202409081939
日記なので今日あったことを書きたいところですが、仕事しかしてねえのでなんにも書くことがねえです。仕事について書くことはたくさんあるような気がしますが、過去にさんざんやったのでもういいです。
というわけで、最近かなりおもしろいTS作品を読んだのでTSについてなんか書こうかなと思います。
さてTSです。ここ読んでる人はおそらく新着一覧から「なんでもいいから読むもんないかなー」と思って来る人しかいないと思います。そういう人がいまさらTSという用語について知らないとも思わないので知ってる前提で話を進めます。
「について」ということで書こうとすると、すでに大先達というか、どう逆立ちしても及ばないようなすごい人がいるので、とりあえずそれを貼っておきましょう。
https://ncode.syosetu.com/n6126gu/
これすごいよね……。
ちなみにいきなりの自分語りで恐縮なんですが、俺、高卒なんですよね。高卒であることにコンプレックスはないというか、とりたてて学歴とか別にどうでもいいかなという感じなんですが、ひとつだけ、これだけは後悔していることがあって「強制的に学問を体系的にやらされる機会を得ることができなかった」ということなんですね。それに付随して論文の文体を訓練してもらうチャンスがなかったというのもありますが、こっちは大した問題じゃない。どうにかなる。少なくとも小説を書くうえでは致命的なデメリットというほどでもない。
そういう人間なので、こうやってひとつのテーマについて体系的にまとめて人が読めるものにする、ということができる人はすげーな、という感じが特に強くあります。
ちなみに、ここにはリンクを貼れないし内容的に触れるわけにもいかないんですが、お話のなかに性的な意味で排泄を扱ったシーンが含まれる作品について延々とデータベース化してる人がいて、これもすごいですよ。紹介に特化してるから自分の感情とかいっさい入らない。どこまでも客観的にあろうとする。そして、そういうシーンを愛好する人たちにとっての「ポイント」みたいなのが見える化されていて、つまりおしっこ見える化ですね。なにその日本語。見える化していいの?
まあとにかくこの手のデータベース志向の人はほんとすごいと思うんですよね。数年前のジオシティーズ終了でこのへんのサイトけっこう消えてると思うんだよな……。
で、話を戻しましてTSでございます。体系的な分類だとか歴史だとかは触れることすらおそろしいし、ここは日記ですので個人的な話に終始します。というか、まあ世代によるんでしょうけども、最初のTS体験として大きいのってどのへんの作品なんですかね。らんまが原点という人は多そうですが、雑誌でリアルタイムで読んでた高橋留美子ファンの俺としては、あんまりそういう観点で読んでた記憶がない。単純にあかねが好きすぎたというのもありますが、あの作品、主人公のTSに関する内面の懊悩ってあんまりないんですよね。俺はどちらかというと「女の子になってしまった自分への懊悩」という内面の問題をメインで摂取してる感じがあるので、そうなるとあの作品はちょっと違うな、という感じがします。
じゃあ「そういう意味で」消費した最初の作品となると、おそらくは「かしまし」だと思います。いちおうアニメにもなってる、というかあかほりさとる原作なのでアニメ化前提の作品だと思いますが、これは、現行のTS作品のフォーマットほとんどを含んでる祖ともいえる作品なんじゃないでしょうか。あんまり名前見かけることないですが。
その後は、確かミルクしぼるやつか、賢者の弟子あたりまで特にTSというものを意識して読んだことはないはずです。エロゲでTSが意外に少ないのって、もっと前に「完璧に女性にしか見えない女装主人公」というものが発明されてしまったせいじゃないかなと思います。あとちんこないと主人公としては不都合多いし、攻略対象にTS少女含むのはかなりリスキーな感じがありますね。
直近で最大の話題になったのは、おにまいですよね。
原作としてウェブでやってたのはずいぶん初期から知ってたし読んでもいたんですが、どうも相性がよくない感じがして遠巻きに見てたんですよね。それがアニメで一気にやられた。そこから遡及して原作を読んだ感じです。
いやあのアニメやばかったですね。このアニメについてならいくらでも語ることがある。
とはいえ、あの作品って従来からのTS好きはそんなに評価してないような印象もあるんですよね。これについては「なんでやろ」ってずっと思ってたました。ネットの近傍のTSやら妹好きの知人たちも「なんか違う」みたいなこと言ってて。
で俺、あまりにこの作品が好きすぎるがゆえにずーーーっと旧ツイッターで関連タグすべてを定点観測するっていう異常な行動をしてたんですけど、それでふと気づいたんですよ。
リアル女子小中学生がやたら多い。タグを監視する行動じたいが変質的なんじゃないかって思えるくらいに。
そこであらためて「この作品には女子小中学生を引き付ける要素があるに違いない」という前提でアニメを見てみて、それでようやく気づいた。この作品、まひろがTSしたことそのものには大した意味はなくて、中心的な要素って、女子コミュニティへの参入だと思うんですよ。そしてこれはかなり意識的にそう作られている。
というのは、あの異常にぬるぬる動くことで評判のED映像ですよね。あれ、かわいいか?って聞かれるとちょっと微妙と答える人いると思う。でもある層からは熱烈にウケていて、それが女子小中学生なんですよ。つまりあれ「女子目線でのかわいさ」なんです。
だいぶ以前の話なんですけど、当時我が社に在籍していた大学生の女子アルバイトが「けいおんが好き」と言ってて、それで彼女は別にオタでもなんでもないんですよ。そのころ、まだオタに関してオープンな時代とは言いがたかったので、彼女はたぶん純粋に作品として「けいおん」というアニメが好きだった。どのへんが好きなのか聞いてみると「こういう楽しい学校生活を送ってみたかった」ということで、つまり彼女は純然たる部活ものとしてあの作品を楽しんでいたわけです。男性の我々があずにゃんぺろぺろしてたあいだに。いや俺は唯が好きですけど(どうでもいい)。
その記憶が蘇ってきたときに「あ、おにまいってこれ女子向けだ」と気づいた。いや、実際のファン層がどうなのかは知らないですけど、そう考えるとまひろのやってることって「女子デビュー」なんですよね。
最近「しろいろの街の、その骨の体温の」という小説を読んでてあらためて思うのが、女子当人にとって「女子」というのは完全に異物であって、女子の数だけのその受容の物語が存在するってことなんですよ。このテーマはそれこそ1970年代の少女漫画から連綿と続いて存在しつづけていて、ほんとうに当人にとって重いテーマなんだと思います。
とうぜんそれはまひろにとっても重たいことではあるんですが、ここでは「元男子」ということによって相対化がなされている。カジュアルになってるんですよ。まさに女子デビューの渦中にある年代にとって、まひろの苦悩は共感できるものだし、同時に安心して消費できるコンテンツでもある。
そう考えてみると、序盤のかなり早い段階で、まひろの性愛の問題をすべてシャットアウトしてるの、かなりの凄腕といわざるを得ません。これによってまひろは男性として去勢された。肉体的にも精神的にも女子をおびやかす存在ではなくなる。
……というように考えてくると、これは男性は消費しづらいコンテンツだな、という感じがします。まあエロ作品探すとたいていまひろがひどい目にあってるし、アニメそのものもまひろはかなりエロい感じなので、あくまで俺はそう思う、というだけの話ですけど。男性向けだとするとP丸様の採用もなんか違う感じはありますね。
あ、ちなみに最近読んでおもしろかったTSものはこれです。
https://ncode.syosetu.com/n6063gu
いちおう完結済みで、まあきちんと終わってるとは言いがたいですけど、楽しく読みました。これいちばんいいの、たぶん親友ですね。友人関係がTS前と後で変化してないけど、でもきっちり女の子としては意識されてる。この安定感が読んでて安心できました。あと妹ちゃんがいい。