10 スキル作成使いは戦場に立つ(後編)
「アイツを倒すことが出来るのですか?」
魔術師団の人が聞いてくる。
「ええ、俺は言っていませんでしたが、スキル作成をレベルMAXまで鍛え上げ、なんでも自由自在に作ることが出来るようになりました。そして、俺はアイツの弱点を見つけました」
「ほぉ……! それはっ! まさか、そんな子が学生にいるなんて! では、お願いしてもよろしいですか?」
「ええ、任せてください」
俺は、未だかつてないほどの大きさの魔法を展開する。その名も《最後の爆弾》だ。
これは、最終兵器として取っておいたものだ。
これを目元でいいから、ぶつけることができたら必ずアイツは死ぬ。
ただ、俺も死ぬ可能性がある。
なぜならこれは今までの作成スキルとは違って、俺の命を半分使う技だ。場合によっては死に至る。
「では、行きます。なるべく離れてっ!」
と言うと、魔術師団の人と近くにいた人が全員俺から離れてくれた。
ただ、一人を除いて。
「ちょっと、そこに居たら死ぬっす!」
「うるさい、うるさい、うるさい! 僕はここで死ぬんだ! もうセシアのいない世界なんて、意味がない!」
「ダメっす! 離れてください!」
ジャンが力ずくでアンドレアを俺からはならかせる。
俺は完全に周りの人がいないことを確認した。
「では、行きます。《最後の爆弾》!」
俺も初めて使う技。自分で創作したオリジナル。
どっちに転んでも、もう一緒だ。
『ジ・エンドが起動します。まもなく、ジ・エンドが起動します。近くにいると、死の恐れがあります。必ず離れてください。まもなく、ジ・エンドが起動します……』
そう言った声がどこからか聴こえる。幻聴に近い形だ。
『では、カウントダウンにつき、ジ・エンドを起動します』
また聞こえた。
『十……九……八……七……六……五……四……三……』
俺はしっかりとアイツの目に向ける。
『ニ……一……起動……』
その瞬間、黒色の大きな球が俺の心臓から飛び出す。おそらくこれが爆弾。命の半分。
そして、その玉はあいつの目の所まで一直線に飛ぶ。
そして、ぶつかる。
『爆発』
その声と同時にその玉は爆発した。
見るからに、食らっている。
そして、煙が空を舞う。
それが消えるまで、どうなったかは確認できない。
しばらく、煙が消えるのを待つ。
五分ぐらいだっただろうか。いや、もっと短い。それくらい立った時、一気に煙が消えた。
果たして、どうなったのか。
みんな、注目する。
「「「「「……う、うおおおおお!!!!」」」」」
なんと、魔物は灰になっていた。
「やったぁ!!」
肩を組んでいる人も見られる。
「やったっすね!」
ジャンはアランの元に来て、話しかける。
「あ、ああ……ぜぇ、ぜぇ。ぐはぁ!」
やばい、やばい、やばい!
想像以上にやばいっ! 今のままじゃ、俺は自己回復を使えない……。
これは、死ぬーーーー。
そう、諦めた時だった。
「《中回復魔法》! アランさん! 意識を持って! 《中回復魔法》! 《中回復魔法》!」
リナだ。
「あ、ああ。ありが、とう。でも、なんとかなりそうだ」
リナのおかげでだいぶ、つなぎが出来ている。後はもう少し強い回復魔法で完全に繋ぐのみ。
「ありがとう……後は、俺がなんとか、する」
「わ、分かった。無理しちゃダメだよっ!」
「ああ、もちろんだ。《超回復魔法》」
俺の体は徐々に回復していく。
そして、数分もしないうちに、完璧だ。
「ふう……なんとかなったよ」
と言うと、リナは俺に飛びついてきた。
「もうっ! 本当に心配したんだからっ!」
「ごめんな。でも、もう終わったんだ」
「うん……うん……!」
「皆さんも、ありがとうございました。魔術師団の皆さん」
「いえいえ、私たちとしても、まだまだ力不足で。後、生徒の皆さんのことを蔑む言い方を最初にしてしまったこと。本当にすみません」
「いえいえ、作戦だったんですから、仕方ありません!」
俺がそういうと、魔術師団の人は笑った。
「そう言っていただけると、幸いです」
「いえいえ、では」
「はい、私たちも今から報告書などを作らなければならないので」
こうして、俺たちは別れた。
そして、またルーディラスは一箇所に集まった。
「おつかれっす!」
「ああ、みんなお疲れ」
「おつかれ! おつかれ!」
「はぁ……テンション高いなぁ。おつかれ……」
「ふふっ、みんなお疲れ様」
こうして、短く、長く感じた戦いの幕を閉じた。




