4 スキル作成使いは学院試験を受ける(前半)
「では、次の方。前に来て下さい」
教官に呼び出された。
「はい。お願いします」
「ではまず、この手形のところに手を当てて下さい。そうしたら、思い切り魔力をここに流して下さい」
「分かりました」
俺は言われた通り、手形に手を添えると思いっきり魔力を注いだ。
『35000』
測定器にはそう記されていた。
つまり、俺の魔力は35000だと言うことだ。
それより、この間に比べてあまり変わらないな。もしかして、まあ魔物倒したから増えていたのか?
「三万? もしかしてトップ層の方ですか?」
「まあ、前まではそうでしたが。今はもう違いますよ」
「そうでしたか。元々はそうだったのですね。それなら納得です。では以上になります。脇の方で、パーティーメンバーを待っていてください」
「分かりました。ありがとうございました」
「では次の方」
次に測定するのは同じパーティーメンバーのリーダー、ジャンだ。
俺は今までトップで戦ってきたから、周りの奴らも俺くらいかそれ以上の魔力量を持っていた。
対して、下の層の人たちの魔力量は俺は知らない。
「では、ここの手形に……」
さっきと同じ説明をジャンも受けていた。
「では、さっそく測定の方をしていきます」
ジャンが手形に手を添え、魔力を流す。
ジャンは喜んでいた。恐らく、魔力量が増えていたのだろう。
ただ、俺がいるところからでは測定器に表示される魔力量は見えない。
「五七〇〇です」
「やったっす! 前より八〇〇増えてるっす!」
あれ? 思ったよりだ。
下の層ではやはりそんなもんなのか?
「では、脇に移動して」
「分かったっす!」
そして、ジャンは俺の所に上機嫌で来た。
そして、笑顔で俺に話しかけてきた。
「聞いて下さいっす! 僕の魔力量が」
「八〇〇増えてたんですよね?」
「な、なんで知ってるんすか!?」
いや、普通に聞こえていたからな。
「声が大きいから聞こえてたんで」
「あちゃー、そう言うことでしたか! 驚かせようと思ってたんですけどねぇ」
「ちなみに、アランはどんだけだったんすか?」
「三万」
「ん? なんて?」
「三万」
「え、え、え、えええ!? さ、三万すか!?」
「ええ、まあ」
「だから、さっきもあんなに強かったんすね! 納得っす!」
なんだか、予想していた反応と違う。基本、俺が本当の数字を言うと「嘘だ」とか「寒い」とかそんな事ばっかり言われ続けていた。
だから、今回もきっとおんなじような事言われるか、距離を置かれるだろうと思っていた。
「引かないのですか?」
「え? 引く? なんで引く必要があるんすか? これって心強い見方ができて寧ろ、喜ぶべきなんじゃないすか?」
「心強い、味方か……」
「はい! 正直、僕たちのパーティー、今回の学院試験で退学対象なんすよ。皆んなでどうしよーってなってる時に、アランが来てくれて本当によかったっす! まあ、まだ学院試験が終わったわけじゃないんすけどね」
ジャンは笑いながら俺に話してくれた。
正直舐めていた。四一〇位くらいであれば、ゆとりを持って生活、すなわち俺の望むスローライフが送れると思っていた。
だが、今の話を聞いて、そう甘くないのだと。そして、ジャン達を同時に助けたいとも思った。
だが、何故か心にリミッターがあるように感じる。
自分が思うのに反して、何かが邪魔をする。
きっとこれは、アンドレア達の裏切りによって出来てしまったのではないだろうか。
でも、折角誘ってくれたパーティー。
あんな奴らと同じだと思ってしまったらそれはジャン達に失礼だ。
だから、
「だから、俺も力になりたい」
「急にどうしたんすか?」
「俺が皆んなの役に立てるよう、今からやる実技試験、頑張るよ」
読んでいただきありがとうございます!
初めて書く小説という事で、慣れないことも多く、、って感じです!
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