表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

鬼神社

作者: ツヨシ

ある日のこと、いつものように交番で勤務していると、本部から連絡があった。

神社で窃盗事件があったそうだ。

行ってみると神主が入口で待っていて、奥に案内された。

「見てください」

そこには賽銭箱が横になって転がっていた。

動かないように停めていた器具も壊されているとの事。

窃盗と器物破損だ。

被害額はよくわからないそうだ。

「鬼を祭っている神社なのに。罰当たりなやつめ」

神主が強くそう言った。

とにかく神社はいつでも誰でも出入り自由だ。

一応捜査はしたが、現行犯でもない限り犯人が捕まることは、あまり期待できないだろう。


それから一ヶ月も経たないうちに、また連絡があった。

あの神社の賽銭箱が再び狙われたようだ。

行ってみると前回とほぼ同じ様相。

賽銭箱が横倒しになっている。

一通り捜査をした後、俺は神主に言った。

「防犯カメラをつけることをお勧めします」

神主はそれにはなにも答えなかった。

二度も賽銭を盗まれているのに、やけに落ち着いていた。


二度目の事件から翌日、交番に男が文字通り駆け込んできた。

「どうしました?」

見た目四十歳くらいの小柄な男が言った。

「神社の賽銭を盗んだ。二回だ。早く捕まえてくれ!」

あせっている。

怖がっている。

それもそうとうに。

そんな声色、顔色、態度だった。

「とりあえず話を聞こうか」

「早くしてくれ。鬼が、鬼が来るんだ!」

俺は鬼の話は聞かなかったことにした。


       終

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ∀・)「鬼とは何か」っていう暗喩が良い感じで滲んでゆくお話ですね。これもまた惹き込まれる感じがあります。 [気になる点] ∀・)えっと好みの話になると思うんでsが「神主はそれにはなにも答え…
[良い点] 神主は解っていたのでしょうね、犯人には鬼の報復がやってくることに。 鬼の成敗は、法で裁かれるよりも恐ろしいものなのだと思いました。あの慌てっぷりを見たらね(-_-;)…… 赤鬼なのか青…
2021/01/12 14:47 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ