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なろうラジオ大賞3

目覚まし時計が鳴らなくて

 目が覚めた時は、朝7時半だった。

 マズい。これは、このままでは遅刻だ。

 私は、慌てて飛び起きた。


 階段を駆け下りると、台所の方から、

「あらあら。そんなに慌てて。階段から落っこちたら、大変!」

という、能天気な母上の声が聞こえてきた。

「朝ごはんは、ちゃんと食べないと駄目よ。」


 自業自得とはいえ、起こして欲しかった。

 私は半ば投げやりになりつつ、テーブルの席に座る。朝食を食べずに出かけるなど、母上が見逃してくれるわけがないのだ。これが我が家のルールだから、仕方ないのだ。

 私の前には、湯気を立てたご飯とお味噌汁、そして焼き塩鮭にひじきの炒り煮という、ごく普通の日本の朝ごはんが置かれた。


 時計代わりに点けられたテレビは、ニュースと昨夜のスポーツの結果と天気予報を流していた。

 どっかのサッカーの試合でハットトリック達成だそうだ。おめでとう! 天気予報では、北海道に雪だるまのマーク。お気の毒!


 私は、母上の機嫌を損ねない程度に、スピードアップを試みる。


 はあ、昨夜遅くまで、映画なんか見たりしなければよかった。密室殺人の謎とか、期待したほどの中身じゃなかったし、何より探偵の助手役の演技が酷くてイライラさせられた。しかも、舞台は第一次世界大戦直後のヨーロッパなのに、なぜか海辺のシーンで、遠くにサーファーが写り込んでいるというオマケ付き。トリックに使われていた超ミニのカセットテープだって、当時はまだ無かったんじゃないの? オーパーツだよね。まあ、正確な事は分かんないんだけど。


 私の睡眠時間を返せ! と声を大にして言いたかったが、深夜だったのでぐっとこらえましたよ。

 なんて、余裕こいている場合じゃなかった。

 私は、どうにか朝食を片付けると、ご馳走さまの挨拶もそこそこに、そのまま、洗面所へダッシュ。鏡の前で歯を磨いたり、前髪を整えたりと、最低限の身だしなみを終わらせた。

 

 カバンを掴んで、玄関を飛び出し、バス停まで走る。

 交差点で、信号に邪魔され、さらに遅れる。

 今日は、運がないなあ。

 

 寝坊しちゃったから、占いコーナー見れなかったんだよね。

 今日のラッキーアイテムだけでも確認しとかなきゃ。


 そしてバスに乗り込む時、最悪なことがポケット内で起きていたことに気付いたのでした。

 昨日、クラスの子から貰ったサイコロ型のキャラメルのお菓子が、潰れて、溶けて、定期にくっついちゃっていたの。


 今日の占い、絶対、最下位だったんだ。

 もう、最っ低~!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 全部盛りお疲れさまでした。 特に、みた映画の中だけで、これだけのキーワードを消化できるのがスゴいと思いました。 [一言] 題名に「時計」が入っているから、条件だけならクリアしてますよ。 …
[良い点] キーワード全部入れたこと。 [一言] すごいです。お疲れ様でしたとしかもう、言葉がありません…! 勢いがあって、面白かったです。(*´Д`*)
[良い点] こ、これは凄い。全部載せ……!! しっかり朝の日常風景になっているのが素晴らしいです。 特にカセットテープとオーパーツとサーファーとハットトリック、どうやって組み込むのかと思いましたが、そ…
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