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花は花瓶に、血花は処刑台で。  作者: 七星北斗
1/1

1.表と裏は違う。

 人間に完璧を求めてはいけない。

 Don't expect perfection from people


 人間は他者を順位付けし、人によって態度を変える。

 Humans rank others and change their attitudes depending on the person.


 花が咲いたので、花瓶に生けようと思う。


 私は生まれつき目が見えないし、痛みも感じにくい。


 何が正しくて、間違えているのかわからない。


 しかし嘘の区別はわかってしまう。


 大人は嘘つきだ。

 adults are liars


 常に他人の顔色を窺う、仮面のブリキ。


 そんな灰色な世界で、君と出会った。


 兎が空を飛び、魔物や悪人が跋扈するこの地でだ。


 人類を滅ぼすような脅威は、魔王を除けば兎くらいである。


 この世界でソラは、私に体温をくれた。


 錆と血の匂いの私に。


 ソラに会うまでは、感情を捨て、仕方ないと納得するしかなかった。


 選ぶことができるのは、贅沢なことだと思う。

 I think it's a luxury to be able to choose.


 私は何も選べなかった。


 そんな権利などないのだから。


 理不尽って何だっけ?


 それが日常だから、普通のこと何だよな。


 今日も殴られた。


 肌が白く、顔が綺麗で癇に触るからっと。


 私は、奉公先に売られた村人Bだ。


 今思えば、この頃の私は、思考停止であることに他ならない。


 擦り傷が痛む、首輪に繋がれた鎖ごと引き摺られたからだ。


 もう、親の声も覚えてはいない。


 親が子供を捨てたり、売ることはよくあることなの

だから。


【罪のある人間は殺さねばならない】


 私は幼い頃から、そう大人たちから教わった。


 だから私は、首を斬る。


 罪深き人間を浄化する。それが処刑、私はそう教えられた。


 処刑人のことをアンダーテイカーと呼ぶ。アンダーテイカーは、私だけではない。


 私の首狩り器は、首狩正千可(クビカリマサチカ)という刀である。


 首狩り器は、適合者に超常的な力を与える。


 力には代償を払わねばならない。


 私たちは、代替が利く捨て駒なのだ。


 だから私はウタう、終わりなき屍山血河の海の中、溺れ苦しみ淀みへ嵌まる。


「先輩、今日も殴られたんですか?」


「うん、私役立たずだから」


「大丈夫ですか、今手当てしますね」


「ありがと。でも、大丈夫だから」


「全然大丈夫ではないですよね?」


「ごめん、もう行くね」


 その場から去る私、ズルいなと思う。


「先輩は、役立たずじゃないです」


 強引に突き放し、遠ざける私に、エナは離れてくれなかった。


 ぼろぼろな布切れしか与えられず、今日の一日の食事は林檎一個、こんな扱いしか受けられない。


 私たちは人間ではないのだ。

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