3 スキル作成使いは新たなパーティーに加入する
「では、授業を再開する。一名遅刻した奴がいたせいで少々急ぎで進める」
俺のことだな。
「今日は予定していた通り、学院試験を行う。他のクラスとの兼ね合いもあるから急いで説明する」
ん? 今日が学院試験だったか?
朝の衝撃のせいで正直いろんな事を忘れている。
「まず、今回の学院試験は、パーティー対抗だ。尚、パーティーに所属していないものは、学院試験を放棄したものと見なし、後に処分を下す」
「先生ー。パーティーのメンバー人数って規定にありますか?」
同じクラスの男子が聞く。
「いいや、今回は無い。だが、あまりに少ないと不利だぞ。なんせ、今回の学院試験は合計魔力量で競う試験と魔力量が似たもの同士の実技試験だ。今までの成果を十分に発揮するようにな」
待て、俺はまだパーティー登録済んでないんだが。
「あの、すみません」
「なんだ? 遅刻野郎」
「あのー。実は今日パーティーを追放されまして……」
「ふん。そんなことはもう知っている。お前は参加資格がないと言うことだな」
なんか、この教官嬉しそうなんだが。
「いや、あのー。実はさっき俺を入れてくれるって言う
パーティーがありまして。まだ登録はしていないんですけど」
「なるほど……分かった。こうしよう。学院試験が始まる前に、登録が完了したならお前も参加を認めよう。ただし、それができなかった場合、遅刻の件も含めて、お前は退学処分にする」
やっぱりこの教官、俺の事を嫌っているようにしか見えない。明らかにおかしい。こんなので退学扱いを受けるのは。なんか俺を嫌う理由でもあったのか?
「分かりました。その条件、呑みましょう」
「ふん。もう取り消しはさせん」
教官は満足の笑みを溢していた。
そんなに俺の方が嫌いなのか?
「では、俺は今から探してきます」
「制限時間は大体五分くらいと見た方がいい」
「お気遣い、どうも!」
と言うと、俺は教室から飛び出し、ジャンを探す。
「くそっ、アイツのクラスはどこなんだ?」
クラスは全部で十八クラス。
俺のクラスを除けば十七分の一。
「取り敢えず、適当に教室を徘徊するか? いや、それだとアンドレアとかに会う可能性があるからやめよう」
どうするか。
俺が導き出した答えはこうだ。
「よし、《スキル作成》、《脳内伝達》、魔力は五〇〇〇!? ええい、もういい。完了! そして終了」
これで、ジャンに脳内に俺の言葉を伝達できる。さっそくやるか。
『聞こえますか? ジャン。アランです。今どこにいますか?』
『……』
「あれ? 何も返ってこない。不良スキルか?」
何故だか、何も返ってこない。
「やばい、時間がない。どうする、俺」
頭を回せ、俺! どうして何も返ってこない? そもそも届いていない? いや、そんな事はない。多分俺の声は聞こえたはず。じゃあ、何故?
俺は一つの結論に辿り着いた。
そして、俺はそれを改善してもう一度ジャンに伝える。
『アランです。今俺はCクラスの前にいます。ハンコを持って来てください。なるべく急いで』
「多分これで大丈夫だろう」
すぐに、ジャンはやってきた。見る感じ、本気で走ってきてくれたのだろう。
「ありがとうございます。では、このまま職員室に向かって、登録するのでついてきてください」
「ぜぇ……ぜぇ……は、はい、分かったっす」
俺たちは急いで職員室に行く。
疲れ切っていたジャンを、俺は腕を掴んで走った。
「着きました。なんとか間に合いそうです」
「ぜぇ……ゼェ……そ、それは何よりっす……」
「ちょっと待っててください。今先生に申請書貰ってきますから」
「は、はい……」
「失礼します。申請書をもらいに来ました」
「あら貴方、確か今朝、解約書を提出しに来た子じゃない?」
「は、はい。そうです」
「もう次のパーティーが見つかったのね」
「はい、ありがたいことに」
「良かったわね。なら、ここに名前を記入したら、そのパーティーのリーダーのハンコを貰って頂戴。それが出来たらまた持ってきて」
「分かりました。ありがとうございます。失礼しました」
俺は直ぐに名前を記入欄に書く。
そして、近くで待っているジャンにハンコを貰って、提出した。
「確かに受け取りました。ルーディラス……また随分と低いパーティーに入ったのね。前のパーティーは一位だったから結構実力あるんじゃない?」
「あはは、そんな事ないですよ。あったら多分追い出されてません」
「それもそうね。失礼なこと言ってごめんなさい」
「いえいえ、気にしないでください。自分の不甲斐なさですから」
「まあ、頑張ってね。応援しているわ」
「ありがとうございます。では俺は学院試験がありますので」
と言って俺は、ジャンと一緒に学院試験の会場へ向かった。
一応『時間内に登録』は間に合ったと思うが、あの教官のことだ。『時間以内に登録して、会場に来たら』とか後から言うだろう。だから、まだ気は抜けない。
「ところで、学院試験の会場はどこですか?」
「えーっと、第一闘技場っすからここを真っ直ぐ行って、右っす」
「ありがとう。ちなみにまだ走れますか?」
「は、はい。なんとか……」
「じゃあ、飛ばしますね」
「え? ちょっ、ええ!?」
俺はさっきよりも早いスピードで走った。多分これで間に合うだろう。
「アラン、今つきました」
俺は受付の教官に報告する。
「ギリギリですね。受け付けました。後ろの方は?」
「あ、ジャンっす。一緒に受付お願いしやす」
「かしこまりました。では、あそこの魔力測定器の後ろに並んでいて下さい。順番がきたら、説明を受けて計測して下さい」
「分かりました。お願いします」
なんとか間に合った。
これで退学は免れた。
「ほぉ、間に合ったのか。まあ、約束通り学院試験の参加を認める」
「はい。ありがとうございます」
俺のクラスの教官に出会った。が、なんだが不服そうだ。何故そこまで教官が一生徒をそこまで憎むのか。それが分からない。
まあ、そんなことは今はいい。
取り敢えず、学院試験を受けるとしよう。
読んでいただきありがとうございます!
初めて書く小説という事で、慣れないことも多く、、って感じです!
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