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4ページ:ヒサオミ君

登場人物

 更野(さらの) 音美(おとみ)(ノート美)

 馬場(ばんば) 久臣(ひさおみ)(HB)

 馬場(ばば) 二三八(ふみや)(2B)

 下地(したじ) 公子(きみこ)(親友)

 図書館に本を返却し、そこで約束の7時まで時間をつぶす事にする。


 公子(きみこ)は家庭教師のバイトがあるので帰ってしまった。すごく残念そうにしていた。


 着信。

 まだ、約束の時間まで20分もある。

 遅れるのかな?

 そう考えてメッセージを開く。


『先に入ってるよ。馬場で予約してる。ゆっくり来て。』


 さすが王子様(ヒサオミ君)

 相手を待たせない心遣い、いたみいります。


 慌てて図書館を出る。

 居酒屋コンパスまで徒歩十分弱。急ぎ足で向かう。


 途中でフミヤの下宿の近くを通る。

 ちょっと足を止めて、フミヤの部屋を見てみる。


 電気が点いてる!


 あそこにフミヤが居る。


 なんか、心苦しくなる。


 こんなに私がしんどいのは、フミヤのせいでもある。


 いや、一番はヒサオミ君のせいなのだけれども。


「アホ!」


 一つ叫んで、また歩き出す。


 ほどなくお店に到着した。

 ホールの人に声をかけると、2階に通される。

 半個室のブースを案内された。


 普段とは違う装いをした、帽子にメガネのヒサオミ君が座っていた。


「こ、こんにちは。」


 私は立ったまま挨拶する。なんか、緊張してしまう。

 ヒサオミ君も立ち上がる。


「やあ、こんばんは。さあ座って。」


 ああ!もう「こんばんは」の時間ですね。なんだ、こんにちはって!

 ヒサオミ君は、私の上着と荷物にすっと手を伸ばし、掛けてくれる。

 紳士、マジ紳士。


「更野さんは、ソフトドリンクだね。」

「はい。じゃあカルピスソーダで。」


 飲み物のチョイスはこれで大丈夫だろうか。


 酒を勧めないところを見ると、酔わせてどうこうしようというつもりはないんだろうな。

 ってか、ヒサオミ君に限ってそんなことはしない。

 飲み物が運ばれてくる。


「乾杯。」


 梅酒サワーとカルピスソーダをぶつける。


「いろいろ聞きたいことあるんでしょ。全部答えるよ。」


 ヒサオミ君は、いつもの優しい声だ。

 何から聞こう?

 最初からフルスロットルで聞くのも気が引ける。


「なんで、メガネなんですか?」


 一口飲んで、最初に気になったことを聞く。

 

「あの人たちにバレると厄介だからね。一回家に帰って、こっそり出掛ける時に、この格好をしてるんだ。」


 ファンクラブ対策ですか(笑)

 やってることが、週刊誌から身を隠す芸能人なんです。

 でも、帽子とメガネじゃあ、王子様オーラは消せてませんです、はい。


「あの人ってのは、僕のことを追い回す女子たちなんだ。」


 それ、知ってます~。

 ファンクラブの皆さ~ん。王子様からストーカー認定されてますが、大丈夫でしょうか。


「じゃあ次の質問…。どうして、私なんですか?」


 軽いジャブの後は、どストレート!本題です。


「僕が、君を守りたいと思ったから。」


 何その格好良い台詞。ふわふわして、よく考えると中身がない台詞。

 イケメンじゃなかったら殺されてるわ。


 ってか、言われる方も美女であるべきなんです。

 私みたいな中の下の顔に言って良い言葉じゃない!


「文化祭委員で君が頑張ってるの見て、良いなって思ったのが最初。」


 おお、具体例が出てきました。

 もう呼び方は「更野さん」じゃなくて「君」なんですね。

 お酒飲んでませんが、顔が熱いです!


「で。フミヤ君から、君のことを聞いているうちに、好きになりました。」


 顔から火がでました。

 公子、良かったね。私、爆発しましたよ。


「フミヤは、私のこと、な、な、んて言ってたんですか?」


 グルグルする頭で、やっと絞り出した質問。


「基本、悪口だね。」


 あいつ!王子様に、そんな事吹き込んでたのか。

 許さん。


「でも、愛のある悪口だったよ。」

「?」

「前だって、『ノート美はケチだ。教科書貸してくれなかった。

 いつも何でも貸してくれるのに!』って言ってた。」


 それが愛のある悪口なんですか?

 目が点になる。


「いつも何でも貸してあげてる君って、優しいんだなって思った。」


 王子様はそこまで深読みしますか!

 貸した方も、借りた奴もそこまで考えてないです、はい。


「フミヤ君の話を聞いてて、君は魅力的だと思った。」

「いやいや、本当の私は、そんな事、ないです!」


 ヒサオミ君は、一気にグラスを飲み干した。

 あ、これ。決め台詞言う前にやるやつですよね。


「君ともっと話したいんだ。君の本当を知りたいんだ。だから、付き合って欲しい。」


 うひゃああああ!

 幸せ過ぎる。

 時間よとまれ!

 一気に酔いが回ってきた。いや、お酒飲んでないですけど。


「でも、フミヤ君も君のことが好きだろう。

 彼は、だいたい君の話してる。鈍感の僕でも分かるよ。」


 ちょっと何の話してるんです?


「フミヤ君より先に告白しなくちゃ勝てないって思ったんだ。」


 そんな事ありませんよ。

 ヒサオミ君なら後出しでも勝てます。ジャンケンと一緒です。


「これは嫉妬だよね。僕もまだまだだな。」


 王子様に嫉妬されるなんて幸せ者です。


「じゃあ、フミヤ君も呼ぼう。」

「はぁ~!?」


 私は、かなり大きな驚きの声をあげた。

 周りの客や店員がこちらを見る。


 ヒサオミ君は、恋敵に電話を掛け始めた。


「ああ、フミヤ君。今、コンパスに居るんだ。

 一緒に飲まない?」


 私は、唖然とした。


 ちょっと話の流れが分かりません。

 何?

 さっきまでのラブラブモードだったじゃないですか!

 フミヤを呼ぶ?ここに?なんで?


「更野さんも、居るよ。」


 ヒサオミ君がその言葉を言うと、電話の向こうで何か分からない事を叫ぶ声がした。


 修羅場モード突入が確定です。

 助けて公子~(泣)


 居酒屋コンパスの名物は唐揚げ。男子大学生も満足する山盛り唐揚げが人気メニュー。

 注文してから作り始める、鶏ガラスープのラーメンや、炊き込み御飯も美味しいです。

 大学から徒歩で行けるので、打ち上げにもよく使われています。

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