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9 スキル作成使いは戦場に立つ(中編)

「なかなか厳しいな」


「そうっすね……」


 アイツの弱点は明らかに「目」だ。

 ただ、その目の周りについている筋肉が硬すぎて何もできない。


 とりあえず、俺の1番強い威力を持つ、《三超火玉(トモファ)》を使って徐々に、緩めていくしかない。


「きぁぁっ! やだ、こないで! こないで!」


 俺がそんなことを考えている時だった、セシアが魔物に捕まってしまっていた。


 この距離では俺はもう間に合わない。


「きゃああ! たす、け……」


 その時、セシアは魔物の握力によって殺された。


 俺はそれを見て、普通なら悲しんだり、怒ったり、そう言った感情が芽生えただろう。だが、俺はこの時、なんの感情も湧かなかった。


 魔物の手から離れたセシア。だんだん下へ落ちていく。

 

 そんなセシアをアンドレアは受け止めに行く。


「せし、あ? おい、セシア? なあ、返事してくれよ!」


 返事はない。それもそうだ。遠目から見ても死んだのが分かるくらいだったからな。

 

 一度、アンドレアはセシアを地面の隅に置くとこっちにきた。

 

「おい! 何してるんだ、貴様ら! なんで助けなかった!」


 こっちに飛んできて、そう言ったのは言うまでもない、アンドレアだ。


「僕たちからの距離じゃ届かなかったっす」


 ジャンの言う通りだ。


「うそつけ! そもそも、なんでお前たちが死なないんだよ! おかしいだろっ!」


「何言ってるんすか、アンドレアさん。そんなよそ見してるとあんたが死ぬっすよ」


「うるさい! 黙れ、黙れ、黙れ! 俺の、俺のセシア……うあああああっ!」


「アンドレア、お前は邪魔だ、さっさと退け。そもそもお前が助ければ良かっただろうに」


「なんだよお前ええ! アラン! お前を許さない! お前は俺を騙した! お前さえ、お前さえ……! うわあああ!」


 もう、アンドレアはダメだ。あの様子じゃもうダメだ。


「そもそもなんだ? お前が囮だったろ? なんでセシアが、おかしいだろ!? お前はいっつもそうだ、結局言われたこともできない、ふざけるなぁ!!!」


「それは違うっすよ。アンドレアさん。アランはみんなの為に頑張ってきた。それを簡単に切り捨てたのはアンドレアさん、アンタなんだって」


「うるさい、うるさい、うるさいっ!」


 そんな時、魔術師団の一人が来た。


「お前たち! 何をしている! 陣形を取れっ!」


「アイツが、行けないんです。囮の分際でっ!」


「何を言っているっ! お前は何も分かっていない。それでもトップパーティーのリーダーだったのか!?」


「分かってない? 何言ってるんですか、魔術師さん。分かってないのはこいつらですよっ! 囮なのに、自分たちは助かって、変わりに……変わり、セシアが死んだっ!」


「それが違う! 本当の意図がわかっておらぬ!」


「本当の意図?」


「本当は、トップ五だけ戦闘に加えて、後は避難させてたんだ! だから、それを勘違いして、過信して、勝手に仲間を殺したのは、お前自身だ!」


「……そんな、そんな……おかしいだろっ! こんなのおかしい! 魔術師団も何もかも!」


「おかしくない! 最初の挑発はそうでもしないとみんなを非難させられなかった! その挑発をまにうけるお前が悪い!」


「おかしい! おかしい! おかしい!」


 永遠に嘆き続けるアンドレア。

 戦闘中だぞ。敵は目の前にいる。さっきだって攻撃が当たるところだったぞ。


 もう我慢ならない。


「黙れよ、アンドレア」


 俺はそう言った。


「はっ!? なんだよお前ぇっ!」


「いいから黙れ、俺はセシアを助けることができる。でも、俺はセシアを助ける義務はない」


「何言ってるんだ!? セシアは死んだ! 生半端なことを言うんじゃねぇっ!」


「もう、いい。最後の救いだったが。俺はもう知らない。そして、俺は今から魔物SS(こいつ)を倒す」




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