけど、
こんなのでいいんですかね。
ま、少しでも青春を感じられたら幸いです。
それではごゆっくりどうぞ…
私が同調しようとしたその時、教室の扉が、私のときとは全く違う、まるで開き慣れているかのようなスピードで、勢いよく開く。
先程の私のときと同様に、全員の視線が扉に向く。
そこには…先程の人だかりの中心人物である、あの少女がいた。
まさか同じクラスとはな…
とは言ってもこの学校人学年人クラスしかないんだけどね
(上の学年とか、御曹司とか校長の娘かと思ってた。)
ここまでは先程の私と同じ状況だったが…
『あ!古波蔵さん!』
『おおー!古波蔵さん!本物だ!やべー!』
たちまちクラスは大盛りあがり。私のときとは大違い。
みんなが古波蔵?というひとに擦りついている間、柏木が喋りだす。
『やっぱり、あの人はすごいよねー』
『あの古波蔵?って人何が凄いんですか。』
『えっ?お前知らないってマジか?マジか…』
なんかやけにイラツくが、ぐっと堪える。
『あの人は、成績優秀、才色兼備、運動神経抜群の
今期2大完璧少女の1人って言われてる人!
なんかよくわからないけど、めちゃくちゃ可愛いん
だよねー本当に!』
どこかアホらしいと思ったのは私だけだろうか。
しかしまあ、いわゆる絶世の美少女ってやつか…
確かに、見る限り顔はその名にふさわしい者だと思うが、何故か全肯定することができない私がいる。
原因はこれだけかは不明だが、先程囲まれていたときも、とても冷たい塩対応に見えた。
(人を取り巻く環境ってのは簡単に人を変える。
それのせいかもな。)
『やっぱ、めっちゃかわいいなー古波蔵さん。
クラスメイトとかめっちゃ運いい!最高だぜぇ!
狛枝もそう思うだろ?』
ここでの質問…究極の二択である。
正直に言えば、このクラスいや学校単位で浮いてしまうことが確定するが、嘘をつけば今後の友情関係や、会話に支障が出る…
ここで取る私の選択肢は…
『私は、あんまりかな』
『…』
その言葉を発した瞬間空気が凍り、静かな目で皆がこちらを見つめてくる。
『やべっ…!じ、じゃあまたな!狛枝!』
柏木には逃げられた。(まあ構わないが…)
しばらくの沈黙の後、取り巻きが一人声を上げる。
『まあ、古波蔵さん。あんなやつ無視して俺らの席の
近く来ません?絶対楽しいっすよ!』
それに引っ張られるように他の奴らも声を上げる。
『いやいや、絶対ウチのところ来たほうがいいって!』
『ここはやはり彼から一番遠い、私の席の隣に!』
…みんな必死なんだなー。
ああゆうものを見せられるのをきついし、当事者も大変そうだな…と思うが、少女は当然の塩対応。
『…どいて。もともと席は教室に入ったときから
決まってる』
(ほー怖い怖い。あの人だからこそできる塩対応だなー…他の人がやったら絶対に嫌われるけど…彼女に限ってはそんなことないんだろうな…)
そんな風に、他人事のように考えていると、例の古波蔵がこちらに歩いてくるように見える。
(気のせいかな?やけに真っ直ぐとこちらに歩いてきてるような…さすがにね?あんな態度とっておいて近づいてくるわけ…)
ストン
少女が私の隣の席に座った。
『???』
『…』
そしてなぜか私の方を黙って見つめてくる少女。
頭の中はクエスチョンマークで埋め尽くされる。
当然目など合わせられるわけもなく、話せるわけでもなくただただ気まずく感じる空気が続く。
仲良く慣れそうだったクラスメイトの視線が痛い…
…とてもつらい
じっと窓の外を眺めているが…それでも少女とクラスメイトからの視線は止まらない。
(…!どうして…!どうして…
私は、ただ静かにしたかっただけなのに…!
うっあっあーうぁー…)
しかし、願っても効果はない。
『…』
こいつ…ずっとだまりっぱなしで…ふざけるなよ…
今にも死にそうな空気を打開したのは…
ガラガラッ バン
扉の開く音だった。
扉の方は見れないが、誰かが来て、また視線をかっさらったと思いう。
助かったと思い、ほっと胸をなでおろすと、聞こえてくるのは絶望の声。
『あっ!こいしちゃん!久しぶりー!』
こしいという単語…
この状況で新たに人が入ってくるのは非常にまずいと思い、前の扉からそそくさと外へ逃げる。
ちらっと見えたのだが、入ってきた人は、金髪の深紅の瞳を持った、古明地と同じくらいの身長の美少女だった。
…そういう人は惹かれ合うのかねぇー…
✽
しばらくして、集合時間少し前に教室に戻る。
入ってすぐは冷たい視線が痛かったが、この後にこれが可愛く思えるほどのものが目に入る。
私の席を見ると、先程と同様に隣に古明地。
ここまではいいのだが…
その古明地の前に先程の金髪少女が楽しそうに古波蔵と話している。
さらに私の席の前に柏木がいる。
(なんで…柏木とあの少女が…)
古波蔵は先程からなのでおいておくとしよう。
なにも良くはないのだが。
(…なぜ…柏木と金髪少女が…)
冷たい視線にさらされる中で必死に考えるも結論は出るわけがない。
そうして放心状態だった私に初めて声をかけたのは
『お、拍ーやっと帰ってきた。こっちこっちー!』
(いや、こっちこっちて…もともと私だけの席なんだけどな?)
そんなことを強く思うが、当然口に出せるわけもなく、渋々その言葉に従い、彼らのもとの席へと向かう。
『お前いいよなー。何やらこの2大美少女に近づかれ
るなんてなー!』
(こちらとしては勘弁してほしいことこの上ないのだが。)
これもまた、口には出せない。
私は席に座るが、意地でもその美少女とやらには振り向かない。
『席は近くだけど、狛枝君。あなたと仲良くする気は
今のところはないから。そこのところ勘違いしない
でちょうだい。』
柏木の言葉に反応するように、古明地が言葉を張り上げる。
(こちらこそ…)
古明地の発言によって少し安心したような視線を感じ、思わずそんな声が漏れそうになるが、ギリギリで抑える。
『拍…頑張れ…』
(こういうところでしっかり言えないあたり、私はいつまで経ってもこうなんだろうな…)
そんな悲壮感に包まれたまま、隣に古明地がいる生活が1週間過ぎる。
それはもう地獄のような1週間だった…
ペアワークでは無視をされ…
✽
『あの…古波蔵さん?ペアワークを…』
『…』
その間常に冷たい視線が弱まるのを感じた。
(こんな形で安心したくはなかったのだが…)
『狛枝!ドンマイ!俺もフランちゃんに無視され続けてる
から!』
『それでどうしろってんだよ…』
いま思い出しても辛すぎたな…
…後に聞いた話なのだが、あの古明地と絡んでいる金髪は、2大完璧少女と言われたやつのもう一人らしい。
エリート二人揃って入学しなくてもいいんだけどなぁ…
─そして週末の休みが明け、またあの生活が始まるという憂鬱に打ちひしがれながら、学校へと向かう。
教室につき、いつもどおりただただ外を眺めていると…
『はくー!おっはようー!』
そんな私をの名前を呼ぶには高すぎる声が聞こえた…
そこを見ると、笑顔で手を振りこちらに向かってくる古波蔵の姿が…
完璧少女の1人の古波蔵になぜか近づかれ、怪しい展開になってきた狛枝。
やがて本格的に関係ができ始めた狛枝と古波蔵。
一方的に求めた関係はやがて悲劇を生むことになる。
次回 第4話 ─執着─
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
よくある展開すぎて、共感性羞恥心がひどく働きました。
ベターな展開とはいえ、見るのと書くのではなかなか気持ちが違うものですね。
前回も言いましたけど、登場人物が増えてきたので、キャラ紹介回とかやったほうがいいんですかね。
ぜひ意見をいただけるとありがたいです。
※決してコメント稼ぎなんかじゃありません。
ここまで読んでいただきありがとうございました。