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帰宅したい人

私はその夜不思議な夢を見た。暗闇の中で聞き覚えのない声に話しかけられたのだ。

「それでは説明をさせていただきます。お手元の資料をご覧ください。」

声はそう言った。

私は夢の中特有の不明瞭な頭でぼんやりとその声を聴いていた。

「私はこれからあなたを別の世界へ送ります。あなたがどのような生き方をするのかは自由です。

しかし、もしもあなたが今までいた世界に戻りたいのであれば魔王を討伐してください。

それでは説明を終わります。あちらでどの体に乗り移るのか決めてください。」

これが明晰夢というやつなのだろうか。こんなことを夢に見るくらいに自分がゲームや漫画に頭を侵食されたのかと思うと情けないような気持がした。

「では、どうぞ行ってらっしゃい。」

それっきり声は聞こえなくなった。私は夢が覚めるのを待つことにした。しかしいつまでたっても夢が覚めないので、だんだん私は飽き始めた。そういえば明晰夢を見るのは初めてであるが、いったいどれほど自由が利くものなのだろうか。いつの間にかあたりはうすぼんやりとした世界へ変わっていた。見渡すと机があり、その上に1つさいころと1枚のプリントが置かれていた。サイコロは何の変哲もないものだった。書類は何か書かれていたが文字を読む気がしなかった。とりあえず私はそれらをポケットに入れると地平線の向こうを目指し始めた。が、行けども行けども何もない。しまいには夢の中であるのにひどく疲れてしまい歩くのも嫌になってその場に寝そべった。どうも夢の中というのは面白いものではないらしい。そこでまた私は夢が覚めるのをゆっくり待つことにした。あまりにも暇だったので私は先ほど手に入れたサイコロを投げてみることにした。すると突然目の前に人が現れた。


夢には知り合いばかりが現れるものと思っていたが、現れた人間にはどうにも見覚えがなかった。

なかなかの美人である。もう一度私はサイコロを投げてみた。すると今度は屈強な男が現れた。

面白くなって何回も何回も私はサイコロを投げ続けた。同じ人間が出てくることはないようだった。

100回も投げただろうか。そのサイコロにも飽きてしまった。こんなに寝ていて大丈夫だろうか、寝坊をしたりはしないだろうか。不安になって起きる方法がないか考えていると、いつからあったのだろうか。

そこには一つの扉があった。その扉を開けたらこの夢から覚めるのではないだろうか。そう思い私はその扉を開けてみることにした。扉を開けた瞬間強い眠気に襲われた。夢の中でさらに眠くなることがあるのかと私はのんきに考えていた。


強い日差しが顔に当たっている。瞬間、私は昼まで寝てしまったのではないかということに思い当たった。途端に目がはっきりと冴えた。次の瞬間私の目に映ったのはただただ広がる砂ばかりであった。

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